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月魂国~十四人の罪人たち~  作者: 楠本恵士
第二章・月魂国【枯樹生華】
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第5話・十四人の罪人たち

 上体を起こした鉄馬が言った。

「ここはどこだ? あんたたちは誰だ?」

 卒塔婆型の穂槍を持つ騎士男が、不機嫌そうな口調で鉄馬に言った。

「そちらから、先に名乗るのが礼儀であろう、別世界(アチ)の者よ」

 ドラゴンの戦士が、槍士騎士をなだめる。

「落ち着け、何もわからずにこの|異世界に宝珠の力で送られたんだ……えーと、何から話したらいいものかな。ここは【月魂国】の【月桂城】だ」


 ドラゴン戦士の話しから鉄馬はココが異世界(コチの世界)の、異界大陸国レザリムスの大海に浮かぶ、月形の島国【月魂国】だと知った。


 ドラゴン戦士の話しは続く。

「オレたちは、罪人(つみびと)の宝珠の力の(えにし)で結ばれた『十四人の罪人』……妖星ディストーション帝国の侵略から、月魂国と朔夜(さくや)姫を守っている」

「十四人の罪人ってなんだ?」

「簡単に言うと、それぞれの世界から弾かれた者だな……ディストーション帝国に対抗できるのは、罪人の力だけだ」


 鉄馬は、ポケットから出した愛用の帽子をかぶる。

「さっきから、話しに出てくる。妖星ディストーション帝国ってなんだ? あの『オカドー』とかいう一つ目の化け物は、オレの世界にもいたぞ……連れ去られた妹の灯花と同じ顔をした女がカイジュー(怪獣)と、一緒に残して、オレの世界はメチャクチャになった」


 槍士騎士が呟く。

「オカドーは殺せ……アイツらの肉片からは、悪臭が漂ってくる」

 咳払いをしてから、ドラゴン戦士が話しを繋ぐ。


「妖星ディストーション帝国は、別次元の侵略者だ。その正体や規模は不明だ、数百年前にこの月魂国に突然侵攻してきて、その時に最初の罪人たちが撃退して追い払った」


 その時の月魂国国王『嫦娥王(じょうがおう)』の霊力で、月魂国を取り囲むように三重の濃霧状の結界が張られ。

 妖星ディストーション帝国は、月魂国から外のレザリムスの地へ移動することができなくなった。

 ドラゴン戦士が言った。

「月魂国の霧結界の力が、妖星ディストーション帝国のレザリムスへの侵略を食い止めているとも言える。月魂国の存在を知っているのは、異界大陸国レザリムスの中でも少数だ」


 少林寺風の衣服を着た、罪人が言った。

「君と一緒に転移してきた乗り物のアレ、他の罪人から描いた絵を見せられたコトがある〝おーとばい〟って乗り物だよね。知っているよ、裏の薪小屋の前に運んである」


 少林寺風の衣服を着た、罪人が続けてしゃべる。

「自己紹介を忘れていた、オレの名前は『クッター・フィ』罪人の人数も多いから、名前よりも愛称で互いを呼び合っている【魔呪】と呼ばれたり、呼ばれなかったり……挨拶代わりに……オレの秘密をお見せしよう、ほいっ」

 そう言って、魔呪はかぶっていたカツラを持ち上げて、アニメ絵が落書きされているスキンヘッドの頭を見せた。

 驚く鉄馬。

「うわっ!」

「驚いた、驚いた? スキンヘッド頭の落書きは描いてあったり、無かったり」


 続いて槍士が、冷ややかな目で自己紹介をする。

「『ランス・ロッド』だ……【魔槍】と呼ばれている」


 最後にドラゴン戦士が自己紹介をする。

「【竜剣】と呼んでくれ……本名は忘れた、小僧おまえの名前は?」

「『幻月鉄馬』……二つ名は【月ノ牙】」

 鉄馬の二つ名を聞いた途端に【竜剣】【魔槍】【魔呪】の三人の罪人が身構える。


 卒塔婆(そとば)型の槍先を鉄馬に向けて睨みつける魔槍。

「やはり、おまえは敵か! 魔槍『ダーム・ヴェルト』の業火で骨も残さず灰塵にしてやる!」

「敵だったり、敵でなかったり」

 その時──鉄馬の腹が空腹でグウゥと鳴り、その音を聞いた竜剣が笑いながら構えを解く。

「あはははっ、腹が減ったか……宝珠の空間転移は転移させられた者のエネルギーも消耗するからな……まずは、食堂で鉄馬の腹ごしらえだな」

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