第110層 案内人ナトレ
この作品は、文章表現レベルが1/1000Lvの作者の書いた作品です。
キャラ名が被ったりしますが、作者はオリジナルだと思っています。
様々な表現が含まれますが、話の内容と、作者の成長を見守ってください。
だいぶ間が空いた後、最初に間を断ち切ったのはミライだった。
「あのー、手を振って呼び止めたのは、町がどの方角にあるか聞きたかったわけなんですけど……」
ミライは言葉を詰まらせ、セーナの方を見る。
こちらの視線に気づいたセーナは、目を細めて、にーっと歯を見せて威嚇のような姿勢を見せてくる。
あの口から、「ガルルルルルル……」と言葉が漏れてきそうだ。
そして、再び目線をミライから逸らしてきた。
その行動に、ミライは再び苦笑い。
「近くの町はあっちの方角なんだけども、それよりも君、この辺で間欠泉を見なかったかしら?」
少し低めの声で、女性はミライに聞き返した。
「あ、たぶんそれは……」
そう言ってミライは、右手を空に向かって真っ直ぐ伸ばすと、空中に向かって水魔法を発動した。
イメージ通りの水柱が、上空に向かって飛んでいく。
その光景を女性は見て呟いた。
「なるほどね。遠くで見えたのは、その水魔法だったのね……」
「飲めるんで、いくらでも持っていってください」
「あれをすくうというの?」
女性は笑みを浮かべて、上空を見ながら言った。
「いや、あれを……」
ミライが上空を見上げて話し出したときだった。
上空から戻ってきた水がミライを襲った。
「おっ……ぐ、ゲホッゲホッ……」
ミライは下を向き、水を吐き出し、むせた。
水が入って、鼻の奥が痛い。
「大丈夫?直撃だったようだけど」
心配そうに女性が見つめる。
「大丈夫です……当たるの二度目なんで……」
直撃は初めてだったけど……。
ミライの言葉を聞いて、女性は「ふふ」と笑う。
セーナからも少し声が聞こえた気がする。
少し間が空いてから、女性は笑顔を戻し、話し始めた。
「私の名前はナトレ。町まで案内する代わりに、水を分けてほしい」
「魔力の尽きない限り、いくらでもあげますよ。魔法使いのミライです。」
笑みを浮かべながらミライは言った。
「ミライ。私も敬語を使わないから、君も使わないで」
「分かった」
ミライの即答に、ナトレは笑みを見せる。
前にもこんな考えの人が居たから、敬語を使わないのも慣れた。
「ここに日陰もあるし、ここでしばらく休憩ね、セーナ。2人の関係もゆっくり話してほしいし……」
そう言って、ナトレは微笑む。
その微笑みに、ミライとセーナは苦笑いを浮かべるのだった。