第95層 2人の朝
この作品は、文章表現レベルが1/1000Lvの作者の書いた作品です。
キャラ名が被ったりしますが、作者はオリジナルだと思っています。
様々な表現が含まれますが、話の内容と、作者の成長を見守ってください。
朝。
2人とも、日の出と言う同じタイミングで目を覚ます。
正直、眠りについたは良いが、浅い眠りばかりで、まるで眠った感じがしない。
一体、何度寝したことだろうか……。
目を覚まして、ミライは適当におにぎりを作るも、2人はほとんど手をつけなかった。
そして、この2週間ぐらいの長旅で、始めて「いただきます」を言わない食事になったのである。
ミライは、皿に盛り付けられた6個のおにぎりを見つめる。
そして、どんどん目線を上げて行き、ミチの顔に目を向ける。
今までに見たことの無いようなミチの表情。
その表情は、先を全く見ず、目の前の闇をずっと見ているかのよう。
ミチはミライの目線に気がついたのか、ミライの方を見た。
ミチはずっとミライの目を見続ける。
ミライも目をそらす事無くミチの顔を見続ける。
笑わないミチは新鮮だが、少し寂しい……。
ミライは少しミチに笑みを見せる。
ミチは笑わない。
ミライは歯を見せるように笑顔を作る。
ミチは笑わない。
だめか、笑わないか……。
ミライはため息をつき、表情を濁す。
「ふふっ」
ミチは笑顔を見せる。
「なんでだよ!」
そうミライは言って、笑顔を見せる。
「そうだよね。悲しんでいても仕方ないもんね」
ミチは言った。
「うん。悲しんでいても先に進めない」
「そうよね。……そんなのユミルが望んでないわよね」
そうミチは言って、ユミルの剣を取り出し、地面に置く。
あれ、僕も剣持ってたような……。
ミライはメニュー画面からユミルの剣を取り出す。
「あれ、なんでミライも持ってるの?」
「それは、ユミルの剣の刃の部分をメニュー画面に……」
「私は、持ち手の方をメニュー画面に入れたわよ」
「まさか……」
そう言って、ミライは目の前のおにぎりを手に取り、半分に分けて半分をミチに差し出す。
「メニュー画面に入れて取り出して」
ミチは言われるままに、メニュー画面に入れて取り出す。
ミライも、ミチと同じ動作をする。
2人の手元には、分ける前のサイズのおにぎりが……。
これで皿におにぎりが7個。
「これって、増殖!?」
ミチが驚いた表情を見せる。
「まあ、そういうこと」
「これを使えば!……」
「やめとこう。たぶん、どこかでネロさんに見られているだろうから……」
ミチの汚い考えをミライは否定して、少し周りを見渡す。
「そうよね……」
ミチは少し残念そうな顔をする。
「そんな事より、一回ビナンケに戻ろう。このまま先に進むわけにも行かないし」
そう言って、ミライは立ち上がる。
「そうよね。でも、その前に一つだけ」
ミチは立ち上がると、ユミルの剣を1つ手に持ち、地面に突き刺した。
ミライはその行動の意味が分からなかった。
「こうすると、死人の魂に安らぎを与えられるの……」
ミチは呟くように言った。
「ふーん。だったら……」
ミライは、もう1つのユミルの剣を手に取り、ミチの刺した剣を交差させるように剣を地面に刺した。
まあ、ミチの剣が真っ直ぐ刺さっているので、見た目は不恰好な重なりだが……。
「こっちの方が何となくカッコイイ」
そう言って、ミライは腕を組みうなずく。
「……まあ、いいわ」
ミチは何か不満があったようだが、何も言わなかった。
「……そろそろ、行こうか」
「いくわよ!ビナンケへ!」
ミチは少し震えた声で、叫ぶように元気に言う。
「じゃあな。ユミル……」
ミライも声が震える。
声は鳴きそうだが、涙は見せないミライ。
こうして2人は、不安定な気持ちの中、ビナンケへと向かうのだった。