第186層 2人の魔法使い
この作品の作者は、文章表現レベルが現時点で3/無限です。
様々な名称、場面が出てますが、作者は全てオリジナルだと思っています。
作品も作者も成長過程ですので、あまり期待はしないでください。
宮殿内部。
この長い通路を通れば、あのグラムの居る王の間に行けるが……。
「そう簡単に通してくれるわけ、ないか……」
ミライは溜め息混じりに言葉を呟き、竹箒を持つ右手に力を込める。
ミライの見つめる通路の先には、2人の女が立ちはだかっていた。
その顔ぶれは情報強制公開を使わずしても分かる。
1人は白髪の魔術師、クリー。
何故か服装が最初に会った時の、俺様と同じフード付きのパーカーとスカートに戻ってるが……あの男の作戦なんだろうか。
まぁ、前回会ったときの破廉恥な格好よりは断然戦いやすいが……。
そして、もう一人なのだが……。
「何故ここに居るんだ?」
ミライは彼女に聞こえるように呟いたが、当然言葉の返しなんて来ない。
2人目、赤髪で黒一色の服装のネク。
相変わらずの大きな黒の魔法帽と、肩には目をきらりと光らす愛鴉が一羽。
どうしてネクはここに来てしまったんだ……。
出来る事なら2人とは戦いたくない。
いや、もしかしたら戦わずしてこの場を切り抜けられるかもしれない。
何故だか向こうの2人は、こちらに襲い掛かったりして来ない。
……きっと、ただの通路の見張り担当なのかもしれない。
ミライは小さな希望を抱きながら、2人の元へと歩いていく。
「……すいませーん。王のグラムさんに会いに来ましたー……」
そうミライは小声で呟き2人の間を通り抜けようとした、その時だった。
2人の女魔法使いは杖を構え、ミライを杖で殴り掛かってきた。
「はーあ、やっぱり駄目か。……魔術反射」
ミライは彼女らをギリギリまで引き付けてから、透明な氷壁を左右に作り上げた。
2人の動きがもの凄く遅く見える。
……遅い、遅すぎる!
2人の振り下ろした杖は、ミライの作り上げた氷壁に弾かれ宙へと舞った。
その杖めがけて、ミライは無言で燃盛る変化球を放った。
「……スケイシス」
ネクの呟くように小さな声が聞こえてきた。
その瞬間、ミライの放った火の玉が跡形も無く姿を消した。
「何が起きた!?」
ミライは思わぬ出来事に声を発した。
何故突然、俺様の放った魔法が消えたんだ……。
ネクはそう言った類の魔法を使うのか?
それに、気がつけば左右のバリアも消えている……。
2人の手元に杖が戻った。
クリーは杖が手元に来た瞬間、凄まじい威勢で魔術名を叫んだ。
「スタースライサー!」
その瞬間クリー上空に、大きな光の玉が現れた。
そして、その光の玉から無数の光の玉が現れミライに襲い掛かった。
「魔術反射!」
ミライは叫んで、目の前に氷壁を作り上げようとした。
だが、出てこない。バリアが作れない。
「くそっ、なにされたんだ!」
ミライは数十発もの光の弾幕を、バックステップを駆使して回避した。
最後には光の弾幕を生み出していた本体が飛んできたが、それをミライは華麗に宙返りで回避する。
俺様も大分やれるようになったものだと、つい実感してしまう。
「暗底に眠りし力よ、我が力の糧となりて万物の動力を封じ込まさんとせん」
ミライが宙を舞ってる間に、ネクが今までに無い位の力強い声で唱える。
「なっ」
何が起こるというのだ……。
魔法でも、魔力を込めて唱える形の魔法は最高力難易度だぞ……。
と、ナトレから教わったが……。
「……リストレイント」
ネクの最後の呪文名では、やはり呟くような小さな声だった。
だが、威力は声に反比例して凄まじい物だった。
だミライが宙返りでの着地の瞬間に、ミライ中心でネクまでの距離が半径の、もの凄く赤く大きい魔方陣が形成された。
その瞬間、ミライの体に妙な重圧感が圧し掛かった。
「グハッ……何が……アペンシス」
ミライは小さな声で呟やいた。
もしかしたら魔法が発動できないかとも思った、しっかりとステータスが表示された。
クリー、レベル1、星術師。
……そういえば、クリーの職業を始めてみたが、また個性的だな……。
そして問題のネクは、レベル1、闇炎使い。
闇の炎を操る……動けないのと関係ない気が……。
だが、大体彼女の魔法がどういった系統かが分かった。
魔法陣魔法。敵を魔法陣にはめて様々な行動を不能にする。
さっき魔法が使えなかったのも、少し先に見える魔法陣が原因だろう。
ミライがその魔法陣を見つめていると、魔法発動を無効にする魔法陣は姿を消した。
そして、この魔法陣には少なからずのダメージ判定があるようだ。
気がつけば現在進行形で体力(HP)を80以上持ってかれている。
この状況、一体どうすれば良いんだ……。
じわじわと体力が奪われる中、ネクは更なる追い討ちをかけてくる。
「タット、行け」
何とも短い命令文で、ネクは肩に止まる鴉に指示を出した。
王に操られると、ここまで優しさも消えてしまうのだろうか。
ふとそう思うミライだったが、そんなことを考えている余裕は無かった。
指示を受けたタットは、ゆっくりとこちらに向かって飛んで来る。
その跳ぶ過程の中で、どんどんと姿を変化させていく。
炎に包まれ、それが大きく増幅し、1羽の火の鳥のような巨鴉へと進化していく……。
「なっ……嘘だろ!」
その光景にミライは叫ぶことしか出来ない。
魔法を発動しても消される。
巨鴉はどんどんスピードを速めて来る。
あんなのを食らったら、生きていても戦闘なんて出来る体が残っていない。
ミチを助け出す前に、ゲームオーバーかよ!
そんなの、そんなのって!
明日続き投稿できたらします。遅くても明後日です。