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ア・ホールド・ダンジョンズ!  作者: オレン
第二章(下) 束縛された水の街
199/217

第199層 目覚めを信じて

この作品の作者は、文章表現が現時点でLv4/無限です。

様々な名称、場面が出てますが、作者は全てオリジナルだと思っています。

作品も作者も成長過程ですが、期待してください。

 ナトレの提案に誰しもが納得し、その準備も終盤しゅうばんむかえていた。

 脱走班の1人が口を開く。


「それでは、私達はこれの設置に向かいます」


「お願いね。途中で出会った人を勧誘かんゆうしても全然構わないからね」


 ナトレは楽しそうに良う。

 例の物を持った彼女達は、楽しそうに会話しながら街へ向かって行った。

 そしてこの場に残ったのは、私とセーナとナトレの3人だけとなった。

 ナトレは一呼吸入れてから、2人を見つめて口を開く。


「さて、私達も行動に移らないとね。セーナ準備は良い?」


「いいわよ! いつでも投げてもらって構わないわ」


 セーナは楽しそうに笑ってみせる。

 その言葉を聞いて、ナトレは準備段階としてその場にしゃがみ込み、組んだ手を地面に付けた。

そしてナトレの手の上にセーナが立ち、セーナは愛用の武器を構える。

 ……本当にナトレの言った事が可能なのかしら。

 そう思いながらも、ミチはミライを抱えて2人の行動に目を向ける。


「それじゃ行くわよセーナ。私達の事は気にせず、思いっきりやってよね」


「全魔力を使いきってやるわ。その後は……よろしく」


 ナトレとセーナがそう会話を終えた瞬間だった。

 ナトレは勢いよく立ち上がり、さらに全力でセーナの乗った腕を上に上げた。

その瞬間セーナは、ものすごい勢いで空高く飛んでいき、あっという間に姿が見えなくなった。


「ミチ、逃げるわよ。急がないと巻きいを食らうわよ」


「分かってるわ!」


 ミチとナトレは全力でその場から逃走した。

すると、しばらくしない内に空の彼方かなたから何かが降ってきた。

 それは巨大な柱のような物だった。

黄色のガラスで出来たようなき通った柱。

柱の底の方は鋭くとがっている。

それにしても……何よこの大きさ!

 ミチは全力で走り続ける。

空から降ってくるそれの大きさは、底面だけでも計り知れない大きさだ。

 あんなのをセーナはあつかえるというの? さらにそのセーナに勝てるミライって……。

 全力で走るナトレとミチの背後で、空から降ってきた巨大な柱が砂飛沫すなしぶきを立てて地面に突き刺さった。

突き刺さった柱は、しっかり砂に埋もれたらしく、倒れる様子はない。

 第一の作戦は成功したようだ。

 でもまだ全てが終ったわけではない。

 柱が地面に落ちたのを見計らって、ナトレは全力で元居た場所に向かって走って行く。

 ミチも心配そうに空を見上げる。

しばらくすると、ナトレの言った通り、魔法の反動で力なく落ちていくセーナの姿が空に見えた。

 ナトレはセーナの落下地点を予測し、その場に待機たいき

そして、見事にセーナを抱きかかえるように受け止めた。

 全てナトレの言葉どおりに事が進んだようだ。


「うまくいったみたいね」


 セーナを抱きかかえるナトレに対してミチは言った。

ナトレはセーナに魔力回復ビンを手渡しながら言葉を返す。


「そうね。後は彼女たちが上手うまくやってくれて、ミライが目を覚ませば全て解決よ。ミライには悪いけどね……」


 その言葉の後、ミチとナトレは苦笑いを浮かべながらミライを見つめる。

 本当にミライには目覚めてから色々してもらわないといけない。

今回の作戦の事もそうだし、グラムの事も……。

でも彼なら理由を聞けば、断る事無く協力してくれると思う。

 どちらにしろ、早く目覚めてくれないかな……。

 ミチはミライを毛布の上に寝かせ、地面に座るセーナの元に歩みった。


「セーナ、大丈夫?」


「なんとかね……。でも上手くいって良かった」


 そう言ってセーナは、自分のつくり上げた柱を見上げる。

ミチもセーナの視線を追うようにして、巨大な柱を見上げた。

 透き通った柱は、この場からでは頂上を見ることが出来ない。

これだけ目立っていて、彼女たちの配置している物を見れば、誰だってここに向かってくるだろう。

そうすれば、グラムによる被害も大幅になくなる。

 2人が目線を高くしている中、ナトレは2人に対して言葉を向けた。


「さて2人とも、今日の夜は忙しくなるわよ。食事とかの準備をしておかないとね」


「ねぇ、ミライは大丈夫なの?」


 ミライに目を向けながらセーナは聞いた。

 セーナが聞きたいのは、ミライの体力的問題。

体力ライフが0になれば死んでしまうが分かっているから、心配で仕方ないのだ。

 その気持ちは、口に出さないけど私も同じ。

 そんな心配する2人に笑顔を見せてナトレは言葉を口にする。


「大丈夫よ。今は彼を信じなさい。……順調に増え続けているわね」


「何が?」


 ミチはナトレの呟きに瞬時に言葉を返す。


「……本人が目覚めたときに直接聞きなさい。私から口にする必要はないわ」


 そうナトレは笑い、食事の準備を始めだした。

 ナトレには一体なにが見えているというのだろうか。

ナトレの言う通り、ミライを信じて待つしか出来ないのだろうか。

本当に、ミライは大丈夫なのだろうか……。

 そんな事を考えるミチを見透かしてか、ナトレはミチに言葉を向けた。


「ミチ。少なくともミライは、あなたの事を信じ続けていたわよ。むしろそれしかしなかった。それをあなたは応えたのだから、きっとあなたの思いも彼は応えてくれるわ」


 その言葉を聞いて、ミチはミライを見つめる。

 ……そうだよね。大丈夫だよね。……きっと。

 そうミチがミライに優しく微笑みかけ、そしてその場を立ち上がりナトレに言葉を向けた。


「ナトレ、私も手伝う!」


 ミチはナトレの所に行き、楽しそうにナトレを手伝い始める。

 ミライは私を信じて、そして助けてくれた。

……だから今度は私がミライを信じる番よ。

だからミライ、早く目覚めなさいよね!

 そう思いながら、ミチはミライが目覚めるのを待つのだった。

一応、今回でミチパートは終了です。

今後の展開のための大事な練習になったかと思います。

はてさて、女性陣の考えた作戦とは……。

次回、言うまでもなくミライパートに戻ります。

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