第二十五話:協会本部訪問5
2017/1/29:物語の矛盾点解消のため、文章を一部分変更いたしました。
オリジンは次の朝に起きてすぐジェイナスの元へ向かった。
ジェイナスは目を覚まさしておらず、虫の息だった。
オリジンはジェイナスの胸に手を置き、「治れ」と強く念じた。するとオリジンの両手がやさしい緑色に光り、それと同時にジェイナスの体の黒い斑点もなくなっていった。
ほどなくしてジェイナスは目を覚ます。オリジンはこの力を与えてくれた神に感謝するとともにこの力が世界を大きく変えてしまうだろうと確信し、それを日記に記した。
オリジンが世界で初めて魔法を行使した瞬間であった。
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「まあ、世界最初の魔導士が生まれた瞬間の物語はこんなものかの」
いろいろと疑問点もあったが、守織の話し方の上手さにずっと聞き入ってしまっていた。
「ここまでで何か質問はあるかの?」
「では一つ、いいですか?」
「うむ」
「始祖の過去に出てきたジェイナス=エーレンフィールってアリスと姓が同じですよね?それってなにか関係があるってことですよね?」
「やはり最初にその質問が来ると思っておったよ。始祖はこの後結婚して5人の子供を授かってな、その五人は世界中に散らばって魔法を伝えていったそうじゃ。そのうちの四人の子孫が姓を変え、その土地に根付いていったが、唯一そのまま姓を変えなかった者がおった。その名はジーザス=エーレンフィール。彼は海外に出ることなく、現在のイタリアに残って研究を続けたそうじゃ。アリスの姓はそれがそのまま続いたものじゃ」
「それでは、守織さんも始祖の子孫なんですか?」
「左様。この世のすべての魔導士の血筋を700年前までたどれば、それらはすべて始祖に収束する」
(なるほど。つまり守織さんの話からすると、俺という魔導士だけが始祖の血を引いていないということか)
しかし、まだ疑問は残る。
「じゃあ次の質問です。俺だけが始祖の血を引いていないことはわかりました。しかし、何故それが俺自身が特別な存在である理由になるんですか?」
一度編入試験の際に樹に聞いたところ、『魔法というものの根源が明らかになる』と言われたが、その意味がよく分からなかったのだ。
「うーむ、そうじゃな。別に話せない内容というわけでもないのじゃが、いかんせん魔法のことに関してはお主はほぼ無知じゃからのう。話しても理解してもらえるかどうか・・・」
守織はしばらく顎に手を添えて唸り声を上げた後、
「そうじゃ、ちょっと待っておれ」
そう言って会長室の端っこにある本棚から一冊の本を取り出し、
「ほれ、キャッチせい」
敬司に放り投げた。
「うわっとと、なんですかこの本。『初級魔術教本』?」
その本は広◯苑よりも分厚く、黒い表紙に『初級魔術教本』と書かれていた。
(この厚さ、明らかに初級の雰囲気がしない・・・)
「坊やが特別な存在である理由は、お主が始祖の子孫でないこと以外に、もう一つ存在する。しかしそれを話す前に今手渡した本を読むことじゃ」
「こ、こんなに分厚いのをですか!?」
(質問に答えてくれるんじゃなかったのかよ・・・)
「その本は、普通の魔導士であれば魔法学園で6年かけてその全ページを学ぶものじゃ」
「6年!?魔法学園!?」
魔法学園って言ったよな今!?
言ったよな!?
「魔法学園ってあるんですか!?」
「ああ。魔導士の協会がある国には少なくとも一つ存在しておる。もちろん、日本にもな。名前から容易に想像できると思うが、日本でいう中学と高校の6年間で新米魔導士が魔法を学ぶ機関じゃ」
(マジで存在したのか魔法学園・・・もうこれ明らかにアニメやラノベの世界じゃねぇか・・・)
「じゃが、お主がそこに通う必要は無かろう」
「え!?」
「あくまで魔法学園は6年間で、初級魔法、つまり第五位界魔法までをすべて使えるようになることを目標にしておる。お主はすでに第七位界魔法、雷速、炎嵐を使えるほどの魔導士だと聞いておる。であればわざわざ入学する必要は無い」
「そ、そんなぁ・・・」
これから魔法学園に通って、いきなりファンタジースクールライフか!?という敬司の期待は崩れ去った。
「じゃが、恐らくお主は魔法が使えても、その詳しい仕組みまでは理解できておらんだろう。『なんとなく使えるから使っている』という感じじゃな。じゃから、その本を読んで魔法の基礎を学べ。さすれば、お主の疑問も解消されるだろう」
「3000ページはあるんですが・・・」
「安心せい。中級魔法まで使いこなせておるのであれば、一回読めば理解できよう」
(そんな理不尽な!)
「ちなみに、美玲やアイリスも同じように魔法学園の学生だったのじゃぞ」
「!!」
守織の言葉の中に、敬司の自分のよく知る二人の名前が出てきた。
「そうですよね、二人も魔導士だから通っていて当然ですね」
「いかにも。美玲は日本の魔法学園へ通っていたのじゃが、アイリスも留学生として美玲と同じ学園に通った時期があるのじゃ」
(同じ、学園か)
その時敬司は、編入試験でアリスが美玲に向かって「久しぶり」と言っていた時のことを思い出していた。
「もっとも、二人とも魔導士としての才能に溢れておったのでな。美玲、アイリスともにたった四年で初級魔法をすべてマスターして卒業してしもうた」
「六年のカリキュラムを四年でですか!?」
「うむ。二年の飛び級など前例が無かったからのう。流石に私も驚いた。じゃから、わからないことがあれば彼女らに聞くといい」
「わかりました」
確かに日本魔導士協会の会長である守織には、敬司に魔法の基礎から教えてやる暇は無いだろう。
しかし、その基礎を学びさえすれば自分の魔導士としての真の価値がわかると言うのだ。
敬司は取り敢えず彼女の言う事を信じてみることにした。
「さて、他に聞きたいことはあるかの?」
「いえ、今のところはありません」
本当はまだ聞きたいことはあるが、PSDの事を聞いても『謎の人格』に邪魔されるだけだろう。
「そうか、では始祖の子供の所まで話を戻そう。始祖には五人の子供がおり、そのそれぞれが世界中に魔法を伝えていった。ここまでは良いな?」
「はい」
「実はその中に一人、魔法の力を悪用する目的で始祖の元を発った者がおる。その名前はレイノルズ=エーレンフィール。現在の魔導士の革命派、つまり魔法の力で世界を掌握しようとしている組織を最初に作り上げた人物じゃ。革命派をお主にわかりやすいように言えば、『悪の組織』みたいな物かの」
更新、遅れましたm(_ _)m




