第202層 目覚めた姿
この作品の作者は、文章表現が現時点でLv4/無限です。
様々な名称、場面が出てますが、作者は全てオリジナルだと思っています。
作品も作者も成長過程ですが、期待してください。
「んっ……ぬぅー……」
「……! ミライ! セーナ、ナトレ、ミライが目を覚ました!」
目を覚まして始めに聞こえたのはミチの声だった。
その高い声の響きに、何所となく懐かしさも感じる。
ミライは目覚めて次に行動を取ったのは、自分のメニュー画面を開く事だった。
アイテム欄から2本の薬を取り出し、両方を寝たままの状態で飲み乾す。
ミライが薬を飲み、体を起こしたのと同時に3人の女性がミライの前に立つ。
「よっと。……ミチ、セーナ、それにナトレ」
3人の顔を見たら、どこか心が温められていく気がした。
そう思いながら顔を眺めていたら、その周りに見知らぬ顔が1人、また1人と増えていく。
「あのー、やけにお見舞い人が多い気がするんだけど……」
ミライは疑問に思い、思わず口にするも、一番最初に見えた3方はただ微笑むだけ。
それに気付いてみれば、見知らぬ顔の中にクリーやネクの姿もある。
さらに見渡せば、グラムの元に使えていて、俺が凍らした相手もいる。
というか全員が女性なんですけど、なにかの苛めですか……。
ミライは多数の目線に囲まれながら、その場から立ち上がる。
そして一番怪しく微笑むナトレに現状を聞き込む。
「さてナトレ。とりあえず説明して貰おうか」
「それもあるのだけど、まず自分のステータスを確認しなさい」
「何で?」
「いいから、いいから」
腕を組みながら話すナトレに色々言いたかったが、とりあえずミライはもう一度メニュー画面を開き、
ステータスの欄をタッチした。
「……! ……? はっ……!」
「フフフ、口に出しては駄目よ。面白くなくなっちゃうからね」
ミライの表情を見つめながら、ナトレは笑う。
自分のステータス見たとき、俺は驚愕した。
まず、俺の残り体力だ。表示されている残りは201だが、俺が先ほど飲んだ薬の回復量は200。起きた俺の体は、起床時早々窮地に立たされていたようだ。
となると、あのメントの助言は本当だった。……夢ではなかったのか?
そして、もう1つ自分のステータスの異常に気づいた。それは0だ。
……前回覚えている各最大値の最後の数字に0が追加されている。つまり、全てのステータスが10倍も強化されているのだ。これは流石に異常だ。
体力なんて優に8000を超している……。つまり、ナトレの体力を軽々と超えてしまった。
一体俺の体に何が起きたんだ!
ミライはナトレをじっと見つめ、説明してくれと苦笑い。
「それが薬の効力よ。私でも1.2倍しか増えなかったのに、あなたは運がいいわ」
そう言って、ナトレはミライに回復ビンを手渡した。
それは、全体力を回復する最高品の回復薬だった。
「薬を飲んだのは賢明な判断だったようね。それは奢るわ」
「どうも」
そう言葉を返して、ミライは薬を一気に飲み干した。
ナトレもあれから薬の効力ステータスが向上したらしい。
それを確認しようと思ったが、多数の女性の姿が目に入ってやめた。
ミライは気を取り直して、ナトレに再び質問をした。
「さて、ナトレ。この現状を教えてもらおうか」
「ミチ、例の看板取り出して」
そうナトレに指示されたミチは、メニュー画面を開く。
そして一瞬固まってから取り出したのは、1つの折り畳まれた紙だった。
「看板もそうだけど、その前にこれ読んで」
そうミチは言って、ミライにその折り畳まれた紙を手渡す。
ミライはその紙を不思議に思いながらも、ゆっくりと開いて中を確認する。
その紙の内容は、沢山の寄せ書きだった。
救出お疲れ様!(セーナ)
助けてい頂きありがとうございます(ルモア)
私は貴方の存在を一生忘れません(メディー)
薬とタットをありがとう(ネク)
このご恩は必ずどこかで(ルリ)
借りは必ず返すわ!(クリー)
貴方の起こした奇跡は必ず私達の記憶に留まります(ロルン)
感謝します! ありがとう!(ライムント)
再びの光をありがとう(マップ)
救ってくれてありがとう(ロナクナ)
感謝しきれないです(アシューレ)
貴方は私達の希望になったんです(センニ)
皆あなたが救ったのよ。誇りに思うことね(ナトレ)
必ず来てくれると信じてた。ありがとう(ミチ)
それらの文がバラバラに配置されていて、全ての名前の横には赤紅のキスマーク。
……思わぬ大きな報酬を貰ってしまったな。
そう思いながらミライは顔を上げると、目の前には知っている5人を含めて14人の立ち姿があった。
「ありがとう。大切に保管するよ」
そうミライは微笑んで、アイテム欄に貰った手紙をしまう。
アイテム名は、『感謝の手紙』。
少し和やかな空気が辺りを包んだところで、ミチはミライに例の看板を無言で手渡した。
ミライはその杭で出来たような看板の、削られた箇所に書かれた文字を読んだ。
「新たなボスと戦闘するには、フードを被った魔法使いの男の子に勝ってアイテムを貰わないといけません……って、え?」
看板を片手で持ちながら、ミライは目線を全体に向ける。
すると、周りに集まっている女の殆どが、目つきを鋭くしてミライを見る。
なにか感動とは別の感情がミライを襲い、妙な汗が背中を流れる。
「ねぇナトレ。もの凄い嫌な予感が、俺の脳裏に過ぎるんだけど」
「貴方は選ばれた、戦闘対象ってことで事が進んでるから。よろしく」
嘘だろ……と思いながらミチとセーナに目線を向けると、彼女たちはただただ苦笑い。
「もし、嫌だと言ったら?」
「薬代請求するわ。10万rpね」
ナトレは不敵に笑みを浮かべ、ミライの肩をトントンと叩きながら歩き、ミライを通り過ぎていく。
「さて、皆さんお待たせしました! これから1対1で彼と戦っていただきます。いち早く戦いたい人はこちらへどうぞ」
「どうぞこちらへー」
ナトレの声の後に続いて、数人の女が指示に回っていく。
そしてあっという間に、長い1つの列が作られていく。
その光景を呆然とミライは眺める。
そんなミライをミチとセーナは通り過ぎ、振り向きざまに笑みと言葉を向ける。
「ミライごめんね」
「ミライ起きたとこ悪いけど、こうするしかなかったの。がんばって」
セーナとミチはそう言い残して、列の彼方に消えてしまった。
ざっと見て、50人いない位か。全く、どうしてこうなったんだよ。
「ちくしょう! 訳分からんが、やるしかないか……ナトレ、ルールは!」
ミライは叫び、ナトレの方を向いた。
ナトレは少し離れた場所から叫んで対応する。
「ルールは準備が整い次第、説明するわ。ミライ、先にアペンシス」
「分かった……情報強制公開」
そうミライは呟き、全体に効力範囲を広げていく。
そして大量のステータスが表記される中、ミライは愛用の竹箒を持ち構えるのだった。
推敲が間に合いません。ミスあるかもです。書き方スタイルも変更しました。書き直しもこれで。