銀河溪谷窟
翌朝トモーヤと剣の稽古をして貰い、少しは対人の間合いが分かって来た様な気がする、風呂で汗を流して朝食後三人でポケットワールドから出たが、何故か夜の様な光のままだった。
しかも良く見れば溪谷の先は広く開け、深い谷間の溪谷が入り口だったがさて溪谷の先にはどんな景色が、我々に見せてくれるのか楽しみだ。
「期待でワクワクが止まりませんな」
「確かに、うっかり彼女を連れて来るの、忘れてましたよ」
「まあ連れてきても良いが、遅れたら置いて行くし………」
オレは内心二人に、リア充爆発しろと思った……………。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・冗談ですよね、エル殿」
「・・・・・・・」
(本気ですが何かとは、言わないでおこう)
「アレは本気ですぞ、トモーヤさん」
ガックリ項垂れるトモーヤと、何故か『聞かなくて良かった』感を出すベルさん、一応オレとトモーヤが武器を装備しベルさんは、発煙筒とそれなりに防御力の高いフードマントを装備し、一路星空の様に輝く溪谷の岩肌の先に広がる場所に向け歩き出した。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
アレから二時間歩きやっと出た、溪谷の先は素晴らしい光景でありそれは言葉に出来ない位感度的だった、流れ星の様に光が天井の星空から落ち、ステルラ魔鉱石に当たると共に魔鉱石が淡くゆっくりと光を放ち、青銀の様な色だったステルラ魔鉱石は当たった光を吸収し、色が変化を始めると青銀色のステルラ魔鉱石が白銀色に変わり、他のステルラ魔鉱石も流れ星の様に当たる光の玉に、違う色に変わり何故か虹色やアイスブルーやクリムゾンレッドは、色が変わる事はなかった。
アレが最終的な色なのだろうか?
「何とも、美しい光景ですな」
「しかもモンスターが居ないとは、素晴らしい場所です」
「不思議な、銀河状の模様にも見える所も有るな」
「「?」」
青緑の様なふわっとした光を放つ、円盤状や雲状の銀河の様な形や天の川銀河の様な星空に似た、模様まで遥か頭上で輝く光景は夜空の様に綺麗だ。
一応だがモンスターが居ない訳ではない、どちらかと言えばまだ狭い場所だから居ないだけで、鉱石を主食にするモンスターがこの先に居るみたいだ、しかもテリトリーが彼等には在る様で……………他にも、コロニー………まあ集団で固まってるモンスターも居る様だ、何か南極のペンギンのコロニーと変わらない習性だな。
「まあ、いざとなったらベルさんだけ帰れば良いや」
「・・・・・・エル殿、それってヤバいモンスターが、この先に居ると言ってますよね?」
トモーヤが、顔をひきつらせながらオレに言うが、オレははぐらかしながら言う。
「多分ね」
「・・・・・・・多分では、困りますが」
見てみないと分からんな、マップ表示変えるの面倒だが…………ある程度は分かるが、まあ保々爬虫類反応のモンスターシンボルマークだけど、広いのでこの先のモンスターまでは見えない、あと獣モンスターシンボルマークも在る…………鉱物を食べる、獣モンスターが居るのかな?
オレはベルさんに話し掛ける、一応いきなり現れたモンスターとの遭遇を仮定しての準備もある、今まで無傷に近いが何時負傷するか何て、誰にも分からないから用心と準備は必用だ。
「ベルさん………」
「………回復アイテム係りですね」
「頼みます」
「ベル殿お願いしますよ」
「トモーヤさんも、壁役お願いしますよ」
「了解だ、騎士として体力が有る限り」
ベルさんに体力回復グミを渡し、先へと進む前に鉱石をレッツ採掘。
「大量だね」
「どんどん採掘」
「指輪とかのリング加工も、行けそうですな」
「・・・・・誰が加工するの?」
「ベル殿でしょう」
「トモーヤさん、いきなり裏切らないで下さい」
「さて、何の事やら」
「トモーヤさんの裏切者!」
「人聞き悪いですよ…………ベル殿」
何やらベル&トモーヤの、漫才が始まった様な…………まあオレには関係無いな。
暫く採掘し昼を取ってから、再び奥に向け歩き出す………洞窟の天井は遠い空を見る様に綺麗で、渦巻き銀河の様な形に変わったり青紫や赤紫や蒼白い、不思議な色が混ざった光る銀河や、流れ星が瞬いたりオーロラの様な光のカーテンがたまに見えたりした、三人で見上げる光景はなかなか神秘的な夜空の様な世界、だが本来ならカップルで来たら盛り上がりそうではある、オレにはそんな相手は居ない………。
フローラ? 無いな、何かそんな雰囲気に成る感じがまったく、フローラから想像できない…………何故かは分からんが、そしてリア充ベルさんがオレの心をエグる台詞を言う。
「デートスポットには、素晴らしく良い場所ですな」
ぐさっ!!
オレは心にダメージを受けた、リア充ベルさんが言うと何か言葉にリア充幸せバフが有る気がする。
「オレは独り身だけどな・・・・・・」
「・・・・・・ベル殿、余計な事を言わないで下さい」
「だって仕方ないではないですか、こんなに素晴らしい景色を見たら………」
「判らなくは無いが、今はマズイですよ」
ぐさっぐさっ!!
恋人居る人は、理解できて良いなぁ~
オレは全く彼女居ないから、クッ! ………………
オレは平静を装いながら…………。
「何がマズイのかなぁ~?」
殺意を込めたスマイルをしながら、二人に顔を向け放ってやった。
「何でもありません(殺意を向けないで下さい)」
「そうです、何でもありませんよ(不気味な笑みを、此方に向けないで下さい、凄く怖いですよ)」
脂汗を流す二人だった。
エルベアトとトモーヤにベルは、観光の様に見ながらも進み途中長い丈の草に隠れた宝箱を開け、緑色のイルカのオリハルコン製の遺物的なアイテムを手に入れた、実際にレリックではなく特殊なキーである。
「神格化した風の精霊の、力が宿るイルカのオリハルコン像らしいよ」
「風の魔法が強化される、アイテムやアクセサリーですかな?」
「風魔法の攻撃無効では?」
一応術者の魔力により、魔力バリアーが発生するからトモーヤの発言はハズレではない、だが何か台座に繋がる様な固定台座が在る為、普通のアイテムではない気がするし、小さくだが何か言葉が呪文のように彫られてる………ゲームとかなら、オチ的に魔力増幅器かな?
「上位精霊の、召喚儀式アイテムの可能性も…………」
「いやいやベル殿、此のオリハルコンだけでは無理ですよ」
紳士的な言い方で、二人は論争するが此一つで何か分かる訳は無い、此確かにアイテムの装飾系だが何故か『イルカ像』と出た以外は、全く情報が出ない。
「────イヤイヤ、何個か集めればあり得ますぞ」
「…………どうですかね? そう簡単に、結論を出してしまっては後で後悔しますよ、此処はエル殿の鑑定で………………」
何かオレが注目されてるが、一応二人に結果を話すと……………何故かガッカリされた、しかも『情報は、それだけですか?』と言いたげな視線、まあ気のせいだよね? そんな風にオレを見て無いよね?
「ハァ~」
「ハァ~」
何故か落胆した様な、深いため息をする二人にオレは少しムッとしながら言う。
「落胆したため息を、分かり易く人の目の前でしないでくれないかな?」
オレは少し眉間をピクピクさせながら、そう言うとまた深いため息をした二人だった…………オイ (怒り)。
他に宝箱にの中には無いので、再び歩きす進む…………宇宙(そら)に見える遥か遠くも不思議と近そうな、宇宙の星を散りばめた様な神秘な洞窟天井は何処までも、遥か宇宙の彼方まで続いてそうだ。
メビウスのリングの様な模様や、星座に見えなくもない天井の星の煌めき達、鉱石に降る光はほうき星の様に尾を引き流れ落ちる。
うっすら光る蛍の光の様な、チューリップ型の花が光たまに吹く風に揺れる、たまに聞こえる羽虫の音は鈴虫等の音とは違い、何故か風鈴の様な不思議な音色だが良く音色の方を見ると、怪しく黒光する何かが遠くの木に隠れて余り隠れて無さそうな、鈴虫みたいな翼を振動させ音を奏でてた…………何か、羽以外は別の生き物だが。
「モンスターにしては、雑音を響かせる虫ですね」
「モンスターにしては、雑音を響かせますが襲っては来ませんな」
「・・・・・・雑音に聞こえるんだな、二人には……………」
「?」
「?」
鈴虫やコオロギの鳴き声が、日本人と外国人とは聞こえ方が違うと聞くが、異世界もオレとベルさんとトモーヤとは、虫の音色と雑音に分かれるらしい。
「オレからすると、夏の夜に聞こえる懐かしい音だが」
「虫の嫌な雑音が?」
「モンスター虫の、変な雑音ですか?」
蚊よりはマシだよ、まあ子供の時に経験した、寝てる時にカエルと合唱される母方の祖父の家近くの、田んぼと草原からの地獄の演奏会はうるさくかったな、あの一晩だけだったが……………。
まあ夏の夕方の畑でも、コオロギ茄子やキュウリの近くに居るけどね、野菜を食べてるのか? それとも近くに居る、アリやアブラムシやてんとう虫に似た擬きを食べてるのかは、分からないけどね。
結構奴らは、バッタの様にジャンプして逃げるからな、見た目アレに似てるが害虫ではないな……………たぶん。
オレ達は歩き進みながら、鈴虫らしきモンスター? から遠ざかる、何故かオレ達を気にせずに鳴いてたが……………でも、モンスター反応はあの鈴虫的な生き物からはシンボルマークが現れない。
アレがコオロギなら、トモーヤが剣を抜いてたかも知れない、平べったいあのカサカサ動く悪魔やコオロギより跳ぶ、あの不快虫の別名便所コオロギと呼ばれるあの悪趣味虫。
ううっ~
まったくもってあの虫は、思い出し無くないわ………鳥肌立つ。
銀河の様な星の銀河の川の様な光を放ち、クリスマスではないが星の光の様に輝くツリー、何か調べるときらきら星ツリーとか出で来た……………、ふざけてるのかな? このネーミングセンス。
「綺麗なツリーの森ですな」
「観光地に成りますね」
「・・・・・誰が、此処を管理するんだろうな?」
冷たい声で、トモーヤに聞いてみた。
「…………えぇ~と、ベル殿とか…………」
「私めは、本業が在りますので…………」
明後日の方を見て、ベルさんはトモーヤの指名を拒否した。
「・・・・・じゃあ、トモーヤの彼女に管理して貰う?」
言い出しっぺの、トモーヤの身内をオレは指名した、まあ嫌がらせだ。
「・・・・・それは良いアイデア」
ベルさんが何故か、同調する……………ベルさんのトモーヤへの反撃だね。
「・・・・・ベル殿、また裏切り返しましたね」
「はて? 何の事ですかな? 私は裏切ってはないですよ、トモーヤさん」
惚けた顔して、ベルさんはトモーヤに言った。
「ぐぬぬ…………」
「ぐぬぬ」と言ってるトモーヤを無視し、オレはクリスマスイルミネーション的なツリーの森に入って行く、ベルさんも足取り軽く追ってくる。
「置いて行かないで下さい」
慌て走り追って来るトモーヤ、この先に何が有るか楽しみだった…………だって、クリスマスイルミネーション的なツリーだし、プレゼントとか無いかなとか…………だがプロテインやダンベルは要らないぞ。
そして次回に続く。
ベル∶次回人が増えるらしいですね。
トモーヤ∶たぶんらしいですよ、ベル殿。
ベル∶曖昧ですな。
トモーヤ∶何時もの事ですよ。




