第134話:ミニチュアを作ったんだが
「で、でも……本当にできるかわかんない。絵にしただけだから」
アリスの言う通り、絵は二次元で、実際に作るものは三次元。再現できるかどうかは検証しておく必要がある。
それに、きちんと強度を保つ構造になるかを確かめ、強度が足りていなければ工夫して設計し直さなければならない。
まったく同じものはできないかもしれないが、俺が頑張って設計すれば、イメージ遜色ないものはできるはずだ。
「なら、試してみようか」
「試す……?」
キョトンとするアリス。
アレリア、アイナ、ミーシャの三人も同様だった。
「ああ、こうやるんだ」
席を立ち、部屋の中央にあるテーブルに移動する。
俺が今から彼女たちに見せるのは、いわばミニチュア作り。
大分魔力の使い方に慣れたおかげで、『錬金術』使用時の魔力の流れを参考にして少し工夫すれば、このくらいならできるはずだ。さすがに実寸大の建物を作ることまではできないが……。
アイテムスロットから小さなレンガや小さな木材、小さな石、底の深い容器に入った土、ガラス板、金属などを取り出した。検証のため必要になるだろうと事前に準備しておいたのだ。
アリスが作ってくれたデザインを見ながら、目の前に取り出した素材に手を向ける。
魔力を集中させ、諸々の素材を切ったり、削ったり、加工することでパーツを用意していく。
土を掘り、基礎を作流。最後に出来上がったパーツをプラモデルのように組み合わせる——。
こうして、百五十分の一スケールの家が完成した。強度のため、やむなく少しだけ手を加えた部分もあるが、概ねアリスが考えてくれたデザインそのままの出来栄えである。
「す、すごいです……!」
「っていうか、いつからこんなのできるようになったのよ!?」
「ユーキ君って本当になんでもやるよね……」
「ほんとにアリスが描いた絵がちゃんと家になってる……すごい」
アレリア、アイナ、ミーシャ、アリスの四人ともが大絶賛だった。
「アリスのデザインのおかげだよ。しっかり頭の中でイメージできたからやりやすかったんだ」
謙遜でもなんでもなく言葉の通りだった。
完成のイメージから逆算することで必要なことが見えてくることもある。一人ではここまでのクオリティにはできなかっただろう。
《新スキル『創造魔法を習得しました』》
新スキル獲得の声が聞こえてきた。久しぶりのことで油断していたので、一瞬ビクッとしてしまう。
しかし……創造魔法って何に使えるんだ?
《人智を超えた創造が可能になります》
そんな補足がなされるが、そう説明されてもいまいちピンとこない。
まあ、実際に使ってみればどういったものかすぐにわかるだろう。
 





