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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第8時限目 変身のお時間 その34

「何を助けるの?」


「ハル、自分で言いなよー」


 私の疑問に対して、私の後ろ、真っ暗闇に向かってそう声を掛ける。


「……」


 無言で現れたのは、やけに意気消沈している中居さん。


「あ、あのさ……」


 いつもの中居さんの雰囲気とは違う、やけにしどろもどろな声。一瞬、本当に別人なのかなと思ってしまうけれど、顔や姿は間違いなく中居さん。一体、何が原因でこうなっているんだろう。


「どうしたの、中居さん」


「えっと……」


 恥ずかしくてもじもじ、というものではなく、これは本当に言うべきか躊躇している表情が、やや暗い部屋の中で辛うじて見て取れるけれど、じゃあ言葉に詰まる原因が何なのか、ってことまでは流石に超能力者でもないから分からない。


「……あの……」


「良いよ、教えて」


「……」


 出来るだけ中居さんが喋りやすいように、私は精一杯優しく尋ねる。寝転がったままだけど。


 言葉を詰まらせている中居さんにイライラを抑えきれなかったらしい、立膝に依る白きデルタ地帯丸見え女子が大声で遮った。


「あーもー、面倒くさいなー。いいや、教えたげるよ。ハルがさー、ウチの使ってたスマホ壊しちゃってさー。ホント困ってるんだよねー」


 私はその言葉の後、首だけを動かして中居さんの表情を窺うけれど、表情は暗がりの中で変化している様子はない……というか中居さんも中々にスカートが短くて見え……いやそれはさておき。


「でさ。弁償してもらうためには5万くらい掛かるんだよねー」


「5万……」


 最新機種の修理代、と考えれば特別高い訳では無いと思うけれど、そんなに高いものだっけ?


 いや、そんなことよりも。


「来る前に、中居さんが財布を落として探しているという話だった気がするけれど」


 私の言葉に「あー、そんな設定だっけ」と平気で言う目の前の女子。


「まあちょっち違うけど、似たようなもんじゃーん? 諭吉さん出してくれる人を探してるって意味でー」


 黒い方が言った言葉をきっかけに再び笑い出すギャル2人。


 ……この2人からは邪悪しか感じない。


「それで、そのお金を払ってくれそうな人を探すってことで、私を呼んだの?」


「そそ。ハルのBFFならちゃんと出してくれるだろうしねー」


「……」


 よし、私の中での判決は下された。


 この2人は有罪ギルティ。私刑に処する。


 でも、そのためにはひとまずロープを外さないといけない。


「……分かった」


「分かってくれたー?」


 私の観念したような言葉に、白いギャルの方が少し身を乗り出す。


「でも、払うにしても今手持ちには無いから。銀行行かないと。後、ロープこのままにされてても、お金引き出しに行けないから」


”そういうこと”にしておいて、ロープを外させようと考えたのだけど。


「あー、それなんだけどさー。その必要はないんだよねー」


 白い方のギャルの言葉に、私は怪訝な表情になる。


 お金を支払わせたいのにお金を下ろす必要がない?


「どういうこと?」


「いやさー、ウチの彼氏がさー。友達連れて、ここに来る予定なんだよね」


「……?」


 このギャルの彼氏が一体どういう話と繋がるのかが全く読めなかったのだけど、更に続けた白ギャルの台詞でようやく文章の意味が理解できた。


「知ってる? 今時さー、動画サイトとかでー、イメージビデオみたいなのを撮って売るとかー、そういうビジネスがあってさー」


 私の心情による影響もあるのだろうけど、悪人顔と言っていいんじゃないかと思う表情で、白い方のギャルが私に言う。


「ウチの彼がそういう人と付き合いがあるワケ。で、これから一緒に彼と来るんだよねー」


 ……一体、どういう教育を受けていればこんな下卑げびた発想になるのか。怒りを通り越して笑いが出て来る。状況は笑えないけれど。


「つまり、その人達に私を売ろうと」


「売るなんて酷ーい。支払い分だけ、働いてもらうだけだよー」


「そうそう、労働は大切だよねー」


「ねー」


 高校生が労働の何を知っているのか、と言いたいところだけれど、私自身知らないから何とも。


「大丈夫大丈夫。危ない映像は少ししかないからさー」


 この手の台詞で”少し”は”たくさんある”の意味だと容易に想像がつく。


 ……さて。


 彼女が言っていることが本当であれば、私自身が本当の女の子ではないにしても、あまり悠長なことをしていられない。この最低女子の彼氏とその関係者が何人、どんな人間が来るのかは知らないけれど、ロープが外れていたとしても、流石に私1人でどうにか出来るかはかなり怪しい。


 とすると、さっさとロープを外して、中居さんと逃げるか。鉄槌はくだしておきたいけれど、ひとまずは退避かな。


「ちょ、ちょっと待って! あ、アタシそんなこと聞いてない……」


 話を聞いていた中居さんが、慌てて私の隣まで来て、そう言う。


「えー? こやまんに“協力”してもらおうって話したじゃん?」


「そ、そんな動画撮ってとか……」


 どうやら、私を呼び出すことについては中居さんも知っていたようだけれど、白ギャルの彼氏を連れてきて怪しげなお仕事に連れて行こうなんて話までは知らなかったみたい。そうだよね、知っていれば幾ら何でも中居さんも止めただろうし。


「いいじゃん、別に。それとも何? ハルが今すぐ、お金準備出来る訳!?」


 白ギャルの語気が急にキレ気味に言う。


「い、今は……」


「ほーら! 彼はすぐに出してくれるからさー。大丈夫だって、危険は全然無いしー」


「で、でも……」


 話の対象が中居さんに移っているスキを見計らって、私は手を捻ったり、体を捻ったりしてロープを解こうとするけれど、中々に食い込んでくるだけで外れない。くっ……。


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