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ア・ホールド・ダンジョンズ!  作者: オレン
第二章(下) 束縛された水の街
205/217

第205層 長蛇の列の終わり

この作品の作者は、文章表現が現時点でLv5/無限です。

様々な名称、場面が出てますが、作者は全てオリジナルだと思っています。

作品も作者も成長過程ですが、期待してください。

 あれから連戦に連戦を重ね、どれ位の時が流れただろうか。

それは俺も含め、この場にいるほとんどの人が理解していないだろうと思う。

 女性のみと1対1で連戦を続けるのかと思っていたが、気が付けば男性も入り、さらに気づいた頃には1対1なんて甘いルールは無くなっていた。

 ミライは対戦相手の6人を、たった一撃でぎ払った。


「勝負あり! 勝者ミライ!」


 そうナトレは、慣れた口調で言い放った。

 ……もうナトレの声にも、初期のような張りはとっくになくなっているな。

 そして負けを認めた相手は、渋々(しぶしぶ)とミライの背後の待機場に向かって歩いていく。

そういったパターンをミライは幾度となく繰り返してきたのだ。


「ちょっと、まだ戦えるわよ!」


 そう声を張り上げたのは、さっきの戦闘で大きく吹き飛ばされた女剣士だった。

 戦闘が終わった後、たまに体力の減りに気づかずに抗議をしてくる人が出てくる。

何で体力の減りに気づかないかというと、そのダメージに見合った痛みを感じていないからだ。

 一応、少々の痛みをともなうような攻撃をしているつもりなんだけど……やはりパーティ戦になると個人差が出てきてしまう。

 だから、そんな時に言うセリフは決まっている。


「君のステータスを見てから言いなよ。ピッタリ432減っているはずだ。それが君の体力の丁度4分の3だろ?」


 ミライの問いかけに、彼女は疑いの目をミライに向けながらもメニュー画面を開き、ステータスを確認する。

 そして彼女の表情が一瞬だけ驚きの表情に変化した。

 ミライはそれを見計らって、追加で彼女に言葉を掛ける。


「とにかくルール上、負けは負けだ。……俺は何時でも相手してあげるから、レベルを上げてまた戦いに来ればいい。あと、魔法使いのあの子は体力が低いから君が必ず守ってあげるんだ」


 ミライが話し終わる頃には、ミライの立ち位置は彼女の背後になっていった。

 ミライは彼女を横目に見ると、彼女はこちらを一瞬だけ見て、一瞬だけ微笑んで待機場へ歩いて行った。

 ……なんとか今回は諦めてくれたようだな。さて次の相手は……。

 そうミライは目の前の列を確認するが、目の前に人がナトレ以外誰もいない。

と、いうことは……。


「次の対戦相手、いないみたいだね。やっと終わりか……」

「ふふふ、それはどうかしらね」


 そうナトレは、薄ら笑いを浮かべながら言った。

 どう考えても訳の分からない返答だったが、そのナトレ言葉を理解するのは、そう遅くはなかった。


「もう誰も戦わないんですかー!」


 ナトレを手伝っていたミチは、待機場全体に向かって叫んだ。

 しかし、誰もミチと目線を合わせず返答する気がない。


「もう誰もいないなら、本日最後の戦いになりますよー!」


 さらにセーナが言葉を掛けるが、当然誰も答えない。


「って、最後の戦いって何だよ」


 ミライは唐突に思い、その場で口ずさんだ。

 その瞬間ミチとセーナが振り向き、にんまりと笑みを浮かべた。


「おい、まさか……」

「そのまさかなのよ」


 聞こえてきた言葉に振り向けば、ナトレがくつくつと笑っている。

 ……何か企んでいるときの顔だな。企みは大体予想がついたけども。

 ミライは再びミチとセーナの方に顔を向けると、2人は顔を見合わせてミライをジャンプで飛び越した。

 一瞬、空中で2人の姿に見とれてしまうが、気を取り直して飛び越えた2人の方を向く。

 2人は気が付けば見覚えのない武器を構えて、今すぐにでも戦う気でいる。

 ミチは両手の40センチ位の短剣(ジラハ・ボック)を軽く素振りしながら声を放つ。



「ねぇナトレ。本当にミライに勝てたらこの武器くれるのよね」

「当然よ。でもルールは変えないから、そう簡単に勝てるとは思わないで欲しいわね」

「望むところよ!」


 なるほど……俺が眠ってる間に絶対何かあったな。

 ミライは苦笑いを浮かべながらミチとセーナを見つめる。

 セーナも刀剣クレイモアを両手で構えながら口を動かす。


「ナトレ、いつでもいいよ」

「ちょっと待ってね。一応私にも段取りがあってね……」


 そう言うとナトレは何故か待機場の方に体を向けた。


(ミライ、ちょっと本気出すわよ。情報強制公開アペンシス状態のあなたには少し辛いかもしれないわ)


 え、ちょっと、それはどういう……。

 ミライが心内で伝えようとした、その時だった。


「聞きなさい、ミライ……魔法使いの彼との戦いを諦めた諸君!」

「ぐあっ……」


 ミライは訳の分からぬ衝撃に思わず悲痛な声をらす。

 そして待機場の人達がざわつき始める。

 ざわつきの理由はナトレの言葉が、耳と頭に直接響くから。

そして、ミライが突然地面に手をついて倒れたからだ。

 ナトレの言葉は、何故か体全身に響き渡り、電気で痺れるような感覚に襲われる。

 でもこの感じ、どこかで……。

 ナトレはミライをちらりと見て、少し笑みを浮かべながら言葉を続ける。


「彼はあなたたちの戦いでは、万分の1も力を出していないわ。そして彼の体力を一番多く削ったのは、クリー・ネク組で220。それでも彼の残り体力は7700以上あるわ」


 あまりの大きさ数値に、全体がさらに大きくざわつく。


「これから彼、ミライのやや本気の戦闘が行われるわ。今後生き残りたいって人は、よーく見ておくことね」


 その言葉の後、ミライの体の妙な痛み、痺れは無くなった。

 ミライは体勢を立て直してその場で立ち、心配するミチとセーナを気にしながらも待機場の人達の方を向いた。

 半分以上の人から興味の視線を感じる。……もう手を抜くことは許されないようだ。

 ミライは大量の観客の視線を感じながら再びミチとセーナの方に振り返った。


「先に言っておくが、ナトレの言った通り今まで本気を出していない。だしたらどうなるか……俺でもわからないぞ?」

「まずは私たちの実力を見てから、判断するのね」


 そうミチは不敵に微笑み、両手の短剣を構える。

 

 そんな空気の中、ナトレは楽しそうに口を動かす。


「それじゃ、始めるわよ。ルールは全く変更する気はないからね」

「別にどんなルールでも負ける気はないわ!」


 ミチはもう完全に戦闘モードに入ったようだ。

 ミチの隣で刀剣を構えるセーナも、表情を見る限りやる気のようだ。


(ミライ、先に言っておくわ。二人相手に手を抜こうなんて考えてたら、負けるわよ)


 ……はなから本気を出して、早く終わらせる気でいるから大丈夫だ。

 そうミライは心で呟き、箒を二人の方にかざした。

 ナトレは3人を見て微笑むと、両手をかざし、声を張り上げた。


「それでは、試合開始!」

お待たせしました!


環境の都合上、今回はケータイからの更新になります。


本当はクリー、ネク戦も書きたかったのですが……自己妄想満足にしておきます。


本当は一人づつを思い描いたような気がしたのだが……どうしてこうなった。



推敲がいつもより不十分です。間違えは指摘してください。


では、梅雨終わりまでにまでに二章完結を目指して頑張ります! それまでお付き合いのほう、よろしくお願いします。

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