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ア・ホールド・ダンジョンズ!  作者: オレン
第二章(下) 束縛された水の街
208/217

第208層 覚悟と苦手

この作品の作者は、文章表現が現時点でLv5/無限です。

様々な名称、場面が出てますが、作者は全てオリジナルだと思っています。

作品も作者も成長過程ですが、期待してください。

「俺は確かに、セーナの言う通りダメージを調整して戦っていた。でもそれが、決して遊び半分・・・・みたいな理由で行動してたんじゃない。……少し不安があったんだ」

「不安って何よ?」


 少し張り気味のセーナの声が返ってきた。

 その対応にやれやれと、ミライは冷めた目付きで2人を見る。


「2人ともアイテムに頼って戦ってただろう」

「うっ……それは……」


 セーナが表情を曇らせ、返す言葉に困る。


「それが、俺の手加減の原因だよ」

「アイテム使って卑怯ひきょうだから、ミライも手を抜いたってこと?」


 ミチがかさず言葉を返してきた。


「違う。俺が不安を覚えたのは、アイテムの効力時間だ」

「……あっ」


 ミライの言葉でセーナは気づいたらしい。

 ミライはセーナの表情を見ながら少し笑うと、再び説明に入る。


「もしも俺が一撃を放った後、そのダメージ軽減のアイテムの効力が突然無くなった2人がダメージを真面まともに受けたりしたら――それこそ全て終わりだ」


 ミライの言葉に、2人はうつむき何も言わなくなる。

 もし俺が一撃で2人の体力を4分の3削れる8000ダメージの攻撃をしたとしよう。

そしてその攻撃が見事命中して、2人にアイテムの効力で800のダメージが入る。

 そんな事、出来るかどうかは分からないけどね。

 ……それなら良いのだが、もしアイテム効力が途中で切れて、そのまま8000のダメージが入ったとしたら――言うまでもない。2人は光となって消える。

 そんなの当然嫌だ。

 2人が目の前から消えるなんて考えもしたくない。

 だから俺は2人の残り体力で少ない方の1人が、一撃で死なない量のダメージを与えるしかなかった。

 それが俺の手抜きの答え。

 2人に言わなくても、表情を見れば理解してるかどうかなんてすぐ分かる。


「そんな顔しなくても、分かってくれればいいんだよ。それより俺も、戦闘中に気になる事があったんだ」


 その言葉に2人は顔を上げてこちらを見るが、言葉は返してこない。

 ミライは2人の表情を気にしながらも、言葉を続ける。


「なぜ2人が俺と戦う必要があったか」

「それは――ミライに勝てば武器が貰えるからで……」

「嘘つくなよ。バレバレだ」


 そう言ってミライはセーナのひたいを指で一突き。

 少し頬を染めてふくららませるセーナを横目に、ミチは真実を口にし始めた。


「……戦う理由なんて、ミライを止めたいからに決まってるでしょ」

「ちょっとミチ!」


 セーナが声を張ってミチが話すのを止めようとする。

 しかしミチは、セーナをおかまいなしに話を続ける。


「隠したって仕方ないわよ。……私たち、またはその他の誰かがミライに勝ってくれれば、ミライはグラムとの戦いを諦める。……そう思ったの」

「……そうなのか?」


 ミチの言葉に嘘いつわりはにようだが、一応聞きかえしてみる。

 セーナは小さくうなずき、ミチを見る。

 しかし、ミライの頭の中に1つ疑問が浮かぶ。


「なぜ俺がグラムを倒しに行く必要が?」

「……これよ」


 そう言ってミチはメニュー画面を開いて見せた。

 そこにはネロさんからの奇妙な内容の手紙が書かれていた。


「なるほどね……。これであの人数と戦う破目にあう理由も分かった」


 俺はあくまでもあの宮殿に人を引き付けないためのおとりに過ぎないと言うわけだ。

 ミチはどことなく姿勢を正して、口を動かす。


「……でも私たちは負けた。悔しいけど、今のミライにかなうわけがなかった」

「でもね、ミチも私も――他の皆も、ただ強いと言うだけでミライが無理に頑張る必要もないと思ってるの」


 そう言いながら、4足歩行でミライに近寄るセーナ。


「ミライ、お願いだからこれ以上危険な戦いはしないで!」


 ミチまでセーナと同じ格好でミライのもとへ近寄っていく。

 ちょっと2人とも、そういう近寄りは服を着替えてからにしないと……。


「ミライお願い!」

「お願い!」

「だーっ、分かった! 分かったけど、考え直すけど、その前に服着替えろ!」


 そうミライは言葉を吐き捨てて、2人に対して背を向けた。

 その後2人からの声が止み、しばしの沈黙が続いた。

 しばらくすると、背を向けるミライにミチが言葉をかけた。


「ミライ、こっち向いて良いわよ」


 その言葉通り振り向くが2人は、ただ立っているだけで、服は着替えずボロボロだ。


「あのー、着替えてる様子が全くないのですが……」

「ミライ、本当にもう危険な戦いはしないの?」


 そう言いミチは腰に手を当てて、ミライをじっと見つめる。


「考えてみる、よ?」


 そうミライが言葉を返すと、2人は不機嫌そうにほほを膨らます。

 その表情のまま、セーナは口を動かしミライに問う。


「戦わない確率は0%?」

「ゼロでは――無いな」


 ミライの答えに、2人の不機嫌度はさらに増していく。

 そして、意外な言葉がミチの口から放たれた。


「じゃあ、今後も危険な戦いをおかすなら、私たちの着替えを見てなさい!」

「なっ! それとこれとは全く違うだろ!」


 思わずミライは立ち上がった。

 ……言い分がおかしいし、訳が分からない。


「ミライ。今後どんな事になっても良いように、苦手は克服こくふくしなきゃいけないのよ。それとも何、ミライの戦いに対する覚悟は、自分の苦手に劣る程度の物なの?」

「言わせておけば! 分かった、まじまじと2人を見てやろうじゃないか。ほら、早く着替えてよ」


 ミライはそう言い、どっしりと胡坐あぐらをかいて座った。

 ……まんまと口車に乗せられた気がする。

というかこの行為、誰も得しない気がする。

 頼むから10秒以内に着替えてください。


「ミライ、目線を若干そらしてる」


 セーナが一言ミライに浴びせた。

 そんな単純な行動、すぐに見つかるか……。

 でも、顔を若干赤めかせながら着替えるのはどうかと思うが……。


「で、なんで着替えるのに画面を開かない」

「それは、画面の機能を使って着替えたって意味がないからに決まってるでしょ」

「おい、なんかの冗談だろ……」


 ミライは思わず言葉を呟く。

 ミライが混乱しはじめるのをよそに、2人は着替え始める。

 肩紐に手をかけ服を脱ぎだすミチ。

 服の袖の手から順に脱ぎ始めるセーナ。

 ……なんか、頭がくらくらしてきた。

 どうにか2人は上下の下着姿にまでいたった。

 ミライがほっとしたのもつかの間、さらに2人は下着まで脱ぎだそうとする。


「ちょっとまて! そこからは脱がなくてもいいんじゃないか?」

「だって汚れてるじゃん」

「汚したのはミライでしょ?」


 もう2人の言葉も訳が分からない。

 別に、今は下着の汚れぐらい――ねぇ?

 ミライの心配もよそに、2人は顔を赤くしながらとうとう背中の方に手をまわし始めた。


「もう無理しなくていいから、分かったから!」


 ミライも叫びもむなしく、2人は脱衣行動を続ける。

 そして2人が上を外し、完全に何かが見えた所で……。

 俺の視界に2人の姿が無くなった。


「ちょっとミライ! 大丈夫!?」


 ミチが慌ててミライのもとへと歩み寄る。


「あー完全に気を失ったわね」


 そう心配そうに見つめるセーナ。

 ミライは鼻から赤い鮮血を流しながら動かない。


「なにを『まじまじ見てやろう』だ。『無理しなくていいから』だ。……意気地いくじなし」

「苦手だけど嫌いじゃないって言ってたんだけどね。……苦手がまさりすぎ」


 ミチとセーナはそう言い、お互いに顔を見合わせて苦笑い。

 こうしてミライの長きにわたる戦いは、精神的ダメージによる気絶で幕を閉じるのだった。

こんな展開が書けるもの、この辺で最後かもしれませんね。分かりませんけども。

少し文章を改良してみましたが、無駄な気もしますね。

ではどうにか間に合いました。

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