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海底  作者: 夏木
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逃げ口上

 自分はかつて「どざえもん」と呼ばれるものを見たことがある。

 川釣りをしていたときに、大物がかかったと勘違いして釣り上げてしまったのだ。

 そのどざえもんは水面近くまで浮くとくるりと腹を上にし、その姿を現した。

 自分は怖くなって釣竿を川の中に投げ入れた。もちろんどざえもんはそのまま川を流れてしまった。

 家に帰って、釣竿をなくしたことを親に怒られ、落ち着いた後になってようやく警察に事情を話せた。

 後で聞かされた話なのだが、入水した人の死体だったそうだ。つまるところは自殺である。


 そのどざえもんを思い返して今思う。

 ひどいものであった。

 鼻は削り取られ、皮膚はただれ、腹は膨れ上がり、人間のそれとは大きくかけ離れた姿をしていた。

 見る影も無いほどに無残な姿だ。

 

 ああいうふうにはなりたくないものだ。


 生来から醜い自分のことである。

 自ら命を絶ってなお、さらに醜い姿を晒すことなど自分にはとても耐えられない。

 それこそ死んでも死に切れぬ。


 

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