第180層 勝敗は一瞬
この作品は、文章表現レベルが3/1000Lvの作者の書いた作品です。
様々な名称が出てますが、作者は全てオリジナルだと勘違いしてます。
作品も作者も駆け出しですので、作品と共に作者の成長も見守ってあげてください。
「ちょっと待て! 卑怯だろ!」
ナトレの腕の中で、もがきながらミライは叫ぶ。
だが叫んだところでミライの状況は何も変わらない。
「戦いに卑怯も何もないよの。セーナ、ミライと目線合わせてはだめよ」
「分かったわ」
ニヤリとセーナはナトレの言葉にに受け答え、折れ傘を右手でくるくると回す。
そしてぴたりと動きを止め、折れ傘を天に掲げて叫んだ。
「ライトビーム!」
次の瞬間、傘元から光線が発射されミライの胴体を貫いた。
「うぐぅ……」
光が体を通り抜けて穴が空いたわけではないが、通り過ぎた箇所の服の布が完全に焦げて無くなっている。
さっき受けた光の柱の魔術よりも、明らかに痛い。
ミライ残りHP 420/728。
220ダメージ食らうのは、流石の必殺技と言った所だろうか。
そして、ミライを後ろで固定していたナトレにも220ダメージ。
「まだ降参しないの? これ以上は流石に辛いと思うわよ?」
完全に勝ち誇った気でいるセーナは言った。
確かに次ぎにライトビームを受けるのは非常に辛い。
だが完全に俺様が負けが確定したわけじゃない。
それはセーナの魔術発動時、一瞬だが目が合ったのが分かったからだ。
次の一撃で160以上のダメージを与えれば……勝てる。
「やれるもんなら、やってみれば良いさ!」
もの凄い挑発的態度でミライは言った。
その言葉にナトレはくつくつ笑うが、笑うだけで何も言わなかった。
……勝敗は2人に任せた、と言うことなのだろうか。
こうなると、次のセーナの魔術発動時が勝負だ。
俺様の瞬間裏移動が先か、セーナのライトビームが先か。
その勝負所は、すぐさまセーナの先手によって行われた。
「その無駄口を漏らさせない様にしてあげるわ! ……ライトビーム!」
セーナがノリノリに台詞を吐き捨て、魔術を発動。
その瞬間、セーナとミライの目線がしっかりと合わさった。
ミライはそのタイミングを見逃さず、無言で瞬間裏移動を発動。
そして、見事にセーナの後姿を捕らえた。
ナトレ腕からも抜け出し、引き離す事もできた。
「これで、終わりだっ!」
ミライは両手をセーナに向かって掲げ、燃盛る変化球を唱えた。
だが、ミライがそれを発動する前にセーナが動いた。
「ふふっ、読みどおりよ!」
不敵な笑い声と共に言い、セーナは回し蹴りを繰り出した。
その時、ミライにはセーナの動きがもの凄いゆっくりに見えた。
だが、その動くスピード以上にミライの体はまるで動かなかった。
自分だけが時間の流れに取り残されたように……。
「そおいっ!」
そして勢い良く放たれた回し蹴りがミライの股間にクリーンヒットォオオオオオオオオオオ!
誰しもが叫びたくなるくらい、セーナの回し蹴りは華麗に決まった。
「つぁっ……」
ミライは小さく声を漏らし、右手に構えていた竹箒をポフッっと砂の上に落とした。
そして、その箒を追うようにミライもバタッと音をたてて地面に顔を突っ込んだ。
本当に一部分が過剰なまでに痛む。
薬の効果なんて微塵も感じられない位に痛い。
俺様のHPはまだ残っているのか?
HPは無くなっていなくとも、俺様の急所は間違いなく亡くなっただろう。
砂に顔をうずめ、呼吸もしないでただただ考え理解する。
……あー、俺様は負けたんだな。
ミライはうつ伏せの状態から転がり、仰向けになった。
ミライは自分で顔の砂を払おうとしたが、ナトレが顔上から水を掛けてくれた。
息を大きく吸うと、痛みのせいか涙が流れてくる。
「完全に勝負あったわね」
ナトレが気の毒そうに笑っている。
恐らく、ナトレはこの転回が全て見えていたのだろう。
いや、読めていたというべきだろうか……。
「私達の勝ちでいいわよね。罰ゲームは1人1回ずつで良いわよね」
セーナから追い討ちの言葉が掛けられた。
そういえば、そんなこと言ってたっけか……。
「分かったよ。何でもいいよ」
ミライは笑みを浮かべ、そう即答した。
少なくとも、こんな痛い思いする事より厳しい罰は待ってないだろうと思ったからだ。
気がつけば、空も夕焼け色に染まっていた。
相当時間は経ったが、全ては一瞬の出来事だったな……。
そう思いながらミライはしばらくの間、2人の笑顔と夕焼け空の景色をただ見つめて笑うのだった。
1日遅れましたが、大目に見てください。
クリーンヒットォオ……のオは3割り増しです。それだけ美しく、強烈なイメージで。