225 VS地竜(名称不明)
――天音 凛と、漆黒の地竜による死闘が幕を開ける。
『グルァァァアアアアア!』
まず、動いたのは地竜だった。
咆哮一つで大気は揺れ、地面を凹ませるほどの重圧が発生する。
それだけなら瞬間転移で回避できると考えた凛だが、次の瞬間、彼は驚きに目を見張ることとなった。
「――――!」
咆哮と共に、地竜の周囲に浮かび上がる幾つもの透明な球体。
純然たる魔力の塊だったはずのそれらは、突如として炎、氷、雷――様々な現象へと姿を変えた。
「これは……」
その光景を前に、凛は分析する。
これまでにも魔法を使用する魔物とは何度も戦ってきたが、今のはそのどれとも異なっているように見えた。
魔法を発動するというよりはむしろ、自分の体から放出した魔力に新たな命令を下し、その性質を変化させたような――
(――まだ、結論を出すには早いか)
情報が足りないと判断した凛は、切り替えて一つずつ対処していくことに。
いずれにせよ、この程度の攻撃なら回避するのは容易い。
「瞬間転移」
瞬間転移を駆使し、いつものように空中を自由自在に駆けて魔法を躱しながら、次々と斬撃を浴びせていく。
地竜の鱗は厚く硬質だが、格上特攻とも言える無名剣の前ではその役目を果たさない。
凛が刃を一振りするたび、赤黒い鮮血が辺り一帯に噴き出していった。
『グルゥゥゥウウウウウ!!!』
痛みを堪えるように、雄叫びを上げる地竜。
戦況を優勢に運んでいるのは凛だが、当然この程度で討伐できるほどSランク魔物は甘くない。
地竜は放出する魔力量を2倍、3倍と増やしていき、その全てが凛を容易く葬り去るほどの火力を有する魔法へと変化していった。
「瞬間転移! 留壁!」
ほとんどの攻撃は転移で躱し、雷のように速度に特化した攻撃は防壁をもって対処する。
転移だけでは躱し切ることのできない事実こそ、地竜がケルベロスやジオ・イクシードを上回る存在であることの証明だった。
(それでも、これだけなら何とか対応できる――!)
そう考えながら、目の前に迫る雷に備え、再び留壁を生み出した直後だった。
『グルァァアアア!』
「――なっ!?」
地竜の咆哮が響き渡った直後、雷撃がマグマの槍へと姿を変える。
防壁によって切っ先を受け止めることは成功するも、槍は勢いを衰えさせない。
どころか、内部から膨れ上がる熱によって透明の壁を溶かすと、そのまま勢いを落とすことなく凛の身に襲い掛かった。
「く――瞬間転移!」
辛うじて転移は間に合い、直撃の前に地竜と距離を取ることに成功する。
一瞬だけ生まれたその時間に、凛は改めて状況を整理していた。
「――やっぱり、間違いなさそうだな」
地竜はただ、魔法によって炎や雷を生み出しているのではない。
放出した魔力に命令を加えることによって、その形と性質をリアルタイムで変化させている。
だからこそ、一度雷として放った魔力を、マグマの槍へと創りかえることが可能だったわけだ。
常識や法則を覆し、ありとあらゆる魔法攻撃を可能とする魔力の王――それがこの地竜の本質であることを理解する。
今の凛ですら、一瞬でも油断すればやられてしまいかねない強敵だ。
クレアからの手紙に、これらの情報は書かれていなかった。
彼女がこのことを知らないわけはないだろう。
とはいえ、決して伝え忘れたわけでも、邪な意図があるわけでもないことは、凛自身が重々承知していた。
「こう言いたいんだよな……この程度とっとと超えられなければ、お前には追いつけないって」
凛が目指すのは、最強のその先。
当然、こんな場所で停滞するつもりはなかった。
眼前に君臨するのが絶対的な強者であろうと――これ以上の苦戦すら許せない。
ゆえに、凛は告げる。
「――――ここからが本番だ」
ここからは自分が圧倒して見せるという決意を込めて。
凛は、地竜に向けて駆け出した。
次回、決着まで行く予定です。
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