第29層 「実力魔法」対「発想魔法」
この作品は、文章表現レベルが1/1000Lvの作者の書いた作品です。
キャラ名が被ったりしますが、作者はオリジナルだと思っています。
様々な表現が含まれますが、話の内容と、作者の成長を見守ってください。
ミライの火の玉は、20mという短い距離をゆっくり飛んでいる。
相手に届くのには、もう少し時間がかかりそうだ。
それよりも、途中で消えてしまうのではないのかとも思ってしまう。
「アッハハハハ。それがあなたの実力」
魔女クリーはミライを見て、見下すように言った。
そしてクリーは目線をギュウに向けて何かを言った。
何を言ったかは聞き取れなかったが、ギュウは言われてすぐに、ミライの放った火の玉に歩いて近づく。
「こんなもん、俺が消してやるよ」
そう言うと、ギュウは火の玉とのタイミングを見計らって、ミライたちを襲おうとしたときに使ったダガーを振り、火の玉を力強く斬った。
ダガーの刃と火の玉がぶつかった瞬間だった。
もの凄い爆音と共に、爆風が6人を包み込んだ。
「うわっ!」
ギュウは叫ぶと共に、大きく吹き飛ばされてクリーにぶつかった。
「いやっ!イタタタ・・・」
クリーは、上に乗ったギュウをどけて立ち上がる。
それに釣られるように、ギュウ、ゼインも立ち上がる。
「おい!ギュウ!大丈夫か!」
ゼインはギュウを見た瞬間に叫んだ。
ギュウはダガーを持った右手に火傷を負って、左耳から血を流しているのが、こちらからも見て分かる。
ゼインは、両手をギュウにかざしている。
どうやらゼインが、向こうの回復担当のようだ。
敵3人組が向こうで慌てている中、こちらの3人組は納得が出来ていなかった。
「ミライ、いつあんな見かけ騙しな技を?」
ユミルは、微笑みながら言ってきた。
「いや、イメージと違うし。と言うより、イメージ不足かな?」
ミライは、思ったままのことを口にした。
「あんな名前まで付けたのにね」
ミチは笑いながら言った。
「うるさいなー。まあ次こそはうまくするとして、今はあの人たちをどうにか追い払おうか」
ミライも笑いながら言った。
「あくまでも追い払うなのね」
ミチは呟くように言った。
「いや、殺すとか概念に無いし、見るのもいやだし…」
「じゃあ、どうやって追い払うんだ?」
ユミルはミライに向かって聞いた。
「考えがある。1人で大丈夫だと思うけど、何かあったら援護して」
「おっけー、まかせて!」
ミチは軽々しく答えた。
ユミルも軽くうなずく。
そしてミライは、自分の考えを実行するのだった。
「逃げるなら今のうちだぞ?」
ミライは、少し離れた30m先ぐらいの3人に大声で言った。
「だ、だれが逃げるものですか!」
クリーはそう叫ぶが、体が若干震えているのが分かる。
ミライは、その言葉を聞いてから、もう一度火の玉をイメージし、3人に向かって放つ。
今度は、大きさは変わらなくても、速さが数倍速い火の玉が打てた。
もちろん、爆発力も変わらなかった。
「つう・・・」
クリーはバリアで爆風を防ぎきる。
「フゲネス・フレイム!」
ミライは守りきったのを見計らって、同じタイプの火の玉を、2個3個という感じで、数を増やしながら放っていく。
クリーも必死に、バリアで爆風から3人の身を守る。
「あんまり調子に乗るんじゃないわ!」
クリーは隙を見て叫ぶと、ミライがあの時出したような、巨大な火の玉を空中に出した。
「やばっ、フゲネス・フレイムっ!」
ミライは焦りつつも呪文を叫び、空中に浮かぶ火の玉に向かって、こちらも火の玉を打った。
クリーの大きな相手の火の玉と、ミライの小さな火の玉とがぶつかり、爆風を起こして2つとも相殺される。
「うそでしょ!?」
クリーは、そう大声で叫んだ。
どうやらあれが、彼女の最大の力だったらしい。
「フゲネスッ・フレイムっ!」
ミライは大声で叫んだ。
すると、ミライ前方上空には、無数の小さな火の玉が、並んで現れた。
まるでそれは、巨大な1枚の炎の壁にも見えた。
「ちょっと、まずくない?」
ミチは、その大量の火の玉を見て言った。
ミライはミチの言葉を無視して、炎の壁の端っこの5発を3人組の前に落とした。
そして、安定の爆発を見せる。
「クリー。これは、逃げようって!」
それなりに回復したギュウが、そう言った。
「うるさいわね!お、覚えておきなさい」
クリーは、ミライに向かって言うと、一目散に町に向かって逃げ出した。
それを追うように、ギュウとゼインも逃げ出していった。
しばらくすると、3人の姿は町へと消えていった。
「ふー終わったー」
ミライは、そう言って火の玉を地面に落とそうとした。
「ちょっと、遠く狙わないと爆風に・・・」
ミチは、そう言いかけたが、落ちていくのを見て言うのをやめた。
残りの火の玉は、地面に落ちても爆発しなかったのだ。
「ダミーか・・・」
ユミルは呟くように言った。
「そういうこと。まあ、だいぶ魔力節約したほうだよ」
ミライもそう言って、自分のステータスを見る。
「戦略的だったわね。ほら買っておいた奴の1本、あげるわ」
ミチはそう言って、ミライに向かって魔力回復ビンを投げる。
「どうも。まあ、発想の勝利だったな」
ミライはそう言って、納得したようにうなずいた。
「まあ、ばれてたら形勢逆転してただろうがな」
そのユミルの冷静な言葉に、3人は笑い出したのであった。