第68層 光魔法剣士ちゃん
この作品は、文章表現レベルが1/1000Lvの作者の書いた作品です。
キャラ名が被ったりしますが、作者はオリジナルだと思っています。
様々な表現が含まれますが、話の内容と、作者の成長を見守ってください。
「やったー!一番乗りー……い?」
ミチの喜びの声は、最後の語尾が疑問形だった気がするのは、間違いではなかった。
出口で立ち止まるミチに追いついて、ミライは目の前の光景を疑った。
もの凄い年輪の床とか、すぐ上を見上げれば真っ青な空が目の前にとか、凄い高さの美しい景色と言うのもあったが、それではない。
坂を上りきった先の光景は、巨大な羽の生えたモンスターの死骸と、青髪のロングのツインテールの少女。
忘れるはずが無い……。
ビナンケの町と、ヘシタテスの森に入る前に出会った、少女セーナだ。
一体何故こんな所に……。
「あら、あなた達、ここに何しに?……って、あの町の……」
セーナはミライに鋭い目を向けていった。
どうやら覚えていたらしい。
僕と同じ、好印象ではないようだが……。
「あの件はどうも。お嬢さん」
「ねえミライ、この子、知り合い?」
ミチは状況が理解できないようで、見たいに聞いた。
「僕が町で突然倒れた時あっただろ。それの原因」
「何となく分かったわ。でも、どうしてその子が?」
ミチもセーナに目を向ける。
「もう一度聞くわよ。あなた達、何しにここに?」
セーナは少し強めの口調で言った。
「町を救う依頼を受けて、ここのボスと交渉しに来た。そちらは?」
ミライは淡々と答え、セーナに聞き返した。
「ここのボスを倒しに来た。で、いいかしら?」
体は小さいのに、どこか態度の大きいセーナ。
その言動に少し苛立ちを覚えるミライ。
その時、ようやくユミルが登りきってきた。
「え……ボス……倒しちゃったの?」
ユミルが頂上に登っての第一声だった。
疲れているというよりは、困惑している。
まあ、この状況、無理は無いか。
「あの子がやったらしいわよ」
ミチは苦笑いを浮かべながら言った。
「はははははは……」
ユミルは声だけ笑って、表情は完全に死んでいた。
「倒して何か、まずかったのかしら?」
「そいつを倒したとき、何か出なかったか?」
「ふん。やっぱり、あなた達もこれを狙ってたのね」
セーナとユミルの会話に、2人は付いていけてない。
セーナは、恐らくメニュー画面から、謎の円状の大きなコインを見せて来た。
この距離からでは、大きな黄色いコインにしか見えない。
「それを渡してもらおうか?」
「私に勝てると思っているの?」
ユミルとセーナの話は2人を完全に置いていっている。
「ユミル、説明してくれよ。最初の方から」
2人の勝手に進んでいく、特急列車のような会話をミライは止めた。
「それは後だ!それよりミライ、あの子の情報を!」
ユミルは完全に止まる気が無いらしい。
「名前はセーナで、レベルは57。弱点は出ません」
「よし、話し合おうか、セーナちゃん」
ユミルの指示にミライは即答で返すと、ユミルは苦笑いを浮かべてセーナに声を掛けた。
正直、このフロアに入った瞬間アペンシスはすぐ掛けていた。
そして、このレベル差も掛ける前から予想できた。
だって、あの子強いんだもん……。
ユミルだけではなく、ミチも苦笑いを浮かべている。
ユミルでもレベル6の差。
ミチでレベル9差。
僕に関しては、レベル12も差がある。
3人がかりで行っても、勝てるか分からないのだ。
レベルがここまで来ると、1レベル差が命取りなのは、3人ともとっくに理解している。
「話し合いとは、冷静な判断ね。でも、『セーナちゃん』って子ども扱いしたから、叩きのめすわよ!」
セーナちゃんは、子ども扱いがお気に召さないようだった。
「じゃあ、セーナさん」
「遅いわっ!」
ユミルの言い直しした瞬間、セーナの声と共に、ユミルは声を漏らすことも無く地面に崩れ落ちた。
「ユミルー!」
ミチは叫んで、双剣を構えてセーナへと切りかかる。
「遅い、遅すぎるわ!」
ミチもセーナに気を失わされ、セーナに地面に寝かされた。
「さて、あとはあなただけよ。変態さん」
セーナは一瞬にっこりと笑ったと思うと、すぐに本気の目に戻し、ミライに真っ直ぐ飛び掛ってきた。
どうやら僕は、ここでは女性の方々に「変態」扱いされてしまうようだ。
「きゃあ!……やるわね!」
セーナはミライの目の前で、大きく弾き返された。
ミライは、とっさに自分の目の前に、しかも肋骨辺りだけにバリアを作ったのだ。
どうやら、セーナは腹元を狙う癖があるようだ。
一度殴られてて良かった。
そして、肋骨前に作られたバリアは、重力に従って地面に落ちた。
「そりゃ、一度殴られてますから」
ミライは、前殴られた場所を手でさする。
「じゃあ、私も本気でいけそうね!」
殴る前に見せた笑顔を見せるセーナ。
「レベル差12も有るんだから、やめてください。光魔法剣士さん」
ミライは、何故か顔が笑ってしまっている。
「あら?そんなことまで分かるの?素晴らしいストーカー技ね!」
「そりゃどうも。どうせ、下のフロアの明るさも、あなたの技だよね?」
「ご名答」
セーナの言葉を気に、2人は声を出し笑い出す。
ある意味、最悪な空気だ。
敵と笑い合える状況なんて、相手がライバルか、自分が死ぬ前ぐらいだろう。
「さて、あなたも武器を出しなさい。死なない程度にするから、本気で行きましょう」
セーナは手に武器を持ち、ミライに対していった。
相手は、殺す気は無いようだ。
もちろん、気を失っている2人に対して、止めを刺す気も無いだろう。
そして、あの笑顔を見る限り、どこかの戦闘好きの民族のように、戦闘がしたいだけの様だ。
「僕、武器装備してないんだ。それよりも、剣士なのに折れ曲がった傘かよ」
セーナの装備する武器にツッコミを入れる。
セーナの装備しているのは、綺麗に真ん中からぐねっと、くの字に曲がった傘だった。
そんな装備なら、装備しないほうが良くないか……。
「うるさいわね!装備しないよりましよ!じゃあ、行くわよ!」
そして、2人の魔法使い?の戦闘が今始まるのだった。