第93層 メテオ・フレイム
この作品は、文章表現レベルが1/1000Lvの作者の書いた作品です。
キャラ名が被ったりしますが、作者はオリジナルだと思っています。
様々な表現が含まれますが、話の内容と、作者の成長を見守ってください。
(一体何が……)
そう言う、ロンギコロンの上に乗っているものにミライは驚く。
大樹の破壊により、大樹の破片や大樹の葉などと一緒に落ちてきた物。
あの頂上で作り上げたバリアだった。
相当落ちてくるのが遅かった気もするが、それにしても、こんな奇跡起こる物なのだろうか。
ミライはこのチャンスを逃さなかった。
大樹の葉が大量に降ってくる中、ミライは全神経を1点に集中し目をつぶる。
後の行動は、感じる思いのままに……。
ミライは目を大きく見開いた。
その瞬間、ロンギコロンの周りに出来上がる大量の炎の玉。
ロンギコロンを対象として、球状に無数の数が囲む。
(この程度の大きさの火の玉)
ロンギコロンは、大量の魔力の詰め込まれたバリアを押しのけ、宙に飛び立つ。
そして、球体の頂上の1つの炎の玉に触れる。
その瞬間、もの凄い爆音と共に、その火の玉だけが大爆発を起こす。
(うぐあっ……)
爆発力に押されて、ロンギコロンは炎の球体の下の方まで飛ばされる。
そして、再び炎の玉に触れて大爆発。
(ぐはっ)
その動作が、何回にもわたって続いた。
ミライはその光景に、一度も目を向けることは無かった。
しばらく爆発音が鳴り響き、ようやくロンギコロンが空中で体勢を立て直す。
羽も胴体も焦げた跡と細かい穴が際立って見える。
ミライは空に向かって両手を掲げる。
ユミルの大剣から手を放して……。
「メテオ・フレイム」
声は大きくないがはっきりとした口調で、一文字一文字に思いがこもっていた。
ミライがその言葉を口すさんだ瞬間、真っ青だった空の一定部分が、真っ赤に染まった。
ゴゴゴゴゴという音と共に、天から赤黒く燃え盛る、規格外の大きさの獄炎の玉が、地上のロンギコロンに向かっていく。
あまりの大きさに、まるで太陽が振ってきたようにも見える。
(な、そんな事があってたまるか!)
ロンギコロンは逃げ出すべくために、炎の玉に向かってどうにか逃げ出そうとする。
当然のように、爆発。
爆発を受けても、狂ったように炎の玉に突っ込む。
爆発、爆発、爆発……。
無理と分かっていても、ロンギコロンは無謀にも抜け出そうとする事を止めない。
……死と言う獄炎が確実に迫ってきているから。
獄炎が地上に近づいてくると、燃え盛る音も耳障りに感じる騒音と化す。
そして、異様に気温が上昇していく。
「ミライ、あんなの地上の落ちたら、私たちも……」
ミチは力を振り絞って叫ぶ。
「大丈夫だ。たとえどんな事が遭っても、僕はミチを守りぬく!」
きっと、これがユミルの言い残した言葉だろう。
ミライは騒音に負けないよう、大声で叫ぶ。
獄炎の玉は、炎の玉を飲み込み始める。
獄炎の玉が炎の玉に触れるたびに爆発音が鳴る。
まるで、死のカウントダウンをするように、一定リズムで、徐々に大きく……。
(こんな虫けらに、私がああああああああ)
ロンギコロンの爆音カウントダウンが終了して、ロンギコロンは自分の体の数倍の大きさの獄炎の玉に飲み込まれていった。
そして、ロンギコロンが燃え尽きて、残るは獄炎の玉が地に着くのを待つだけ。
ミライはミチの目の前に立ち、爆音の中、集中する。
もうユミルの大剣はいらない……。
自分の力で守り抜くんだ。
「バリア!」
ミライは高らかと叫ぶ。
目の前に、過去のものとは比べ物にならない大きさのバリアが発動された。
横幅、縦幅、どちらも数10mで、端っこが確認できない。
獄炎の玉の爆音カウントダウンは続く。
そして、地面まで少しのところまで来た。
「絶対に止めてみせる」
ミライは両手を広げ、巨大なバリアに付ける。
そして、獄炎の玉が地面に密着。
……すると思った。
だが、獄炎の玉は地面すれすれで方向転換をして、真上に向かって飛んでいく。
それも、振ってくるときの数倍速いスピードで……。
ミライは何が起こったか分からず、しばらく放心状態。
そして、何となく獄炎の玉着地地点に目を向ける。
「バリアか……」
ミライはその言葉と言うと同時に、腰を抜かして地面に座る。
着地地点には起死回生の基点となったバリアが有った。
ほぼ無傷の状態で……。
ミライはステータス画面を開いて、今の自分の状況を確認する。
「ははは……魔力、もう、3しか残ってないや……」
ミライはそう言って、メニュー画面から魔力回復薬を取り出す。
そして、飲もうと蓋を開けたときだった。
視界が大きく揺れだす。
耳鳴りが大きく鳴り出し、急激な頭痛。
ミライはその場で倒れこんだ。
そして、完全に気を失ってしまうのだった。
……このときミライは、しっかりステータスを確認できていなかった。
もう体力が、二桁を切っていた事。
そして、魔力値が3/4380だったことも……。
真っ暗闇な世界。
何にも見えなく、音もしない、寂しい世界。
ミライはそんな世界に、ぽつんと一人いた。
あれ、こんな世界、前にもあったような……。
ただ今回は、体全身に温かさを感じる。
何かに守られているような感じだ。
ユミル……。
ミライはその世界で少し笑みを浮かべ、ゆっくりと目をつぶる。
そして、再びゆっくり目を開ける。
目の前に見えるのは、今にも泣きそうなミチの顔だった。
「ミチ」
ありがとうな……。
ミライは呟き、目をつぶって笑う。
「ミライ……ミライいいいいいいいいいっうわあああああああああああん」
ミチは一瞬笑ったと思ったら、すぐにミライの胸元で泣き出した。
ミライは泣く事無く、ただただミチの背中に右手を置いてやるのだった。