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月魂国~十四人の罪人たち~  作者: 楠本恵士
サイドストーリー【罪人】
41/50

壱・金鏡王妃の墳墓内部にて……

 皆既月食の三日月と、ディストーション帝国の赤い人工満月が同時に空に浮かんだ夜──金鏡村にある、墳墓丘内部の、金鏡王妃が眠る石棺が安直された玄室(げんしつ)


 カビ臭い、真っ暗な空間の床に穴が開き、炎の明かりが玄室内を照らす。

「ひひひっ、(しかばね)の道が、つながったね」

 刀の先に炎を灯した、屍の牙『(むくろ)崎 乱子』が穴から現れた。

 照らす炎の明かりの中に、金鏡王妃の遺体が安直されている石棺が浮かび上がる。


「金鏡王妃、めっけ」

 乱子が石棺の石の蓋をずらすと、中に乾燥してミイラ化した金鏡王妃の遺体があった。

「美人も、こうなると哀れだねぇ……おっと、仕事、仕事、悪目から渡された。この液体薬を王妃の遺体に振りかけてと」


 乱子が薬品を振りかけると、王妃の肌に水分と弾力がもどり、肉体が生前の姿へと変わる。

 ゆっくりと目を開けた、王妃に乱子が命令する。

「棺の中から、起き上がりな」

 金鏡王妃が、両腕を前に伸ばした格好で、重力を無視した不自然な起き上がり方をする。

「ひひひっ、一時的に生きている死体、一丁あがり」

 生きている死体の金鏡王妃が口を開く。

「さくや……朔夜」

「ひひひっ、遺体に強い残留思念が残っていたか、そのうちに娘にも会わせてやるよ……さて、一緒に行こう……おや? 壁際に座り込んでいるアレは?」


 乱子は玄室の石壁に、背もたれた格好で座り込んでいる、ミイラ化している遺体を発見する。

 緋色の迷彩服を着ていて、手には錆びたサバイバルナイフを持っている。

「聞いたことがある、高貴な人物を護衛していた者の中には、強い忠誠心から護衛していた者が亡くなったら──自分から望んで生きたまま同じ墓に入る、奇習がアチの世界にはあると」


 乱子は、数滴だけ残っている甦生薬に、自分の唾液を混入させたモノを迷彩服の遺体に振りかけた。

「ひひひっ、さてどうなるか」

 乾いたミイラが眼窩(がんか)の顔を上げて、乱子を見た。低い呻き声を発する迷彩服ミイラ。

「あぁ……あぐぅ」

「王妃みたいな肉体の復活はしなかったけれど……これは、これで使える。おまえもアタイと一緒に来な、こき使ってやる」


 サバイバルナイフの迷彩服ミイラが、いきなり乱子に襲いかかる。

 乱子は、刀を横に払って迷彩服ミイラの首を切断すると、ミイラの遺体は倒れて動かなくなった。

「チッ、使えねぇヤツ」


 乱子が屍の道穴に飛び込むと、両腕を前に伸ばした王妃の遺体も続いて穴に飛び込み。

 玄室内が再び闇に包まれ、死者が安らぎ眠る場所へともどった。

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