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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第7時限目 運命のお時間 その27

「じゃあ、岩崎さん、続きするよ」


「う、うん」


 改まってそう言った私がそう言うのだけど、さっきのことがあるからか、やけに体を固くして身構えている岩崎さん。


「……大丈夫ですよ、ケンカしなければ」


 笑顔で私がそう言うけれど、どうも岩崎さんとしてはまだ安心が出来ない様子。


「何というかお母さんって感じだよね、準は」


「あー、ケンカはダメよ! みたいな感じの肝っ玉オカンかもしれないねー」


 岩崎さんのそんな反応に、片淵さんも乗っかる。


「そうかなあ」


 張本人である私自身にそんなつもりは無いのだけど、外から見るとそう見えるのかな?


「ああ、そうだな」


 思いもよらぬ……いや、良く考えれば思い至るけれど、大隅さんからもお墨付きを貰った。えー、本当に?


 兎にも角にも、何だか色々ありすぎたお陰で一周回って落ち着いた私は、


「……岩崎さんって思った以上に腕細いね」


 なんてことを、桃色天国を目の前にしても言える余裕が出来てきた。良くやった私。


 ……いや、本当に良いのかな?


「そ、そうかな?」


 言われた岩崎さんは自分の腕をぷにぷに摘んでみたり、親指と中指の輪っかでサイズを簡単に測定したりする。


「私はそう思うけど」


「準も結構細いし、同じくらいじゃない?」


 もにゅもにゅ、と私の二の腕を揉んでくるから、私も塩を優しく擦り込みつつ、岩崎さんの二の腕を揉み返すけれど、そのまま私はお腹の方へ視線を移す。


「結構ウエストは締まってるね」


「まあ、陸上部でずっと走ってたからね。部活やめてから、ちょっと太ったけど」


 岩崎さんはそう言いながら、自分のお腹の、肉とも言えないほぼ皮部分を掴んで、


「ほら」


 と私に見せる。


「ほぼ皮だから全然問題ないと思うけど」


「いや、体重計は素直だからね」


 やっぱり数百グラムとかが気になるお年頃なのかな。気にしたところで仕方がない気がするのだけど。


「準は……あれだね、思ったよりはくびれ無いね。結構全体的に筋肉質なのに」


「ああ、まあ……そうかな」


 男だからね、って言うわけにもいかないけれど、事情を知らない岩崎さんが精一杯気を使ってくれた言葉に苦笑いを返す。


「岩崎さん、太ももは結構細いね」


「そうかな?」


「と思うけど。長距離選手だっけ?」


「ううん、短距離」


 塩塗りしていない方の足を上げたり下ろしたりして、岩崎さんがそう答えた。


「短距離なんだ。長距離は何となく細いイメージあるけど、短距離でも細くなるのかな?」


「どうなんだろ。あたしも良く知らないけど、うちの学校の陸上部は結構皆細いなあ。あまりガチな練習しないからかも?」


「そうなんだ」


「だから陸上部、弱いんだけどね。準が後1年早くうちに来てくれてればなー、間違いなくレギュラーだったのに」


 あー勿体無い、と溜息を吐きながら岩崎さんが笑いながらそう言い、


「……って、準の足って結構太いね。だから、あれだけ足速いのかな。部活は何もやってなかったんでしょ?」


 そう続けて岩崎さんが私の太ももと自分の太ももを比べながら言う。


「うん。あ、でも中学とかくらいまでは結構運動も好きで、部活の助っ人とかはやってたことがあったよ。バドミントンとかバレーボールとか」


「あー、バレーとか身長高いから、準にゃんなら強そうだよねー」


 胡座をかいていた片淵さんが、いつものにゃはは笑いしながら言う。


「でもそれ以降は全然ですね。……っと、はい、終わったよ」


「ありがと」


 私の終わりの合図で、岩崎さんはぎゅっと伸びをする。


「それじゃあ、次は――」


「はいよー」


 私が言い終わる前に、先に片淵さんが私の前に。


「都紀子、先でいいの?」


「いいよー、ってかほら、最後は準にゃんの相棒というか嫁というか、そっちの方がいいじゃんねー?」


 ちらりと流し目の片淵さんの言葉に、思わず私は目を白黒させた。


「よ、嫁っ!?」


「あっはっは、いやー、別に言葉通りの意味ではなくてねー」


 いつもの快活な笑い声を上げながら続ける。


「ほら、なんていうかさー。紀子ちんと準にゃんってさ、こう、パパとママっぽさがあるっていうか、紀子ちんとか準にゃんが褒められたりすると即座に乗ってくるし、旦那が褒められたときの嫁みたいな感じがあってねー」


「そ、そうですか? そんなことなかった……と思います……けど」


 しどろもどろで正木さんが答えるけれど、確かに思い返してみると、そういう話題のときの正木さんは即答で私を褒める方に回っていたような気はする。


「ま、というわけで大トリは紀子ちんに任せて、先に私が行かせてもらおうじゃないかー」


 そう言って、頭の上で腕を組む。これは悩殺ポーズのつもり……ではなく「さあやっちゃって!」的な待機状態だよね?


 塩を掬ってから、片淵さんの体にも塩化ナトリウムの洗礼を。


「いやあ、皆みたいに起伏のある体じゃなくてごめんねー」


「いえ、これはこれで需要はあるかと」


「ということはメインの需要はあまり無さそうってことかねー」


「い、いや、どうかな? 私も良く分からないなー、あはは」


 最後の1文を付けて無理やり誤魔化したけれど、実際のところはそれぞれの人の趣味に依ると思うので何ともとも。外的要因で判断するのはそもそも宜しくないと思いますので私自身どう判断するということもないわけですが、何で私は誰ともなくそんな言い訳をしているんですかね?


8/9 誤字修

「いやあ、皆みたいに起伏に乏しい体でごめんねー」

「いやあ、皆みたいに起伏のある体じゃなくてごめんねー」


この言い方だと皆に喧嘩売ってるとも取られかねない誤字でしたね。

ご指摘いただきありがとうございます(某H氏)。


2017/10/25 誤字修正

「バトミントンとかバレーボールとか」

「バドミントンとかバレーボールとか」

そういえばバトミントンではなく、バドミントンでした、すっかり忘れていました。

ご指摘いただきましたので、修正しました。

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