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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第8時限目 変身のお時間 その5

「うーん……大きめサイズのもあるから、そっち着てみようか」


「う、うん」


 中居さんが手近な服を持って私に渡すけれど、表情から伺える様子からして、これは中居さん的カワイイ系ランキング外なのか、あまり芳しい表情ではない。


「とりあえず、これで着てみそ」


「うん」


 シャーッ、と試着室のカーテンを閉めて、言われるがままに着てみると、今度は確かに入った……けれど、服の丈がミニスカートどころか、全国各地で放送されている国民的アニメの妹キャラみたいに、常時下半身丸出し状態。流石にこれで外を出歩くのは恥ずかしくて頭が沸騰するとかそういう次元の話ではない。


「中居さん、これ駄目」


 SOSコールを試着室の中からすると、ちらりとカーテンが開いて、中居さんが顔を覗かせるけれど、


「……思った以上にあかんね、コレ」


 とアチャー顔で私を見る。うん、私もその反応、正しいと思う。


「うーん、そっか。こりゃ他の2つも駄目じゃんね。大きいサイズ専門店行かないと無さそー」


「うー……」


 安心したような、ある意味残念なような。


 別にそんなカワイイ系の服を着たいわけではなかったはずなのだけど、よし着るぞと意気込んだところで着れないとなると、それはそれで出鼻を挫かれて残念というか。


「……いや、まだ何とかなる! ちょっと店員さんに聞くから待っててちょ☆」


 ピースサインを残して中居さんはてってって、と小走りで女性の店員さんを捕まえたと思ったら、何やら談笑の後に店員さんと共に戻ってきた。


「この子でーす」


「はい、それでは少し正確なサイズを測らせてください」


 そう言ったかと思ったら、手早く私の体にメジャーを這わせ、あちこちの数値を測ってメモ用紙に控えていく。


「少々お待ち下さい」


 店員さんは笑顔でお店の奥に引っ込んだところで、ぽかーん顔の私は中居さんに尋ねる。


「……今の、何?」


「すぐに分かるぽよー」


 ニコニコして答えになっていない答えを返した中居さんの態度に首を傾げていると、店員さんが数着の服を持ってきた。所謂ガーリー? な感じだけではないみたい。


「ちょっと色や形の指定が出来ないのですが、この服など如何でしょうか」


「こやまん、ちょっと着てみてちょ」


 店員さんと中居さんに言われて、再度試着室に押し込められた私の頭の上には、ぴよりと1匹ハテナマークの小鳥が飛んでいたけれど、言われるがままに服に袖を通してみると、今までのサイズの服とは違い、案外フィットしていた。


 まあ、若干丈が短くてミニスカート気味になっているのと、胸元の辺りが緩めなことを除けば、だけれど。


「あの……」


 自分で試着室のカーテンを開けて外に出ると、


「おー! こやまん似合ってるじゃん」


「良くお似合いですよ」


 と中居さん、店員さんの2つの声の後に、


「あれ、準、結構良いんじゃない?」


「良く準にゃんに合うサイズ合ったねー」


 とその後ろから、しばらく姿が見えなかった岩崎さんと片淵さんが合流していた。


「着心地は如何でしょうか」


「あ、はい。若干、丈が短いのと胸元が緩いのが気になりますが……」


「それは……その、申し訳ありませんが……」


 私の言葉に狼狽した表情の店員さんに、私は慌てて首を横に振った。


「い、いえいえ、大丈夫です。それよりも私に合うサイズのもの、あったんですね」


 切り替えた私の言葉に、また穏やかな笑顔で答えた店員さんは、


「最近はお客様のようなモデルプロポーションの方も頻繁にいらっしゃるようになってきておりまして、そのまま標準の採寸サイズでは合わないといったお話をお聞きすることがございました。それから当店では、オーダ品もお取り扱いさせて頂くようにしているのですが、ただオーダ品は非常に時間が掛かってしまいますことと、1着のみですと非常にコストが掛かってしまうため、数着まとめてご準備させて頂くようにしております」


 ふむ? モデルプロポーションというのは……つまるところ身長が高い、という表現を出来るだけオブラートに包んだ被服系の店員さん用語なのかな?


 確かに「いやー、お客さん身長高いですからねー」みたいなノリで反応されてしまうと、人によっては腹を立てたりもするだろうから、被服系というかアパレル? 系の人の言い回しなのかも。


「えっと、でもそれじゃあその人が買いに来た場合は……」


「お客様が数着まとめてご購入頂く場合も稀にございますが、基本的に1着しか買われないことが多いため、その場合は店頭に並べるか、お声掛けいただいたお客様にお見せするようにしております。ですので、ご安心ください」


「だってさー」


 中居さんがふふんと得意げに笑う。


 なるほど、中居さんは良くここに来ているという話だから、もしかすると店員さんとも仲が良くて色々教えてもらっているのかも。


「ちなみにほぼ同サイズと申し上げましたのは、全くそのまま同じものをご準備して販売させていただきますと、他のお客様のサイズ情報が流出してしまいますので、ストレッチ素材でサイズがある程度可変できるものに限り、複数着作らせていただいております。詳細はパンフレットが御座いますので、ご覧になってください」


 そう言いつつ、店員さんが手近に積んであったパンフレットを渡してくれる。結構色々考えられているんだなあ。

2017/10/25 誤字修正

「オブラートに包んだ被覆系の店員さん用語なのかな?」

「オブラートに包んだ被服系の店員さん用語なのかな?」

初歩的な漢字誤変換です。

ご指摘いただきましたので、修正しました。

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