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ア・ホールド・ダンジョンズ!  作者: オレン
第二章(上) 束縛された水の街
195/217

第195層 不安無き眠りへ

この作品の作者は、文章表現レベルが現時点で4/無限です。

様々な名称、場面が出てますが、作者は全てオリジナルだと思っています。

作品も作者も成長過程ですので、あまり期待はしないでください。

 ミライはナトレに軽々と運ばれ、毛布の上に仰向あおむけに寝かされた。

 女性に簡単に運ばれるのには恥じらいやみじめさがあったが、今はそんな事を言っている余裕はなかった。

 もう手足は愚か、首までも動かなくなったのだ。

痛みも重みも何にもない。全く感覚がないのだ。


「ナトレ、ありがとね」


運んでくれた事に対してお礼を言った。

 あえて動くとしたら口ぐらいか……。


「ふふ、当然の事よ」


 ナトレはミライに軽く言葉を返し、すぐ何所かに行ってしまった。


「参ったな……」


ミライは苦笑いを浮かべ、溜め息混じりに言葉を吐いた。

 俺が眠ったら、起きるのは何時ごろだろうか……。

 何はともあれ飲んだのは11本の薬、……66時間か。

その効果時間の半分近くは副作用で眠る。

 そして目が覚めて生きているかどうか……なんて分からない。


「そんなに考え込む必要もないんじゃない」


そんなミチ声が、すぐ目の前から聞こえてきた。


「いつの間に乗ってたんだよ……」


ミライの体の上にベターっと体を乗せるミチに対して言った。

 もう彼女の重みを感じる事もできない。


「少し前からだったけど、重いなら下りるわよ?」


「いや……お好きにどうぞ。で、何のようで?」


ミライの言葉の後も、ミチはミライの体を枕のように使用する。

そしてミチは少し頬を染めたかと思うと、ニッと笑ってこちらに言葉を向けた。


「……ありがとう」


「えっ、あぁ、うん」


ミチの言葉が突然すぎて、返す言葉が見つからなかった。

 そんなミライを見て、ミチはニヤニヤ。

 何を伝えたいのかは分かったが、何故伝えてきたかが……分からない事もないか。

 ミライは息が段々荒くなる中、ミチに言葉を向けた。


「どういたしまして。……それで、一つお願いがあるんだけど」


「何?」


「俺のまぶたを閉じて欲しいんだ。……まばたき出来なくて目が痛い」


 もう目をつぶる事すらできなくなったのだ。

見えるのは、かすんでまぶしい星空だけ。

 ミチはミライの言葉を聞き、「ふーん」と軽い返事を返すと、ミライの眼球の目の前まで2本の指を近付けさせた。


「本当に閉じないみたいね」


「ばか、遊んでないで早くしてよ」


 ミチはフフフと笑いながらもミライの瞼に優しく指を置き、その指をゆっくり下に降ろす。

その動作を左右1回ずつ行い、再びフフッと笑い声を上げる。

 そして笑みを浮かべたまま、ミライに言葉を向けた。


「寝る時になったら、寝るって一言言いなさいよ?」


「じゃあ、寝る」


「えっ!?」


ミチの予想通りの声の上げ方にミライは笑みを浮かべる。


「そんな嘘ついてもバレバレよ」


2人の様子を見ていたナトレが声を掛けてきた。

 その後に続いて、セーナの笑い声も聞こえてきた。


「……何で嘘だと? また俺の鼻が?」


「いや、単純に計算しても残り30分位は目がえてるはずよ」


「うん、その通り」


そう言いミライは降参とばかりに笑みを浮かべる。

 でも逆に考えれば、残り30分しか余裕がないのだ。


「……で、3人に言っておきたいんだけど。もし俺が目覚める事無く……」


「目覚めないわけ無いじゃない!」


セーナはすぐさま言葉を割り込ませた。

それに続いてナトレも言葉をミライに向ける。


「そうよ。あなたのHPライフが0にならない限り、絶対に死にはしないの。何度も言うけど、この世界の鉄則よ」


「体力が減り続けるんだったら、私はそれ以上の体力回復術を使って見せるわ」


とうとうミチまで、一連の流れで言われてしまった。

……死んで消えたら、泣かれるというより恨まれそうだな。

 ミライは笑みを浮かべ、3人に言葉を向ける。


「ありがと………………」


ミライの言葉は最初の一部分で完全に途切れ、口しか動かなかった。

 その減少にミライをのぞく3人はハッと息をんだ。

 ミライはついに声すらも出せなくなってしまったのだ。


「ちょっとナトレ! ミライの……体力は大丈夫なんでしょうね!」


 ミチが慌しく言葉を放つ。

 一体突然どうしたんだよ……。

ミライは口を動かすが言葉は出せない。

……完全に自分の声が、自分の耳に入ってこない。


「大丈夫よ。一応ステータス数値に異常は見られるけど、決して減ってないわ」


「ねぇ、ミライは私達の声聞こえてるの?」


セーナが疑問をミライにぶつける。

 ミライは黙って笑顔を作り上げて見せた。


「それも大丈夫。でも聞こえなくなるのも時間の問題ね。私もそうだったから」


ナトレは冷静に口を動かす。

……1日前のナトレも俺と同じ現象が起きていたのか。


「そうよミライ。それ以上の副作用は無かったから安心して」


ミライの心を読みすかし、声を掛けるミライ。

……でも、ナトレは眠ってからも動いてなかったか?


「そんなの私の記憶には無いわ。眠った後は動けるのかしらね」


ナトレは少し楽しそうに口を動かす。

 その会話光景をセーナとミチはただただ見ることしか出来ない。

 ナトレはミライに伝えたい事を伝える。


「あなたが眠った後に死ぬ事は無いわ。むしろ逆。あなたは目を覚ましたら途轍とてつもない強さを身に着けているわ。だって……」


……だって何なんだ。

 強くってどう強くなるんだよ。

 しかしその返答は帰ってこない。

……もう分かってる。俺は聴覚すら失った。

 きっと目を瞑っているけど、周りも見えないんだろうな。

 しかし、だからと言って不安ではない。

 何か近くに温かさ……を感じる気がする。


「完全に聞こえなくなったわね。ミライももうすぐ眠っちゃうわね」


「……ふーん。ナトレの話を聞く限りでは大丈夫そうよね」


セーナが言い、ミチもミライを見てにやりと笑う。

……ナトレ、最後にみんなに……。


「ミライは喋れなくても、耳が聞こえなくても、私達に意志を伝えにきてるわ」


「それで?」


ミチは聞き返す。

ナトレは掌をミチに向け、目を閉じる。

 ありがとう…………。

 ミライの意志を追うように、ナトレは口を動かした。


「ありがとうね。それじゃ、行って来ます……だってさ」


そうナトレは言って微笑みを浮かべる。

その微笑みはミチとセーナに伝染していく。

 そして3人は笑顔を見せながら、声を揃えてミライに言葉を向けた。


「行ってらっしゃい!」


 さて俺の考えている事は届いたのだろうか。

いや、きっと伝わっただろう。

 見えてないけど、3人が声を出して笑っているイメージしか浮かばない。

 もう恐怖も何も無い。俺はやる事をやり切って眠るだけだ。

……さて、そろそろ眠ろうかな。

 それ以降何も考える事無く、ミライは微笑みながら長い長い眠りに入るのだった。

 お疲れ様でした。これで2章(上)が終了です!

大分事細かく遊び書きしたせいか、2章は分割しなければいけないと言う状況になりましたね。全く困ったものです。

 さて、長々と話すのは2章(下)の終わりの後書きで良いとして、今後の日程についてこの場で話させていただきます。

 正直、まだ確定ではないのですが、1回この作品の一章から書きなおしたいと思っています。

 その方法がですね。割り込み投稿と言う方法なんですが(理由、作者の投稿文字数に安定が無いから)……正直、文字数が増えてしまうのでどうしたらいいか検討中です。

 で、その書き直しの期間が、大体今年3月の後半(作者の進路が確定するまで)なのです。

さらに、割り込み投稿は報告も宣伝もしませんので、その程度の書き直しだと思っていただいて結構です。

 それらをご理解いただけたらなと思います。

 では、悪い事は言いません。今後の私の作品に展開に進歩が見えないなと思った方はどうぞ他の作品をお気に入り登録してやってください。

 この作品に終わりが見えてないのも事実ですので、早期完結はありえないでしょう。(現在8章まで確定)

 しかしそんな私も、皆さんに一言だけ言っておかなければならないですね。


「ここまで読破ありがとう! 私は何所までも頑張るよ!」


……ぐだぐだな中すいませんでした。自分の高体温に魘されながらの後書きでした。

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