第三十九話:エラーコード
活動報告更新しました。
2017/2/1:現在休載中です。詳しくは活動報告に掲載させてもらった休載報告をご覧ください。
二月中旬に再開予定です。
後半戦、実技測定がスタートした。
試験監督は魔道士協会会長の守織だ。
彼女が作る結界を超えられる魔法を行使できれば、出力魔力量のSSSランクを得られるという話なのだが…
「と言うわけで、トップバッターは神田、お主にやってもらうのじゃ」
「え!?俺からですか?」
「当たり前じゃ。何でも先程の潜在魔力量の測定では適正無しと判断された様じゃが、そんなお主が魔法を使えるなど前例がない。よってここにおる誰もが、お主がどの様な魔法を使うのか気になって仕方なかろう。私も含めてな」
守織の言葉を聞いた学園側の生徒達から、「確かに…」「気になるな…」という声が漏れる。
「まあつべこべ言わずにこっちに来るのじゃ」
「はい…わかりました」
別にトップバッターになった所で、順番が早いか遅いかだけの違いだ。
(さて、どんな魔法を使おうか…)
そんな事を考えながら、守織の立つグラウンドの中央に向かう。
今現在敬司が使える最高ランクの魔法は、★8魔法の『竜焦炎舞』である。
敬司自身が持つエンハンススキル、『マジックエンハンス』などのエンハンス効果を用いても、もう一つ上の第九位界魔法レベルの威力にしかならないだろう。
それだけでは、東京全土を覆う結界を張れる力を持つ守織の結界を崩せるとは到底思えない。
(ここは特殊魔法、『ダブルキャスティング』に賭けてみるしか無さそうだな…)
『ダブルキャスティング』は、敬司がアリスと戦った後に手に入れたスキルである。
異なる二つの属性の魔法を同時に使う事が出来、さらに特定の組み合わせによって特殊魔法が発動する、と言うものだ。
よって自分が使える魔法の中から、特殊魔法が発動する組み合わせを見つけ出せれば、それが突破口になる可能性はある。
(ただ、問題はどうやって見つけるかだ)
敬司は脳内で現在使える魔法をリストアップする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ファイア
フリーズ
ライトニング
エアショック
ヒール
★6風刃
★6炎槍
★7焱嵐
★7雷速
★8龍焦炎舞
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(うーむ、思ったより少ないな…)
前回『ダブルキャスティング』を使った時は、『焱嵐』と『雷速』の同時発動だった。
結界突破のための威力を考えれば、それらよりもランクが上の『竜焦炎舞』は、まず一つ目の選択として確定だ。
(しかし威力だけではどうにもならない。炎の塊をただぶつけるだけじゃなくて、壁を貫く様な一点集中の突破力が欲しい)
貫く突破力と考えれば『炎槍』が適任だが、これは『竜焦炎舞』と同じ火属性のため使用不可だ。
それと同じ様な突破力を求めるのであれば、もう一つの魔法の選択は『風刃』が適当だろう。
『風刃』とは、空気を限界まで圧縮した風の刃を放つ魔法。これに『竜焦炎舞』の爆発力を加える。
「よし!ダメ元だがやってみるか!」
「準備ができた様じゃな。それでは行くぞ、『複合連続層障壁、展開!』」
守織の詠唱と共に、彼女の周囲を囲う様に何重にも重なった巨大なドーム型のガラスの様な壁が生成される。
「こいつを突破すればいい訳ですね、全力でいかせてもらいます!」
敬司は頭の中でスキルの発動を行う。
____『マジックエンハンス』、発動。
____『ダブルキャスティング』、発動。
「『風刃』、『竜焦炎舞』、同時発動!」
そして敬司が二つの魔法の詠唱を行なったその時、
____『ダブルキャスティング』追加効果、特殊魔法、発動。
(なっ!この声は!?)
突然勝手に頭の中に、女声と思われるシステム音声の様なものが流れだす。
____複合術式、変更。
____定着、完了。
____ピロピロリン♫
____『カンダケイジ』は新しく★10魔法を習得しました。
(新しい魔法!?成功したのか!)
新しく習得した魔法の名前が自然と頭に浮かぶ。
(これが、特殊魔法…)
敬司は右手を上に掲げ、「その名」を叫んだ。
「召喚、『災禍之剣』!」
敬司がそう唱えたと同時に、彼の周囲に凄まじい量の炎が纏い始める。ここまでは『竜焦炎舞』と同じだ。
しかしその形は竜の姿を取ることなく、代わりに細く収縮し、全長10メートルを超える巨大な炎の剣と化した。
「ほぉ、これは、ちぃとまずいかのぉ…」
守織が引きつった顔を見せるが、構うことなくその剣を振り下ろす。
「いっけぇぇぇぇぇ!!!!」
振り下ろされた大剣と守織の結界が衝突した。
衝撃、そして爆音。
拮抗したお互いの接触面からは、目が眩むほどの火花が発生する。
「まさかここまでとはな、流石に驚いたのぅ。強度を上げねば突破されそうじゃ」
守織は周囲全体に展開していた結界を収縮させ、『災禍之剣』に対抗しようとする。
「まだだ!突破しろ!『災禍之剣』!!」
敬司の掛け声とともに大剣の熱量がさらに増す。
するとまたも敬司の脳内にアナウンス音声が流れた。
____「カンダケイジ」の魔法使用権限の超過を確認、一時的に権限を引き上げます。
____申請、承認完了。限界突破、開始。
「おらあああああぁぁぁぁ!!!」
しかし…
____エラー
そのアナウンスと同時に、敬司が作り上げた巨大な炎の剣が突然収縮し始め、最終的に跡形もなく霧散して消えてしまった。
「あ、あれ?炎が消えた!?なんで?」
____エラー。限界突破不可。エラー。エラー。
「何なんだ?さっきからこの声は…一体誰が俺に話しかけてるんだ?エラーって何のことだ?」
____エラー。エラー。エラー。エラー。
謎の声の主はその質問に答えることはない。
その代わりに無機質な声が敬司の頭の中に何度も木霊し、その声は少しずつ大きくなっていく。
「おい!誰だ!誰なんだ!答えてくれ!」
「お主よ、一体どうしたのじゃ?」
敬司の異常に気付いた守織が結界を解き敬司に近寄る。
「ねぇ、アリス。敬司君の様子が…」
「ええ、使っていた魔法が突然途切れてしまったように見えたけど、魔法の使い過ぎで魔力切れ…いえ、ケイジは魔力を保有していないと判断されたからそれは無いのかしら…では一体何故?」
美玲やアリスだけでなく、遠巻きに敬司を見ていた他の生徒も違和感を感じているのか、ざわざわと騒ぎ始める。
そしてそんな彼女らを他所に、再度敬司の頭の中にアナウンスが流れる。
____「カンダケイジ」の魔法生成システムに異常発生。エラーコード、123758。
____修復開始のためにスリープモードに入ります。
「あ、あれ…力が…」
スリープモードと聞こえた瞬間体に力が入らなくなり、敬司は地面に膝をついてそのままうつ伏せで倒れこむ。
「敬司君!?!?」
「ケイジ!?」
美玲とアリスが敬司に駆け寄り、肩を揺らしながら敬司に話しかける。
「…………君!だ…ぶですか?!」
「…したの!?しっか……なさい!」
耳が遠くなっているのか、何を言ってるのかがわからない。
「やばい…意識が、途切れる…」
____エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。Er…
なんとなくで新連載やってます。
異世界モノです。
題名「勇者様は帰れない!?」
作者ページからどうぞm(_ _)m




