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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第1時限目 初めてのお時間 その10

 いや、確かに理事長さんと寮長さんは知っていたから、他の人が知っていてもおかしいわけではない。ないのだけど、保健の先生も担任でさえも知らなかったから、あの2人しか知らないだろうと油断していて、完全に虚を衝かれた。油断、ダメ絶対!


 というより、この子もまさか高校生? クラスメイト?


 いやいやまさか。こんなにちっちゃくて可愛い高校生が居るとは思えない。身長はおおよそ私の胸くらいまでだから、おそらく130cmくらいしかないし、やや三白眼気味ではあるけれども、目がくりくりしていて凄く可愛い。小学生と言われれば頷くけど、もし高校生なら飛び級のスーパー高校生という可能性も?


「いや、あの、その、私は……」


「まあ、何故かは知ってるんだけどにゃ」


「…………えっ」


 私は再度時間を飛ばされた。何だろう、この、えっと、何?


 笑うでもなく、蔑むでもなく、わたわたし始めた私の顔をじっと凝視する少女はそのまま視線を下に持ってきたかと思うと、そこら中に床置きされている機械と機械の細い隙間につま先立ちで歩いてきて、やおらしゃがんで私のスカートを捲った。


 その行動に私は数秒フリーズ。されたことにはっと気づいて、私は慌ててスカートを抑え、飛び退る。


「ちょ、ちょっ……!」


「ちゃんと女性用のショーツ履いているのにゃ。変なところ、律儀だにゃぁ」


 スカートの下にしゃがんでいた美夜子ちゃんの右手がこちらに伸びていた。さ、触ろうとしてた!? 何処をとは言わないけど! 何処をとは言わないけど!!


「でも、このサイズじゃ収まりきってないにゃ。水泳もあるから、その辺りはなんとかしてやるにゃ」


「え、あ、あの、何が?」


「言った方が良いにゃ?」


「……いや、いいです」


 というか、小学生くらいの女の子がする話の内容じゃないと思う。


「一応、本人の口から聞いておこうと思ったから、聞いてみるにゃ。何で、男が女子校に通ってるにゃ? 可愛い女の子と物理的にも精神的にもお近づきになろうという魂胆にゃ? やっぱりヘンタイさんにゃ?」


「ち、違うから! というかやっぱりとか言わないで!」


 中途半端にごまかしても、誤魔化しきれそうにない。ならば。


 私は素直に事のあらましを話した。といっても、大まかには今日の話が大半なのだけど。


「ふーん。ま、知ってるけどにゃ」


 椅子まで戻って再び胡座をかいた小学生っぽい猫耳っ娘が私の話を聞いたときの感想第一声がこちらになります。いくらなんでも酷すぎるので、床に転がる機械を踏まないように注意して今度はこっちが近づき、ほっぺたを両方から引っ張った。むにーんと結構伸びて、柔らかい。


「ひたひ、ひたひ」


 ちょっと涙目になった美夜子ちゃんはせっかくの可愛い顔をぶすっと不満顔にしてから、


「もう準に協力してやらないにゃ」


 と、ふんぞり返った。なので、もう一度ほっぺたを抓ってやろうとしたら、慌てて部屋の端っこに逃げた。


「そもそも協力してくれる気はあるの?」


「ないにゃ」


「…………」


「冗談だから、その手をわきわきさせるのやめるにゃ。あまり変なことすると、警察呼ぶにゃぁ」


 全く、この地下アイドル、ではなく地下猫少女は何なんだろう。黒いショートボブに黒い猫耳カチューシャみたいなものを付けて、良く良く見ればしっぽまで生えている。生えているって言ったって、もちろん体から直接伸びているわけではないと思うけれど、小刻みにぱたぱたと素早く揺れているのは機嫌が悪い猫のしっぽそのものに見える。


 そして、私の話について、知っていると言ってることも気になる。単なるブラフ、という可能性はあるけれど、そもそも私が男であることを知っている辺り、普通の生徒と立場が違うのかも。


 もう、頭の中でハテナマークがマラソン大会中なんだけれど、まあおそらくその内に分かるでしょう、とそれ以上考えるのは諦めた。


「何で、僕が男であるのを知ってたの?」


 もう男であることが分かっているから、今更私と言う気兼ねも必要もない。なので、一人称を僕に戻して話をする。


「学校内のネットワークはみゃーが管理しているからにゃ」


「美夜子ちゃんが?」


「美夜子じゃなくて、みゃーにゃ」


「みゃー?」


「みゃー」


 えーっと……、と僕は首を傾げ、そこには突っ込まずに、


「みゃーちゃんが?」


 と訂正した。


「そうにゃ。だから、学校のパソコンで共有されているデータは全て見ることが出来るにゃ」


「いや、勝手に見ちゃ駄目でしょう?」


「別に、個人のファイルを勝手に見てるわけじゃないにゃ。学校で共有しているファイルでも、ちゃんと読むところを読めば準が男だって分かるにゃ。まあ、それでも気づいたのは理事長くらいだったけどにゃぁ。ちなみに、知りたければクラスメイトのスリーサイズも分かるんだにゃ。教えてやらないけどにゃー」


ふふん、と鼻を鳴らして笑う少女に苦笑いする僕。


「教えてもらいたいとも思わないよ」


「……既に調査済みにゃ?」


「そんなわけ無いでしょう?!」


「にゃはは」


 楽しそうな笑い声を上げた美夜子ちゃんは、急にまた不機嫌モードに戻り、


「そうだったにゃ。そんなことを言うために、準を呼んだんじゃないにゃ」


 ぐるりんっ、と椅子を回転させ、私に背を向けるようにしてから、何やらカタカタと音を立てた。おそらく、画面の前にあるキーボードを叩いているんだと思う。キーボードがあるかは知らないけど。


 しばらくして、ようやく音が止まったと思ったら。


「これを見るにゃ」


 タン、とキーボードの音と共に複数の画面に映し出される、ある映像。その映像に、僕は思わず驚愕の声を漏らした。


まだまだ美夜子ちゃんことみゃーのお話は続きます。


1/4 文章修正

「別に、個人のファイルを勝手に見てるわけじゃないにゃ。学校で共有しているファイルでも、ちゃんと読めば分かるにゃ。

「別に、個人のファイルを勝手に見てるわけじゃないにゃ。学校で共有しているファイルでも、ちゃんと読むところを読めば準が男だって分かるにゃ。まあ、それでも気づいたのは理事長くらいだったけどにゃぁ。


みゃーが、何故準が男と気づいたか、の話の部分です。

自分で後で読み直して、日本語になってなかったので、文章ごと修正しました、申し訳ないです。


8/20 文章見直し

細かい部分の修正しかありません。

「~いたから」が同じ文章で2回使われているのを直したり「共有されているデータ」というのを「学校のパソコンで共有されているデータ」と付け加えたり、とかそんなレベルです。

それでも気になる部分は細く修正していこうと思います。

申し訳ありませんが、宜しくお願いします。


2018/12/16 文章修正

「 タン、とキーボードの音がしたと思ったら、複数の画面に映し出される映像。」

「 タン、とキーボードの音と共に複数の画面に映し出される、ある映像。」


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