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ア・ホールド・ダンジョンズ!  作者: オレン
第二章(下) 束縛された水の街
215/217

第215層 楽しい宴

この作品の作者は、文章表現が現時点でLv6/無限です。

様々な名称、場面が出てますが、作者は全てオリジナルだと思っています。

作品も作者も成長過程ですが、期待してください。

「いただきまーす!」


 ミライは一人両手を合わせて合唱した。

 そんなミライをミチとセーナはにこやかに見つめる。

 本当なら皆と一緒に食べたかったのだが、俺の起きた時間が悪かった。

もう1時間早く起きていれば、今よりは楽しいうたげの食事になっていたことだろう。

……分からないけども。


「ま、今更悔やんでも仕方のない事なんだろうけどね」


 ミライはそう小声で呟きながらも、料理に手を付ける。

 それでも、出遅れて食べている割には目の前に広がっている料理は中々に豪華なものだ。

肉か魚か分からない大きな肉ブロックの煮つけ。

海産物多めのシーフードサラダ。

そして、浮いた存在のホットケーキとオムレツ。

 誰が何を作ったかだなんて、目の前でじっと見つめる2人を見ればすぐに分かる。

 ミライは熱い視線を送る2人に対して、苦笑いを浮かべながら言葉を放った。


「……いつまで見ているつもりだ?」

「ミライが料理の感想を言うまで。ねぇ、そのオムレツ食べてみてよ」


 そうセーナはミライの顔を下から覗き込んだ。

 ……セーナのその上目使いは反則だと俺は思う。

逃れることを許さないような、その透き通った視線。

その視線だけで、言葉以上のものが心に突き刺さってくる気がする。

 ミライは少し顔を引いてから、セーナの作ったであろうオムレツに目を向ける。

 黄色いオムレツの上にはトマトソースで作られた赤いハート模様がえがかれている。

……模様はとにかく、意外にもおいしそうだ。

 セーナがごくりと喉を鳴らす中、ミライはオムレツを一口。


「……美味い!」

「でしょ!」


 セーナが嬉しそうに笑う。

 ただ単純な野菜包みオムレツなのに、味がしっかりしている。

特に南瓜かぼちゃのような野菜の甘さが、全体の美味さを引き立てている。


「よくこれだけのを作れたな」

「ふふん。当然でしょ」


 セーナは自分の評価に相当満足しているようだ。

 さて、次に味見をするのは……。


「ミライ、次はこれ食べてよ」

「……またホットケーキか?」

「いいから!」


 ミライの聞き返しにミチは声を張り上げる。

 これ以上怒らせるわけにもいかないから、ミライは黙ってミチの作ったと思われるホットケーキに目を向けた。

 シンプルな丸型のホットケーキが3段重ねで、その上には半解けしたバター、そして全体に輝きを放つ蜂蜜がしたたおおっている。

そして、ホットケーキにはハート形の軽い焦げ目が付けられていて、意外と手が込んでいる。

 ミチが心配そうに見つめる中、ミライはホットケーキを一口。


「……甘い!」

「でしょ! ……って何よそれ!」


 少しムスッと頬を膨らませるミチ。

 その顔がどんどんこちらに近づいてくる。


「誤解だ。思った以上に美味しくて、それで」


 両手を上げて体を引きながらミライは言った。

 ミチの顔が、とうとう自分の鼻先まで近づいてきた。


「本当に? ……まぁいいわ。美味しいのは当然だし」


 ミチも何かに納得したらしく、ミライから顔を離した。

 それにしても、お世辞抜きで本当に美味しい。

前回食べたものより格段にうまくなっている。

前回ホットケーキをいつ食べたかは覚えてないけど……。


「それにしても2人とも、本当にどうした? ミチなんか格段に料理の腕挙げたんじゃないか?」

「あら、そうだったっけ? 私は以前と変わらず上手いわよ」

「……ま、どちらにせよご馳走様でした」


 ミライは満足げに手を合わせ一礼した。

 やはり料理が美味しいと、食べるスピードも速くなるもんだな。

 ミライが満足げにしていると、ミチとセーナは顔を見合わせて微笑みながら口を揃えて声を出した。


「お粗末さまでした!」


 その言葉にミライがポカンとしている中、2人は楽しそうに笑うのだった。

読んで和んでくれたら幸いです。

次回は31日更新で、その後は日程を変更させてもらいます。

もう承に和みは含ず、転に向かいます。

☆(ここは後々サイドストーリーも予定してます。職業者に料理人が居る定でミチ・セーナ)

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