第144層 絶対王者
この作品は、文章表現レベルが2/1000Lvの作者の書いた作品です。
キャラ名が被ったりしますが、作者はオリジナルだと思っています。
様々な表現が含まれますが、話の内容と、作者の成長を見守ってください。
ミライの呪文発動後、このフロア一帯のキャラクターのステータスが表示された。その中からグラムのステータスに目を向けた。
グラムのレベルは35で、HPが1636。MPは639。職業は水隷術師で当然属性は水か。
それにしても良く見えるようになったものだ……。そして、効果範囲も相当広く……。
ミライは強くなりつつある自分の魔法を感じながら、グラム以外の、レベル1のステータス表示を見透した。
「え、クリー?」
ミライは懐かしい名前を目にして、思わず声を上げた。
こちら側から見て、グラムから左に3人目の人物が、前のエリアで戦った魔女クリーだったのだ。
前の戦闘時の可愛らしい格好から豹変していたので、まるで気づかなかった。
ミライの声には、まるで反応する様子は無いクリー。
「ほう。どんな魔法かと身構えてみれば、ただのストーカー魔法か」
グラムは不敵な笑みを浮かべながら言った。
ミライは即座にメニュー画面から箒を取り出して、グラムに声と魔法を投げつけた。
「これからが本番だ!燃盛る変化球」
ミライの放った大きな炎の玉は、大きさに比例しない猛スピードでグラムに向かって飛んでいく。
そして、グラムに直撃して、爆発音と共に燃え上がり、天井に大きく穴を空けた。
しかし、狙ったはずのグラムと地面は全くの無傷で、HPも1しか減ってない。
ダメージを食らったのは、その周りの女子たちで、ライフは半分以上持って行った。
半殺しを狙って放ったつもりなのに、効いてないなんて……。
そして、なるべく範囲の狭い魔法を放たないと、犠牲者が出てしまう。
「フハハハハハハ……貴様の魔法はその程度か!」
その言葉と共に、グラムは圧縮の水撃を飛ばしてきた。
「魔術反射!」
ミライは咄嗟の判断で、魔法を放った。
グラムの魔法は、バリアで跳ね返り、地面に小さな穴を空けた。
グラムはミライの魔法を見て、少し驚きの表情を見せてから、再び笑みを浮かべた。
「様々な魔法を使う魔法使いだな。職業が気になるものだな。まぁ、全ての魔法を出し切るが良い。全て受け止めて絶望に浸らせてやる」
「職業は魔法使いだ!魔水の激圧」
ミライは、グラムに言葉を返して、魔法を放った。
今まで使って来た魔水の激圧の中で、一番細い形になった。
「うそ……」
ミチは目の前の光景を見て、声を漏らした。
魔法はグラムにだけ命中した。だが、グラムは全くの無傷だ。
グラムは魔法を跳ね返すと言うよりは、吸収してダメージを無くしている。
一体どうやって……。
グラムは、ミライの表情を見て笑みを深めたと思ったら、残念そうな表情を浮かべてミライに声を掛けた。
「その様子だと、貴様の魔法も出尽くしたようだな。そろそろ終わりだな」
そうグラムは言って、再び鋭い水鉄砲を放った。
ミライは、再び瞬時に魔術反射を目の前に張った。
だが、グラムの魔法はミライの魔術反射を粉々に砕いて、ミライに命中する。
「ぐあっ!うぁああああああああああ……」
「ミライ!」
ミチの呼びかけが掻き消される位、ミライは大声で痛みを叫んだ。
グラムの攻撃は、運悪くミライの右肩から右肘までを貫いた。
この世の物とは思えぬ痛みがミライを侵し続ける。
ミライは痛みに耐え切れず、地面に崩れ落ちて、体を起こしてグラムを見るのがやっとの状態。
「物理水激と言って、俺の物理攻撃だ」
グラムは笑顔で説明すると、物理水撃をミライに向かって放つ。
その攻撃は、今度はミライの左腹部を貫く。
「ぐふぁっ」
ミライは真っ赤な血を口から吹き出した。
ついにミライは、体も支えられなくなり、地面に完全に倒れ込んだ。
「もう止めて!お願いだから……もう……」
ミチの涙交じりの声が響き渡る。
グラムは、ちらりとミチの方を向いて、再び目線をミライに戻し容赦無しに魔法名を放った。
「水中の世界」
グラムが魔法名を放った瞬間、ミライに水が覆い被されて、円状に纏まった水と共に、ミライの体も浮かび上がっていく。
ミライにダメージは無いが、呼吸が出来ずに、もがき苦しむ。
「………………………………………」
ミチが何か叫んでいるが、水で耳が塞がっている以上、ミライは何も聞こえない。
こんな終わり方かよ……。
ミライは、薄れゆく意識の中、ミチとグラムを少し高い位置から見つめる。
しばらく見ていると、ミチはだんだんグラムの元によろよろと近づいていく。
「な、何を……」
ミライはゴボゴボと声を出し、水の中でもがいた。
ミチは玉座に座るグラムの、靴に口付けをしたのだ。
そのミチの表情は、死んでも忘れれそうに無いほど、顔を真っ赤にして涙を流していた。
くそう。こんな所で……こんな形で……。
ミライは、後悔と無力さの見えない涙を流しながら、水の中で意識を完全に失うのだった。
恐らく、今章のメインシーンの1つ。待ったかいあったな……