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再生の維新  作者: グッドリッチ忠勝
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3.転校生

 とある朝の出来事。

 徳川学園高等学校は全寮制である。

 基本は二人一部屋の構成となっている。


 多感な時期の生徒が集団で生活するのだからいろいろ、いろいろ、いろいろあって仕方ないのだ。


 「起きろよ涼介!今日もハチャメチャいい天気だぜ!」


 朝からうるさいこいつは同じ部屋に住む青葉泰造。

 学科は諜報科に所属しており主に情報収集を学んでいる。


 「朝からうるせーなー!大体ハチャメチャってドラ○○ボールかよ!」


 「ん〜いいツッコミだが俺はドラ○○ボールとやらをあんまり知らんから意味がわからん」


 「まじかよ!永遠に語り継がれる名作だぞ!ヒュージョンすっぞ!」


 大体こんなよくわからんやり取りをして重い体を動かし、登校の準備をする。


 「そーいえば今日転校生来るらしーぞ?喜べ木場!しかも美少年だ!」


 「なんでだよ!美少年に興味ねーよ!」


 「いやいやお前さ、あの美人な暁姉妹言い寄られてもなんともおもってないんだから みんなお前のことあっちだと思ってるぞ」


 「あっちってどっちだよ!んなわけねーだろ大体暁姉妹はただの幼馴染だ」


 青葉の情報網は親友ながら関心するほどの正確さなので、まあきっと転校生も美少年なのは間違いないのだろう。しかしなぜまたこの学校に来たのか気になるところだ。


 「なあ青葉、なんで2年でこの学校に転校してきたんだろーな?」


 「本当の理由は定かではないが、帰国子女って話しだからそれで遅れてきたんじゃねーの?」


 この2100年にももちろん通常の学校はある。

 この学園に来るものはこの世を力で成り上がりたい者、国を守りたい者が集まる。それにこの学園は準兵士の役割を担うため学費は無料だ。


 「まあその美少年の話しは置いておいて、涼介早く行かねーと遅刻しちまうぞ!」


 急いで準備を済ませ、ギリギリ間に合うことを祈りながら足をフル回転させて学校に向かう。この後出会す最悪の出会いがあることも知らず。


 「涼介おはよー」


 「涼介くんおはよう」


 暁姉妹との挨拶も早々に担任の葛城潤が教室に入ってくる。


 「まーた木場はギリギリかー」


 「潤ちゃんすんません!」


 「潤ちゃんじゃなくて葛城先生だろー!」


 葛城先生は俺の実の姉木場緑の親友であり昔から暁姉妹と共に面倒を見てもらっている。だが今俺の姉は行方不明であり帝国の捜査官が言うにはすでに死んでいるとの情報が来ている。


 「涼介!潤先生に失礼でしょー」


 「いや潤先生じゃなく葛城だ暁!」


 「それよりもじゅんちゃん転校生くるんだって?」


 「まーた青葉の情報か!あいつはどっから情報仕入れてんだよ」


 青葉はテストの問題等も得意の情報網から仕入れてくる教師泣かせの生徒なのだ。


 「まあいいそれでは転校生を紹介する 入ってきなさい」


 静まり返った教室にドアを開ける音が響く。


 「きゃー!超イケメンじゃない!」


 黄色い歓声を上げる女子とどこか嫉妬心を見せる男子。

 その中を無表情で歩き、教壇に上がる転校生。


 「はじめまして、黄花こはなシトリンと言いますよろしくお願いします」


 ざわめく教室の中俺は驚きと憎しみに満ちた感情を押し殺していた。

 黄花シトリンという転校生それは1年前に俺を殺した薊共和国の兵士に似ていた。

 金色の髪と虚ろな瞳その姿を忘れたことはない。


 「ちょっといいかな?黄花くんって薊共和国の人?」


 断定するにはまだ早いが聞かずにはいられない。


 「いえ 僕は欧米のイギリスからやってきましたがなぜですか?」


 彼は嘘をついているようには見えなかった。

 第一にまずシトリンが俺を殺したのなら俺が生きているのを見て不思議に思うだろう。


 「そうか悪かったな!知ってるやつに似ててな」


 「自己紹介も終わったところで、出席を取るが1名以外は全員いるな、では授業を始める」


 授業が始まるも俺の頭の中では黄花のことで頭が一杯だった。

 やつが嘘をついている可能性も十分にある。

 今日は実技の講習がある。そこで黄花の武具を見て銃身にヒマワリの紋のある銃が出れば確証に繋がる。


 昼休みの時間となり、いつものマイベストプレイスである屋上に足を伸ばす。階段を登り、扉を空けた瞬間目の前にイガグリのような物体が降ってきた。


 「なーに見てやがる!」


 唐突に喋るイガグリ。

 空耳かな?栗が喋る訳がない。


 「そこのお前だよ!」


 「また栗が喋った!」


 「栗じゃねーよ!よく見てみろ!」


 栗のように見えた物体から手足が生え、むくっと立ち上がった。


 「俺の名は針風!ハリネズミ型アンドロイドの猛獣さ」


 「あー 対人用ペット兵器か」


 対人用ペット兵器とは20年前開発された戦争兵器であり、主に敵を攻撃するために作られたのだが、昨今では停戦状況もあり主にペットとして取り扱われている。


 「それでなんでこんなところにペット兵器がいるんだよ?」


 「貴様は木場涼介だな?お前の姉の名によりこれからお前の専属ペットとなった!よろしくなっ!」


 俺の姉木場緑は行方不明なわけだが、このハリネズミが言っていたことが本当だとすると生きていたのか。


 「おい!ネズミ!姉さんは生きてたのか!どこにいるんだ!?」


 「ふっ···時期にわかるから焦るなよ とにかく俺はこれからお前と共に行動するからよろしくな」


 いきなり現れた針風というハリネズミがこれから俺の運命を変えることをまだ知る由もなかった。


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