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認知症の「久敏」からのアドバイス
稲城市の「博」の実家に通い始めて、2カ月を過ぎたころで、
わたしがいないときの日の話である。
その夜、秀忠は「ナナさん」のことを思い出し、
秋葉原の「リフレ」にとても行きたくなった。
夕食のとき、そのことを祖父母にはなした。。
そして、自分が専用に使っている部屋に戻り、
秋葉原への電車でのルートをパソコンで調べて、
いく準備をしているときである。
ドアの扉ををノックする音がし、祖父、「久敏」が入ってきた。
秀忠はびっくりした。ほとんど、久敏はしゃべらないし、
自分の部屋にきたことは、一度もないからである。
「今日は遅いから、明日にしたら」
元気なころの「久敏」がそこにいた。
それで、「秀忠」は思い直し、リフレにいくことを断念した。
「久敏」が秀忠の部屋にきたのは、これが最初で最後であった。
「秀忠」は、この日の久敏の言葉がなかったら、
「前の秀忠」に戻ってしまったかもしれない。




