第86層 途切れた滑り台
この作品は、文章表現レベルが1/1000Lvの作者の書いた作品です。
キャラ名が被ったりしますが、作者はオリジナルだと思っています。
様々な表現が含まれますが、話の内容と、作者の成長を見守ってください。
「キャーーーーーー!」
「うわーーーーーー!」
ミチとユミルの叫び声が響き渡る。
僕も叫んでいるが、2人の叫び声が大きすぎて自分の声が聞こえない。
まあ、2人の叫ぶ意味は、苦楽と対照的な叫びなわけなのだが……。
それにしても、この滑り台、もの凄く滑る。
甘い香りを放つ蜜は、完全に固まっていてツルツルと滑る。
そしてこんなにも滑って、安全処置の外枠が甘いのにも係わらず、ミチはスピードを落とすということをする様子は無い。
……だれかこの子を止めてくれ!
2人の叫び声がしばらく鳴り響き続けた後、ミチは突然ブレーキを掛けた。
急激にスピードを落として、そして「ゴツン」と何かが何かにぶつかる音が響き渡って、勢いが完全に無くなった。
「いたたたたたたた……」
ミチが、「た」の音をどんどん低くしながら連呼している。
ミチが完全に止まって、ミチの後ろに居たミライも、ミチの数センチ後ろで完全に止まった。
その後ろから、勢い良くユミルがミライにぶつかった。
「うわっ」
その反動で、ミライはミチにぶつかる。
「きゃっ」
ミチの可愛らしい叫びの後に、パチンと大きな音が響き渡った。
ミチは、ミライの手の甲に大きく平手打ちをしたのだ。
「痛っ!」
そうミライは叫び、ミチに触れていた手を引っ込める。
叩いたミチに文句を言おうと思ったが、少し冷静に考え直してやめた。
……うん。
胸に触ってたな……。
ミライはミチに謝るタイミングを失い、代わりに一言聞いた。
「ミチ。どうして急に止まったんだ」
「だって……どうみても、これ行き止まりよ」
元気なさそうにミチが言う。
その言葉を聞いて、ミライはミチではなく、ミチの前の方を見た。
そこには、巨大な空洞の穴が存在した。
ただし、完全に蜜で穴が塞がっているやつ。
「どうするんだよ。この滑り台、絶対登れないぜ?」
ユミルが後ろの方から言ってきた。
「たぶん、あの光魔法剣士さんは、これで地上まで降りたのだと思うよ」
そうミライは言って、滑り台の下を覗き込んで指を刺した。
そこには、1本の長い紐が見えない下の方まで伸びていた。
「うそだろ!大樹の残り半分をロープで下りるのかよ!」
流石にこの状況は、ユミルも冷静さも失うようだ。
冷静さを失うというより、必死に今後の未来を変えようとしているようにも見えるが。
「大丈夫よ。たぶん」
ミチの前向きな言葉も、「たぶん」と言う後付で信じれなくなってしまう。
3人はロープをもう一度見る。
風が吹くだけで、大きく、ゆらゆらと揺れている。
本当にセーナはこのロープで降りて行ったのかと考えてしまう。
「さて……行くわよ」
流石に今回は、ミチの声も真剣みを帯びている。
そして3人は、体にくくり付けたロープをそのままにして、風で大きく揺れるロープに、順番にゆっくりと捕まるのだった。