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ア・ホールド・ダンジョンズ!  作者: オレン
第二章(上) 束縛された水の街
194/217

第194層 過去の一部

この作品の作者は、文章表現レベルが現時点で4/無限です。

様々な名称、場面が出てますが、作者は全てオリジナルだと思っています。

作品も作者も成長過程ですので、あまり期待はしないでください。

(ミライ、あなたは過去に何があったの)


ナトレは心内から伝えてくる。

 過去……それはこの世界ではなく、この世界に来る前のあの頃の事なのだろうか。


(そうよ。なるべく辛い過去の方が有り難いのだけど)


 ナトレには全て伝わっているようだ。

ナトレは苦笑いを浮かべ、こちらの返答を待っている。

 ミライは意を決めて過去を語りだした。

 俺は、……母親の顔を知らない。

いや、写真越しで見たことはある。美しくて髪が長くて綺麗な女性だった。

 しかし、その姿を自分の目で直接見つめる事はなかった。

彼女は、俺が生まれると同時に死んだらしいのだ。

 当時は上にいた姉と父親が涙を流しながら悲しんでいたらしい。

そんな事があってか、周りから多量の愛情を注がれ生きていた。姉を除いてだったけど。

 ミライは表情を曇らせ、黙り込んだ。


(……それで? その先は)


ナトレはかすように聞いてくる。

 ミライは大きく溜め息を吐いてから、再び心内で語りだした。

 しかし、その多量の愛情も俺の年齢が一桁の内に耐えてしまったんだ。


「……って、あれ?」


ミライは、ふとある事を疑問に抱いて思わず声を出した。

 そのミライの発言にセーナとミチはキョトンとしてる。

 ミライは疑問点を心ではなく口でハッキリと呟いた。


「俺が過去を話す意味は無いんじゃないか? そういった展開が苦手なのは、ただたんに女の子との……」


(む……)


ナトレは心内で完全に言葉を詰まらせた。

 だって、ナトレが俺の過去を知って何になるって言うんだ。

それも、楽しいものではなく辛い過去。

 それをナトレが知ったとして、それをどうすると?

ただなぐさめてくれるなら、ミチやセーナにも出来る。

 一体何が目的で……。


「ミチ、もういいわ。合掌しましょう」


「え、あ、もう終ったの? ……ご馳走様でした!」


「ご馳走様でした」


完全に受け流されたと思いながら、ミライは手を当て合掌した。

 そして、ナトレを見たらもうステータス表示が完全に消えている。

 絶対に何かある。そう確信した、その時だった。


「うっ……」


ミライは突然声をあげ、体をうつむかせた。

 体が急に重くなってきた……。

まずい、体勢を立て直せそうに無い。


「どうしたのミライ!」


ミチが声をあげ、ミチとセーナは心配そうにミライを見つめる。

 苦しそうにするミライを見つめ、ナトレは溜め息混じりに言葉を口にした。


「ミライ、あなたは今すぐ眠る準備をしなさい。体が重くなったのは、もう1時間もしない内に薬の効力が切れる何よりの証拠よ」


「え、何? 薬の効力って?」


ミチは困惑しながらナトレの方を向いて聞く。


「彼は、かれこれ60時間以上眠ってないの。特効薬で強制的に体を起こしてたのよ。そして、蓄積されたダメージが今、彼の体をむしばみ始めてるの。それが薬の効力で、残り1時間前ってことよ」


ナトレはそう言いながら目の前に並ぶ食器等を片付け始めた。

 ミライも仰向けに寝そべり、大きく呼吸を繰り返す。

 これは本当に、まずいんじゃないか……俺。

 こうしてミライの寝る前最後の食事は、波乱の展開で幕を閉じるのだった。

ミライ的にも作者的にも危なかった……。

次回で2章(上)終了です。

次回は後書きでも今後の事を長々話しますのでそのつもりでお願いします。

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