第214層 期待されし者
この作品の作者は、文章表現が現時点でLv5/無限です。
様々な名称、場面が出てますが、作者は全てオリジナルだと思っています。
作品も作者も成長過程ですが、期待してください。
ミライは大きく背伸びをしながら体を起こした。
少し寝ぼけながらも辺りを見渡してみるが誰もいない。
そういえば、昨日眠ったときはミチ以外誰も居なかったっけ。
「ようやく目覚めたみたいね。良い夢見れた?」
突然の声にミライは岩上の方を見上げると、昨日すぐそこに眠っていたミチが岩の上に座っていた。
今こうして岩を見上げると、結構大きな岩だったのがわかる。
それにしてもミチのスカートの中がちらちら目につくけど……気にしないでおこう。
ミライは腰を起こし、その場で立ちあがってミチの方を向いた。
「夢は見なかった。そんな事よりミチ、そこから降りてこいよ」
「ミライが登ってくればー」
そう言ってミチは笑う。
それもそうだなとミライは岩の頂上をチラッと見てから、地面を踏み込んで大きく飛んだ。
が、岩の半分の高さも飛べずにミライは落下した。
……どうやって登ったんだよミチ。
「私はひとっとびで乗れたわよ」
そうミチは笑い、岩上で立ちあがった。
心が読まれたと思い一瞬ハッとしたが、偶々だろうと気を取り直す。
そしてミライはミチに意識を集中させる。
「瞬間裏移動!」
ミライはその場で瞬時に消え、ミチの背後に瞬間移動した。
しかし、岩に着地したつもりなのに足元が何故か安定しない。
ミライは足元を見るや否や大声で叫んだ。
「この岩薄っ!」
ミライが地面に向かって急降下しそうなところを、ミチがどうにかミライの腕を掴んで阻止した。
「バカ! 飛ぶなら飛ぶって言いなさいよ!」
そう怒りながらもミライを引き上げるミチ。
ミチのおかげでなんとか助かったミライは、狭い足場にどうにか立つ。
ミチが抱き着くようにくっ付いてくるが、足場がこう狭いと何も言えない。
「で、なんだよこの集まり」
ミライは岩の上に立って景色を眺めることなく言った。
ミライの目の前に広がる光景は、昨日戦った100人以上の人達が集まってこちら向き、手を振ったり大声で叫んだりしているのだ。
「ミライの出向きを称える会」
「なんだよそれ」
ミチの冷静な言葉に突っ込むミライ。
ミチは笑いながら手を振りかえしてるが、本当に称える会なのだろうか。
ま、この騒動を作ったのは恐らくナトレだろうな。
そう思いながらナトレを探していると、探すまでもなくナトレが声をかけてきた。
「ほら、あなたに期待してる人があんなにもいるのよ。何か一言言ったらどう?」
ナトレはすぐ岩の下にセーナと共にいた。
……一言と急に言われても、どうすればいいんだ。
というか、まだ何もやってない気がする。
称えるのは、それが終わった後で良いんじゃないか?
そうこう考えながらも、ミライは大きく息を吸って言葉を吐いた。
「俺は!! ってうるさっ!」
「この中に音を操る職業者の人がいるの。その人の効果のおかげで普通に話しても遠くまで響くわよ」
「それを早くいってくれよ……」
ナトレに返した言葉も大きく全体に響き渡る。
ミライは気を取り直して、再び話し始めた。
「何が起きたか知らないけど、集まってくれてありがとう。知っての通り、俺はこれからグラムに立ち向かうつもりだ。でもその事はそんなに凄い事ではない。それだけは分かって欲しいし、称えるのもその問題を解決した後でいい。……でも必ず、グラムは俺がどうにかする」
ミライの言葉に皆の歓声が沸いた。
と、同時にミライのお腹が大きくなった。
当然その大きな腹の音も、辺り一面に響いたわけで。
その腹の音を聞いたミチは笑い出した。
当然、笑いは連鎖するかのように広がっていく。
ミライは恥ずかしさのあまり頬を赤く染めた。
「……とりあえず、腹ごしらえはした方がいいわね」
ナトレは苦笑いを浮かべながら言った。
「そうだな。まずは朝食を食べないとな」
「ふふふっ、ミライ、もうとっくに朝は過ぎてお昼の時間だよ」
「えっ!? 嘘だろ!」
ミライとミチの会話は辺り一面に広がっていき、全体の笑いはどんどん大きくなっていくのであった。
ルビ設定が変わったのか反映されてないかもしれないです。
そんな事より、投稿日程から大きく外れてしまって申し訳ないです。
日程は少し考えさえてもらいます。
次回更新は、私の風邪が治ってからで!