第2段落 それぞれの見方
本当に昨日は災難だった。イカれた兄のせいで知らない男子と写真を撮ることになり、撮った写真をすぐに現像しに行った。「ほら、見て見ていい写真でしょ?朔弥くんも中々見込みがありそうだったし」
「どこに見込みがあるのかわからない」そう思いながら、昨日の和田との会話を思い出す。
「小学校はどこだったの?」
「えっ、あっ、いやぁ、自称進小学校だよ。えっと、あなたはどこ小ですか?」
「情林小学校だよ。部活入ろうと思っている?」
「部活、、、まだ決まってない、、、だって、剣道クラブでひたすら頭を打ち続けられ、吹奏楽では太鼓に穴を空 空けた僕が部活?いや、できる訳ないだろ。どうせ、僕はまた、道具ぶっ壊し・・・」
こんな調子で対話から、自己対話『ひとりごと』を始めるし。
今日から本格的に授業も始まる。友達作りを本格的に始めないといけないな。もうすでにいくつかのグループができている。そんな事を考えていると、昨日話しかけてくれた子がこっちに近づいてくる。
「今日から部活動見学があるんだって。ソフトテニス部に行こうと思ってるんだけど、一緒に行かない?」
部活か、、、情獣狩りの仕事もあるからどうせ入れないけど、せっかく誘ってくれたから、行きたいな。
誘ってくれたことが嬉しくてつい、、、
「うん。行く行く。テニスよくわかんないけど」
「わかった。あと二人一緒に行く約束してるから。二人ともノリ良くて面白いんだ」
「何話してんの薫?」
教室の入り口から小柄な可愛いピンク色のヘアピンをした子と170センチはありそうなスタイルが抜群で、モテそうで、運動ができて、クラスの人気もの、、めちゃくちゃキラキラ輝いている子がやって来た。
「放課後一緒に部活動見学に行かない?って誘ってたんだ。」
「稲荷山結衣です。よろしく。」
「あぁそう言えば、まだ私、自己紹介してなかった」と言う女の子に対して、
「もうかおるんったら、本当に忘れっぽいんだから。かおるんは小学校の時に給食袋3週間連続で忘れたことある んだよ。
それだけじゃなくて、ランドセルも、、、」
「ちょっとタンマー。そんなこと言わなくていいから」と女の子は顔を赤くして言う。
「私の名前は宮島薫。でこの余計な事を言う方『背が高い方』が、、、」
「山里遥でーす。よろしくね」
「町田佳奈子です。よろしく」と町田さんは少し照れて自分の名前を言う。
三人とも優しくて、小学校がちがう私にも親しく接してくれた。
passingのミュージックビデオや、漫画『恋空』についても語り合った。
みんなコミュニケーション能力が高いので、クラスの自己紹介もめちゃくちゃ上手だった。
ただ一人、あの男を除いては、、、」
「じゃあ、今から自己紹介してもらいます。名前だけ言うのはなしで。3分時間与えるので、ちょっと考えて」
私達のクラスは、入学式で話していたイカついゴツい先生が担任になった。
自己紹介かー。無難に名前と一年間よろしくお願いしますでいいかなー。
別に女子でウケ狙いする人はいないだろうし。うん、そうしよ。
タイマーが高い音を響かせ、まるで何か試合が始まるかのような雰囲気になった。
そういえば順番は?まぁ、流石に名簿順でしょうと思っていた。
先生が何やら、紙で作った箱を取り出した。
「言い忘れてたけど、順番はくじ引きでするから。俺さー相川だから毎回なんでも一番最初だったんだよ。
だからさー苗字あ行保護活動することにしてるんだよ。やっぱりほら、くじ引きの方がワクワクドキドキでいいだろ、ほら、足利義教なんかはくじ引き将軍て言われてな、、、そいつがまた糞、、、」
アンタ国語教師だろうーーー。何してくれてんの。
「よーし引くぞ。おっ、1番目は和田だ。前に出て来てくれ」
『まるで』ではなく本当の試合が始まった。
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