第88層 空中の戦略
この作品は、文章表現レベルが1/1000Lvの作者の書いた作品です。
キャラ名が被ったりしますが、作者はオリジナルだと思っています。
様々な表現が含まれますが、話の内容と、作者の成長を見守ってください。
「バリア!」
ミライは落ちていくなか、とっさに大きなバリアを目の前に作り出した。
3人は、バリアの上に勢いよく落ちた。
「いたたたた……ミライ、よく出した!」
ユミルが一息付き、未来を褒めた。
「落ちまーす」
ミライは次に起こることを予測して、3人に聞こえるように大声で言った。
ミライのバリアを発動させたのは空中。
重力に逆らえないバリアは、落ちていくのは当然。
「え、何をって、うあああああああ」
身構えてないユミルは、再び大声で叫んだ。
再び3人は、風を切って落ちていく。
ただ、ミライは冷静に空中で集中する。
「バリア!」
ミライは、また3人の下にバリアを張る。
3人はバリアに叩きつけらられる。
今度は、バリア上に3人が同時に落ちた瞬間に、バリアが反動で地面に勢い良く落ちて行った。
「おいミライ、何を考えてるんだ!」
ユミルが大声で聞いてくるが、ミライは完全に無視。
今は説明してる暇はない。
「バリア!」
ミライは叫ぶ。
そして、バリアを作り出してはその上に落ち、バリアと共に地面に向かって進む。
これを何度も何度も繰り返していく。
少し集中し過ぎて頭が痛い……。
でも、死ぬぐらいなこの程度の頭痛、耐えなくては……。
「バリア!」
ミライはバリアを少しずつ生産する。
「なあ、みち。ミライは何を」
ユミルは無言でミライを見続けているミチに対して言った。
ユミルが言った瞬間、また3人は落ちていく。
「バリア」
ミライの声に張りがなくなってきた。
「……多分、全員が死なないように必死になってる……」
「それってどういう……」
ユミルが聞き返そうとしたとき、再び3人の体は宙に浮いた。
「バリア」
ミライの作り出すバリアは、どんどん薄さを増して行く。
「バリアに私達が落ちることによって、落ちていく勢いが一回リセットされるのよ」
「……ミライ、頭が良いな」
ユミルはミライの行動を理解したらしい。
3人は地面に向かって少しずつ落ちていく。
確実に落ちてく勢いを殺しながら。
「バリア」
弱々しくも、しっかりとした口調で呪文を唱えるミライ。
しかし、今まで通りなら出てくるはずのバリアが出ない。
「バリア……バリア!」
ミライの声の張りも虚しく、どんどん落ちるスピードを加速させて行く。
……魔力が底を尽きたのか。
もう、駄目なのか……。
そう思いながら、ミライは空中で器用に反転する。
反転した先には、二人が並んで風の抵抗を受けていた。
「……魔力無くなったよ」
そう言って、にっこり笑うミライ。
「ミライ!後ろ気をつけろ!」
ユミルはミライを見て叫んだ。
「え?」
ミライが一文字返事した瞬間だった。
パスンと言う音と、背中に激痛をミライは同時に感じた。
そして、ミライの後を追うように、2人がミライと同じ音を立てる。
ミチとユミルは、隣で寝そべりながら笑っている。
でも、2人の向こう側は完全に空だ。
一体何が起きたと言うんだ。
それとも、僕らはもうあの世ですか?
ミライは色々考えながら、その場で起き上がり、胡座をかいて座った。
「あ」
ミライは驚きのあまり声を漏らした。
足元に広がるのは、巨大なバリア。
さらに、その下全てがバリアで、バリアの層を作り出している。
「ははははははは……」
ミライは変な笑いが止まらなくなっていた。
生きてる……僕らは助かったんだ!
そう思ったときだった。
ミチが何かに気がつき、叫んだ。
「ねえ、足場のバリア……動いてない?」
ミチに言われて、二人は足元を見た。
言われてみれば、少しずつ右に移動しているような……。
「ねえミライ。確かこのバリアの元って」
「氷だよ。ひんやりしてるでしょ……あ」
ミライは話している途中で今の状況を理解した。
バリアは氷で、ツルツル滑る。
そして、厚さ、大きさが均等なバリアを作り続けるのはまず無理だ。
空中なら尚更だ。
……もし、この層を成しているバリアのどれか一枚に、厚さのむらが有ったとしたら……。
ただ、気づいたところでどうしようもできない。
だからミライは、たからに言った。
「下に落ちまーす」
そう言った瞬間、3人は数枚のバリアと共に、地面に向かって落ちるのだった。