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ア・ホールド・ダンジョンズ!  作者: オレン
第一章 ホール・ダンジョン
36/217

第36層 笑顔

この作品は、文章表現レベルが1/1000Lvの作者の書いた作品です。

キャラ名が被ったりしますが、作者はオリジナルだと思っています。

様々な表現が含まれますが、話の内容と、作者の成長を見守ってください。

 「・・・と、こんな感じかな?」

そう言って、ミライは説明を終わらせた。

 だいぶ大雑把に話したが、検問員も納得してくれたので良いだろう。

 表情を見る限り、何となく嘘ついているのが分かっていたようにも見えた。

そんな複雑な表情を見せていた、検問員ミチが口を開いた。

「まあ、いいわ。私はユミルの回復の手助けしてみるし、ミライは朝食お願いね!」

言葉を聞く限りでは、許してくれたのだろうか。

 いや、目を瞑ってくれたが正しいか・・・。

「はいはーい」

ミライは軽く返事を返し、昨日火をつけていた暖炉に魔法で火をつけた。

ミチは、ミライの返事を聞いてから、ユミルの元へと向かう。

 さて、なに作ろうかなーっと。

そんな事を思いながらミライは、慣れない手つきで朝食を作り始めるのだった。


 「はい。ミチ、朝食できたよ」

そう言ってミライは、簡単に作ったサンドイッチを、回復に専念するミチの隣に皿ごと置いておいた。

 サンドイッチは、スクランブルエッグに、炙ったベーコンと生のレタスを、パン耳を切った食パンに挟んだだけと言うシンプルな作りだった。

 切ったパン耳は、摘んでいたらあっという間に6枚分無くなっていた。

「ありがとうね」

声は笑っているが、顔は真剣だ。

 そうとう回復術って難しいんだろうな・・・。

そんな事を思いながら、ミチの回復作業を見ていると、ミチに離れてくれと左手を払われた。

ミライは立ち上がり、黙ってミチから離れて、暖炉のそばに座る。

そして、サンドイッチを一口。

しばらくの間、火花が弾く音しか聞こえなかった。

 そんな何も無い時間が数十分過ぎた頃、ミチがミライの隣に座った。

「ユミルは?」

「もう大丈夫なはずよ。骨もくっついたし」

ミチの表情は、まだ自信がなさそうだった。

しばらくの沈黙が続いてから、ミチが口を開いた。

「なんか、ありがとうね」

「え、何が?」

「この感じだと、あなたのおかげで私は生きていた。見たいな感じだからね」

ミチは、分かりやすい作り笑いを見せた。

「それは、どうもー」

ミライも、ぎこちない笑顔で返した。

「本当にね、あのモンスターに捕まった時、怖かった。凄い力だったから・・・ね・・・本当にね・・・本当に・・・」

そう言っている途中で、ミチは泣き出してしまった。

 相当怖い思いをしたのだろう。

ミライは、そんな泣いているミチに何も言うことができなかった。

ミチは、幼い子が怖い物を思い出した時のように、ミライの肩で、すすり泣いている。

ミライは、左手でミチをそっと撫でる。

 何も言葉を掛けれない自分が悲しい・・・。

しばらくの間、ミチのすすり泣きしか聞こえない時が進んだ。

その時の流れが変わったのは、「わ!」と言う声と共にユミルが目を覚ましたからだった。

「おはよー」

ミライは、目を擦るユミルに向かって、軽く声を掛けた。

ミチは、まだ泣いていて声を出せない。

「おはよー。なーんだ夢だったのか?ん?」

ユミルは、ぼそぼそ呟いて、こちらを見た。

そして、追加の一言。

「お2人さん。いつのまに?」

そのユミルの言葉を聞いた途端、ミチは、ミライを手で突き飛ばした。

「うわっ」

ミライは反射的に声が出て、突き飛ばされた方向に4回転。

「な、ビックリしたー」

ミライはその場で立ち上がり、少し大きな声で言った。

ユミルは、訳が分からないと口をあけてたまま、ミチの方を見ている。

「さ、さ!早く朝食食べて、先に進みましょ!」

ミチは、涙を必死に拭きながら言った。

その時、今日始めてのミチの笑顔を見ることが出来たのだった。

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