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風に想う
風が吹いた
真夏日の、日差し照りつけるとある公園
木陰のベンチに一人、腰掛けた
影の中、木の葉さざめく音に耳を澄ます
肌を撫でるように風が吹き抜けた
さわさわと、その身を鳴らす木々の葉よ
君らもこの風を感じているか
さわさわと、その身を鳴らす草花よ
君らもこの風、気持ちがいいのか
さわさわと、前髪がかすかに揺れる
くすぐったいようなむずかゆいような
こんな気持ちに君らもなるか
空の上、ゆったり踊る鳥達は
何を感じているだろう
空の上、ばたばた羽ばたく鳥達は
何を感じているだろう
人が走るときのように、己が身が、骨が軋む
ただそれだけか
心臓の、ドクンと逸る動悸
酸素の足りない真っ白な脳
俺達だって、走れば風を感じる
風渡る上空
鳥達が泳ぐように飛んでいる
陽炎揺らめく路上
アスファルトに芽吹いた草花
この風は、何処に向かうのか
この風は、何を運ぶのか
木漏れ日が目を刺すのを嫌って、右手を仰いだ
青空の下、真っ白な雲に蠢きを感じる
風が吹いているのだ