第36層 笑顔
この作品は、文章表現レベルが1/1000Lvの作者の書いた作品です。
キャラ名が被ったりしますが、作者はオリジナルだと思っています。
様々な表現が含まれますが、話の内容と、作者の成長を見守ってください。
「・・・と、こんな感じかな?」
そう言って、ミライは説明を終わらせた。
だいぶ大雑把に話したが、検問員も納得してくれたので良いだろう。
表情を見る限り、何となく嘘ついているのが分かっていたようにも見えた。
そんな複雑な表情を見せていた、検問員ミチが口を開いた。
「まあ、いいわ。私はユミルの回復の手助けしてみるし、ミライは朝食お願いね!」
言葉を聞く限りでは、許してくれたのだろうか。
いや、目を瞑ってくれたが正しいか・・・。
「はいはーい」
ミライは軽く返事を返し、昨日火をつけていた暖炉に魔法で火をつけた。
ミチは、ミライの返事を聞いてから、ユミルの元へと向かう。
さて、なに作ろうかなーっと。
そんな事を思いながらミライは、慣れない手つきで朝食を作り始めるのだった。
「はい。ミチ、朝食できたよ」
そう言ってミライは、簡単に作ったサンドイッチを、回復に専念するミチの隣に皿ごと置いておいた。
サンドイッチは、スクランブルエッグに、炙ったベーコンと生のレタスを、パン耳を切った食パンに挟んだだけと言うシンプルな作りだった。
切ったパン耳は、摘んでいたらあっという間に6枚分無くなっていた。
「ありがとうね」
声は笑っているが、顔は真剣だ。
そうとう回復術って難しいんだろうな・・・。
そんな事を思いながら、ミチの回復作業を見ていると、ミチに離れてくれと左手を払われた。
ミライは立ち上がり、黙ってミチから離れて、暖炉のそばに座る。
そして、サンドイッチを一口。
しばらくの間、火花が弾く音しか聞こえなかった。
そんな何も無い時間が数十分過ぎた頃、ミチがミライの隣に座った。
「ユミルは?」
「もう大丈夫なはずよ。骨もくっついたし」
ミチの表情は、まだ自信がなさそうだった。
しばらくの沈黙が続いてから、ミチが口を開いた。
「なんか、ありがとうね」
「え、何が?」
「この感じだと、あなたのおかげで私は生きていた。見たいな感じだからね」
ミチは、分かりやすい作り笑いを見せた。
「それは、どうもー」
ミライも、ぎこちない笑顔で返した。
「本当にね、あのモンスターに捕まった時、怖かった。凄い力だったから・・・ね・・・本当にね・・・本当に・・・」
そう言っている途中で、ミチは泣き出してしまった。
相当怖い思いをしたのだろう。
ミライは、そんな泣いているミチに何も言うことができなかった。
ミチは、幼い子が怖い物を思い出した時のように、ミライの肩で、すすり泣いている。
ミライは、左手でミチをそっと撫でる。
何も言葉を掛けれない自分が悲しい・・・。
しばらくの間、ミチのすすり泣きしか聞こえない時が進んだ。
その時の流れが変わったのは、「わ!」と言う声と共にユミルが目を覚ましたからだった。
「おはよー」
ミライは、目を擦るユミルに向かって、軽く声を掛けた。
ミチは、まだ泣いていて声を出せない。
「おはよー。なーんだ夢だったのか?ん?」
ユミルは、ぼそぼそ呟いて、こちらを見た。
そして、追加の一言。
「お2人さん。いつのまに?」
そのユミルの言葉を聞いた途端、ミチは、ミライを手で突き飛ばした。
「うわっ」
ミライは反射的に声が出て、突き飛ばされた方向に4回転。
「な、ビックリしたー」
ミライはその場で立ち上がり、少し大きな声で言った。
ユミルは、訳が分からないと口をあけてたまま、ミチの方を見ている。
「さ、さ!早く朝食食べて、先に進みましょ!」
ミチは、涙を必死に拭きながら言った。
その時、今日始めてのミチの笑顔を見ることが出来たのだった。