第149層 衝撃的文通
この作品は、文章表現レベルが2/1000Lvの作者の書いた作品です。
様々な名称出て、他作と被ったりしますが、作者はオリジナルだと思っています。初心者的文章構成ですが、話の内容と、作者の成長を優しく見守ってください。
ドーンと言う爆発音と共に、牢内に砂煙が立ち込めた。
牢内中のだれもが咳き込む中、徐々に砂煙は治まり、じわじわと眩しい光が見え始めた。
牢の中に、一際目立つ大きな穴が現れた。
その光景を見て、だれもが言葉を出せずにいた。
「……ミライ、やるじゃねえか!」
大分時間がたってから、エクトリーヌは笑いながら言って、ミライの肩をがっしり腕で包んだ。
そのエクトリーヌの言葉で、牢内は歓喜の声で包まれた。
ただ1人、ミライは声を上げずに、冷静に言葉を口にした。
「……だめだ、ここからじゃ抜け出せない……」
ミライの言葉が牢内全体に広がると同時に、牢内のむさ苦しい空気に、一筋の涼やかな風が吹きかけた。
ミライは、自分の穴を空けた方向を指差した。
ミライの指差した先は、この町を囲む水壁が見えた。
しかし、見えている水壁は、大分上部の丸まりの強い部分だった。
一人の男が、空いた穴から下を覗き込んで絶句した。
「無理だ……こんな高さ……」
「みんなの持ち合わせを繋ぎ合わせて、1本のロープにしたら……って無理か」
エクトリーヌは提案を出すが、自ら現在地の高さを確認して、諦めた。
全員が、言葉を再びなくし、誰もが諦め始めた。……その時だった。
「いよーし……完全治療終わり!」
そう声を上げて立ち上がったのは、今まで座りながらミライの足を回復させていたランツだった。
ランツは、耳を塞いでいたヘッドホンを外して、肩に掛けた。
ミライは、どこかしら力の感じ取れないランツに声を掛ける。
「傷の治療ありがとう。助かったよ」
ミライは足の痛みがなくなっているのを、足をグネグネ動かして確認する。
ランツはまじめな表情をして、ミライに言葉をぶつけた。
「音楽の力は最高だ!」
「……え?」
突然の言葉に、ミライは思わず聞き返そうとする。
すると、やれやれとエクトリーヌは「また始まったか」とミライとランツの間に割って入った。
「ランツ、何かテンション上がるの1曲頼む。……そしてミライ。彼はこういう男だ」
「うん。さっぱり分からん」
ミライはエクトリーヌに苦笑いで言葉を返した。
そしてランツは、エクトリーヌの言葉を聞いて、穴の空いた壁とは反対側の壁までゆっくりと歩き、ずるずると壁に横たわりながら座ると、メニュー画面を開き、手元にギターを取り出した。
そして、数秒ほどこめかみに指を当てて考えたそぶりを見せると、突然ギターで陽気な音を醸し出した。
その音色に、思わずミライは耳を傾けてしまう。
……そういえば、この世界に入って音楽なんて、まるで聴かなかったな。
何だか、もの凄く……落ち着かない!
エクトリーヌの醸し出すBGMによって、荒れ狂うように牢内は賑わい始めた。
踊りだす者、声を張り出すもの、そして何所かしらから楽器を取り出して、高音の笛や、リズミカルなドラムの音まで鳴り出した。
その全員に共通するのは、僕も含めて笑顔になってしまう事だ。
まさに、音楽の力は最高である事を実感してしまう。
陽気な音楽の中、エクトリーヌはミライに小声で話しかけてきた。
「……何故そこまで、ミライは強いんだ?」
「技や魔法は、単純なステータスだけでなく、その時の感情や強い思いで、いくらでも威力に強弱を付ける事が出来るんだ。……って、僕は思ってるんだが」
第1エリアのボス戦時の覚醒も、セーナ戦でセーナの体を傷つける事無く布を引き裂いたのも、感情や思いが反映してるんだと思う。
その事を重視して、少なくとも僕は戦ってきた。
「だから、『1日でも早く彼女の笑顔が見たい!』なんて叫んだのか」
エクトリーヌは小声ながらも、ミライの口調を真似して言って見せた。
ミライはその言葉に、少し苦笑いを浮かべる。
あれ……それは、心の中で叫んだつもりだったんだが……。
考えただけで、顔の温度が上昇していく。
「ま、まあ、とにかくレベルなんて関係ない」
「そうか……でも、さすがにあの王を倒すのは、例え脱出しても無理じゃないのか?」
「……少し時間は掛かるが、当てはある」
ミライの言う当てと言うのは、ナトレの存在である。
彼女に鍛えてもらえば……少なからず、ミチを助け出す位は出来ると思う。
保障は無いが、セーナが1日であの強さだ。少なくとも自分でどうにかするよりは、効率が良いはずだ。
「そうか……。あと、もう一つ思うのだが……」
エクトリーヌが言葉を続けようとした。その時だった。
「おい!ミライ、少し顔を出せ!」
強気の口調の女兵の声が、牢内に向けられた。
エクトリーヌは、行って来いと首を女兵に向かって降った。
「何か用でも有るのですか?」
ミライは女兵にやさしめの声で振舞った。
ミライ宛にやって来たのは、ミライを王の下まで連れて行った女兵の一人だった。
「王から、お前宛に手紙を預かった。目を通すと良い」
そう言って、ミライに折りたたまれた紙を渡す女兵。
ミライは言われるままに、ゆっくりと開き、内容に目を通した。
その文通を覗き見しようと、エクトリーヌも含む数人がミライの後ろから内容を覗き込む。
……文章を見た誰もが言葉を失った。
そして、色々な感情が込み上がり、ミライは叫んだ。
「な……こんなの有りかよ!何だよこれ!」
その絶叫は、一瞬で牢内の明るい音楽や空間をぶち壊した。
手紙の中に書かれていた内容。
それは、ミライを3日後の昼0時に一時的に脱獄さしてくれると言うもの。
その理由は、……『3日後の昼0時に、リケート・グラムとスミシャル・リケート・ミチの婚約式を行う。君も招待してあげよう』……と言う、卑劣な内容だった。
ミチが、素直に婚約的な事を認めるはずが無い。
だとしたら、完全にあの男の勝手な行動……。
許せない。……許せない!
ミライは血走った目を女兵の目に向けて、小さく呪文を呟いた。
「瞬間接近」
次の瞬間。ミライは、女兵と牢獄の柵の間に入り込むような形で姿を表した。
牢内の男達は皆驚き、目の前に姿を現したミライに、女兵も驚き、尻餅をついた。
そんな女兵を、ミライは無言のバリアで周りを囲んだ。
女兵は慌ててバリアを叩くが、ビクともしない。
牢内から、エクトリーヌがミライに声を掛けた。
「おい。お前って奴は……まあ良いが、牢から抜け出してどうする気だ。はっきり言って王にはまだ勝てない」
「そんなの知るか!いち早くミチを助けに行かないと……」
ミライは完全に混乱状態に陥っている。
そのミライの精神状況にエクトリーヌは、再び声を掛けた。
「……じゃあ、あれだ。PTリストだけお互いに登録しよう。文通代わりにな」
エクトリーヌはメニュー画面を開き、ミライに画面を見せつけた。
ミライも早まる気持ちを抑えながら、メニュー画面を開く。
そして、お互いにPT登録を完了した。
エクトリーヌは登録と同時に、ミライに真剣な口調で言葉を向けた。
「気をつけていけよ。ミライ、死ぬなよ」
「必ず生きて、全て助け出す。……またな」
そうミライは言い残して、牢獄の通路を走っていくのだった。
投稿を1日ですかね(10分)遅らせました。
その理由は、今後の更新ペースを変更しようと思うからです。(受験生ですし!)
区切りの悪い毎日更新よりも、良い所で切り抜く週間更新にします。(指摘されました)
また、指摘があれば変更も考えますが、一応これから1週間更新。
と言うことで、よろしくおねがいします。