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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第6時限目 内緒のお時間 その14

「……あれ、岩崎さんもう寝ちゃった?」


 結局、授業中の雑談ネタを整理している途中からうつらうつらしていた岩崎さんの意識が、完全に行方不明になってしまったようで、机に突っ伏して眠っていた。


 他の2人もかなり眠いようで、しきりにあくびを繰り返していたから、


「そろそろ終わりましょうか」


 と私が言い出すと、


「さんせーい」


「はっ、はい!」


 意識を半分くらい微睡みに突っ込んでいた2人も答えた。


「岩崎さん、そろそろ終わるのでお布団で寝ましょう」


 肩を揺さぶって岩崎さんを起こした私たちは、歯を磨いてそれぞれの部屋に。


「明日は7時起きでー」


「はい、分かりました。おやすみなさい」


「おやすみー」


「ふあぁ……」


「おやすみなさい」


 片淵さんの言葉に私が頷くと、岩崎さんを部屋に送り届ける役のためにいくらか覚醒した正木さん、完全に瞼を落とした岩崎さん、ふわふわと足取りが雲の上みたいな片淵さんがそれぞれの部屋に消えていった。


 見送ってから、私も部屋に戻り、


「おやすみ、テオ」


 とベッドの上で丸くなっている少し小さめな成猫に声を掛けると、それに応えるように大あくびと共ににゃーん、と一鳴きして、私の足元辺りで丸くなった。


 電気を消して布団に入り、1人で考える時間が出来てしまうと、途端に昼に言い放ったことが思い出される。


「……ホントに、大丈夫かなあ」


 あんなに偉そうなこと言ったけれど、正直自信はあまり無い。今日の雑談話からすると、片淵さんは凄く物覚えが良いというか、記憶力は結構良いようだったから、真面目に勉強すればすぐにテストは取れそうな気がする。


 ただし、その前後の授業内容も少しだけ話題を振ると、授業内容についてはほぼ記憶にないようだったから、雑談や興味のある内容についてはとことん記憶力が働き、彼女にとってどうでも良い内容は一切記憶に残らないタイプなのかもしれない。


 つまり、彼女のお母さんみたいに勉強を強要したところで、ほとんど意味はないと思うから、何か方法を考えないといけないとは思う。


 彼女をやる気にさせれば、多分そんなにテスト上位は難しくない気はするけれど、うちのクラスメイト含め、まだ皆が大体テストでどれくらい取れるかも分かっていないし、それ以前に自分自身だってどれくらいの点数が取れるかは分からない。だから、正直に言って10位という順位が現実味のある数なのかは分からない。


 頭の中で悩みがるぐる回っていると、コンコン、と控えめなノックが聞こえた。最初は気のせいかなと思ったけれど、もう1度、確かにノックが聞こえたから、


「はい?」


 疑問符付きでノックに返答をすると、


「正木です」


 とノックと同じくらい控えめに声が聞こえた。


 私は慌ててベッドから立ち上がって電気を点け、扉を開くと先程私の部屋を出た姿にプラス枕を持った正木さんが立っていた。


「どうしました?」


「えっと……部屋、入ってもいいですか?」


「ええ、どうぞ」


 体を引いて、正木さんを部屋に招き入れる。


 私が扉を閉めると、正木さんが枕を抱きしめながら、


「ごめんなさい。うとうととはしていたんですが、でも眠れなくて……小山さんはどうかな、なんて思って」


 とこれまた控えめに言う正木さんの瞼はかなり降りてきているから、おそらく眠れないというよりは私を気にして、起きてくれていたというのが正確なんじゃないかとも思う。


 せっかくの心遣いを無駄にしないように、というよりは正直なところ、私自身頭の中でまだ整理が出来ていないところだったから、話が出来るのはありがたい。


「……そうですね。私もちょっと眠れなくて」


「良かった。眠ってしまっていたら申し訳なくて……いえ、こんな時間に来ること自体、失礼かもしれませんが」


「大丈夫ですよ」


 ベッドに腰掛けた私に、


「お隣、いいですか?」


 と尋ねる正木さんに頷くと、おもむろにベッドに腰を下ろした。


「やっぱり、お昼の話で眠れないんですか?」


 正木さんの言葉に、私は素直に頷く。


「……ええ。あんなことは言いましたが、私自身あまり自信は無いんです。片淵さんにとっても、半分くらい押し付けみたいなことをしてしまった気はしますから」


 彼女のお母さんとの話は脊髄反射的に答えてしまったところもあるし、あのままでは片淵さん自身が壊れてしまう虞だってあった。だから、やったことが正しいとは言わないけれど、あの状況に一石を投じられたのは間違っていなかったとは思う。


 だからと言って、片淵さんに相談もなく、勝手に10位以内だ、駄目だったら学校を辞めても良いとまで言い放ったのはやっぱり短絡的だったとも思う。


 そんなネガティブな私の言葉に首を振って、正木さんが答える。


「いえ、大丈夫ですよ。私も出来る限り、バックアップしますから……と言っても、私より小山さんの方が頭が良いので何の役にも立たないかもしれませんが」


「そんなことないです」


 今度は私が、正木さんのネガティブな言葉に首を振る番だった。正木さんのノートを見せて貰ったけれど、ポイントが綺麗にまとめてあって、人によっては授業なんか受けなくても正木さんのノートをじっくり読んで勉強すれば、それだけでテスト上位は簡単に取れるんじゃないかって思ったくらいだった。苦手意識とかがある教科は、それでも難しいかもしれないけれど。


「……あの、良ければなのですが」


「はい?」


 おずおずと切り出した正木さんはこんなことを言った。


「一緒に寝ませんか?」

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