表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ア・ホールド・ダンジョンズ!  作者: オレン
第二章(上) 束縛された水の街
149/217

第149層 衝撃的文通

この作品は、文章表現レベルが2/1000Lvの作者の書いた作品です。

様々な名称出て、他作と被ったりしますが、作者はオリジナルだと思っています。初心者的文章構成ですが、話の内容と、作者の成長を優しく見守ってください。

 ドーンと言う爆発音と共に、牢内に砂煙が立ち込めた。

 牢内中のだれもが咳き込む中、徐々に砂煙は治まり、じわじわとばぶしい光が見え始めた。

 牢の中に、一際ひときわ目立つ大きな穴が現れた。

その光景を見て、だれもが言葉を出せずにいた。


「……ミライ、やるじゃねえか!」


大分だいぶ時間がたってから、エクトリーヌは笑いながら言って、ミライの肩をがっしり腕で包んだ。

 そのエクトリーヌの言葉で、牢内は歓喜の声で包まれた。

 ただ1人、ミライは声を上げずに、冷静に言葉を口にした。


「……だめだ、ここからじゃ抜け出せない……」


 ミライの言葉が牢内全体に広がると同時に、牢内のむさ苦しい空気に、一筋の涼やかな風が吹きかけた。

 ミライは、自分の穴を空けた方向を指差した。

 ミライの指差した先は、この町を囲む水壁すいへきが見えた。

しかし、見えている水壁は、大分上部の丸まりの強い部分だった。

 一人の男が、空いた穴から下を覗き込んで絶句した。


「無理だ……こんな高さ……」


「みんなの持ち合わせをつなぎ合わせて、1本のロープにしたら……って無理か」


エクトリーヌは提案を出すが、みずから現在地の高さを確認して、諦めた。

 全員が、言葉を再びなくし、誰もが諦め始めた。……その時だった。


「いよーし……完全治療終わり!」


そう声を上げて立ち上がったのは、今まで座りながらミライの足を回復させていたランツだった。

 ランツは、耳をふさいでいたヘッドホンを外して、肩に掛けた。

 ミライは、どこかしら力の感じ取れないランツに声を掛ける。


「傷の治療ありがとう。助かったよ」


ミライは足の痛みがなくなっているのを、足をグネグネ動かして確認する。

 ランツはまじめな表情をして、ミライに言葉をぶつけた。


「音楽の力は最高だ!」


「……え?」


突然の言葉に、ミライは思わず聞き返そうとする。

 すると、やれやれとエクトリーヌは「また始まったか」とミライとランツの間に割って入った。


「ランツ、何かテンション上がるの1曲頼む。……そしてミライ。彼はこういう男だ」


「うん。さっぱり分からん」


ミライはエクトリーヌに苦笑いで言葉を返した。

 そしてランツは、エクトリーヌの言葉を聞いて、穴の空いた壁とは反対側の壁までゆっくりと歩き、ずるずると壁に横たわりながら座ると、メニュー画面を開き、手元にギターを取り出した。

 そして、数秒ほどこめかみに指を当てて考えたそぶりを見せると、突然ギターで陽気な音をかもしし出した。

 その音色に、思わずミライは耳を傾けてしまう。

 ……そういえば、この世界に入って音楽なんて、まるで聴かなかったな。

 何だか、もの凄く……落ち着かない!

 エクトリーヌの醸し出すBGMによって、荒れくるうように牢内はにぎわい始めた。

踊りだす者、声を張り出すもの、そして何所どこかしらから楽器を取り出して、高音の笛や、リズミカルなドラムの音まで鳴り出した。

 その全員に共通するのは、僕も含めて笑顔になってしまう事だ。

 まさに、音楽の力は最高である事を実感してしまう。

 陽気な音楽の中、エクトリーヌはミライに小声で話しかけてきた。


「……何故そこまで、ミライは強いんだ?」


「技や魔法は、単純なステータスだけでなく、その時の感情や強い思いで、いくらでも威力に強弱を付ける事が出来るんだ。……って、僕は思ってるんだが」


 第1エリアのボス戦時の覚醒も、セーナ戦でセーナの体を傷つける事無く布を引き裂いたのも、感情や思いが反映してるんだと思う。

 その事を重視して、少なくとも僕は戦ってきた。


「だから、『1日でも早く彼女の笑顔が見たい!』なんて叫んだのか」


エクトリーヌは小声ながらも、ミライの口調を真似して言って見せた。

 ミライはその言葉に、少し苦笑いを浮かべる。

 あれ……それは、心の中で叫んだつもりだったんだが……。

 考えただけで、顔の温度が上昇していく。


「ま、まあ、とにかくレベルなんて関係ない」


「そうか……でも、さすがにあの王を倒すのは、例え脱出しても無理じゃないのか?」


「……少し時間は掛かるが、当てはある」


 ミライの言う当てと言うのは、ナトレの存在である。

 彼女に鍛えてもらえば……少なからず、ミチを助け出す位は出来ると思う。

 保障は無いが、セーナが1日であの強さだ。少なくとも自分でどうにかするよりは、効率が良いはずだ。


「そうか……。あと、もう一つ思うのだが……」


エクトリーヌが言葉を続けようとした。その時だった。


「おい!ミライ、少し顔を出せ!」


強気の口調の女兵の声が、牢内に向けられた。

 エクトリーヌは、行って来いと首を女兵に向かって降った。


「何か用でも有るのですか?」


ミライは女兵にやさしめの声で振舞った。

 ミライ宛にやって来たのは、ミライを王の下まで連れて行った女兵の一人だった。


「王から、お前宛に手紙を預かった。目を通すと良い」


そう言って、ミライに折りたたまれた紙を渡す女兵。

 ミライは言われるままに、ゆっくりと開き、内容に目を通した。

 その文通を覗き見しようと、エクトリーヌも含む数人がミライの後ろから内容を覗き込む。

 ……文章を見た誰もが言葉を失った。

 そして、色々な感情が込み上がり、ミライは叫んだ。


「な……こんなの有りかよ!何だよこれ!」


その絶叫は、一瞬で牢内の明るい音楽や空間をぶち壊した。

 手紙の中に書かれていた内容。

それは、ミライを3日後の昼0時に一時的に脱獄さしてくれると言うもの。

その理由は、……『3日後の昼0時に、リケート・グラムとスミシャル・リケート・ミチの婚約式を行う。君も招待してあげよう』……と言う、卑劣な内容だった。

 ミチが、素直に婚約的な事を認めるはずが無い。

だとしたら、完全にあの男の勝手な行動……。

 許せない。……許せない!

 ミライは血走った目を女兵の目に向けて、小さく呪文をつぶやいた。


瞬間接近アプローチャー


次の瞬間。ミライは、女兵と牢獄の柵の間に入り込むような形で姿を表した。

 牢内の男達は皆驚き、目の前に姿を現したミライに、女兵も驚き、尻餅をついた。

 そんな女兵を、ミライは無言のバリアで周りを囲んだ。

女兵は慌ててバリアを叩くが、ビクともしない。

 牢内から、エクトリーヌがミライに声を掛けた。


「おい。お前って奴は……まあ良いが、牢から抜け出してどうする気だ。はっきり言って王にはまだ勝てない」


「そんなの知るか!いち早くミチを助けに行かないと……」


ミライは完全に混乱状態におちいっている。

 そのミライの精神状況にエクトリーヌは、再び声を掛けた。


「……じゃあ、あれだ。PTリストだけお互いに登録しよう。文通代わりにな」


 エクトリーヌはメニュー画面を開き、ミライに画面を見せつけた。

ミライも早まる気持ちを抑えながら、メニュー画面を開く。

 そして、お互いにPT登録を完了した。

 エクトリーヌは登録と同時に、ミライに真剣な口調で言葉を向けた。


「気をつけていけよ。ミライ、死ぬなよ」


「必ず生きて、全て助け出す。……またな」


そうミライは言い残して、牢獄の通路を走っていくのだった。

 投稿を1日ですかね(10分)遅らせました。

その理由は、今後の更新ペースを変更しようと思うからです。(受験生ですし!)

区切りの悪い毎日更新よりも、良い所で切り抜く週間更新にします。(指摘されました)

また、指摘があれば変更も考えますが、一応これから1週間更新。

と言うことで、よろしくおねがいします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ