第一話:プロローグ
初作品、初投稿になります。
作品として至らない点が多いかと思いますが、宜しくお願いします!
名前を何度も変更してすみません。
やっと納得のいく名前になりました。
人生はクソゲーだ。
性別、初期ステータス、キャラクリエイト(容姿)は生まれた瞬間ランダム決定。
選択肢が星の数ほどあるストーリーは複雑怪奇。
場合によっては人生のほとんどを「はじまりの街」で過ごすプレイヤーもいる。
レベル上げ(勉強)しても、しばらくやらないとレベルが落ちる。
ゲームを効率よく進める説明書、攻略本は存在しない。
人生に勝ってもペナルティ、負けまくってもペナルティ。
リアル死亡システム搭載で、死に戻りもセーブもロードもできない。
そしてどんなルートのストーリーをたどっても、エンディングは全て「死」に収束する。
もちろんステータスを引き継いだ二周目は存在しない。
「こんなゲームの何が楽しいんだか。」
高校の放課後、俺は物思いにふけりながら夕焼けに染まった川辺を一人で歩いて帰る。
人生に絶望している、とまでは言わないが、年を重ねても代わり映えのない生活に少しがっかりしていた。
16、7年しか生きてない若造が何を言うか!って祖父だったら怒るだろうか。
そんな事を考えていると、丁度横を通り過ぎた自転車から何かが落ちるのが見えた。
近づいて拾ってみると、携帯ゲーム機として有名なPSDだった。
俺が持っているのは黒色だが、そのPSDは金色をしていた。
そうこうしているうちに自転車は落し物に気付かず遠ざかっていく。
「あ!自転車の人ー!ちょっと待ってくださーい!落としましたよー!PSD、落としましたよー!」
走って追いかけるも、足の速さで自転車に勝てるはずもなく、結局自転車は止まらず見えなくなってしまった。
落し物は交番に届けるのが基本だ。しかし、生憎近くに交番はなく、むしろもうすぐ家につくところであった。
仕方ないので、落とし主不明の金ピカゲーム機は家に持って帰ることにした。明日交番に届けることにしよう。
「さて、始めるか。」
晩飯を済ませた俺は、自分の部屋でゲームを始めることにした。
何のゲームかというと、今日の帰り道に拾った金ピカPSDである。
落とし物のゲームを勝手にやってしまうのは道徳的にダメかもしれないが、バレなければ問題ないだろう。
「何のソフトが入ってるんだろう......っと、え?あれ?開かない......?ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ!っはぁ!開かねぇ!」
PSDの後ろのカバーを開けて、中に入っているソフトを確認しようとしたものの、全力を込めてもカバーは開かなかった。
このまま無理しても仕方ないので、金ピカPSDの電源を付けて確認することにした。
入っていたのは、レトロなRPGゲームの様だった。名前は「勇者の冒険」。
「なんでPSDでこんなゲームやってるんだ?」
聞いたことも見たこともないゲームだが、とりあえず中身を確かめてみることにした。
ゲーム開始ボタンを押すと、チュートリアルが始まると思いきやログイン画面が出てきた。
『このゲームをプレイするには、SOGAゲームIDとパスワードが必要になります。それぞれ正確に入力してください。』
「SOGA?このゲームSOGAが作ったゲームなのか?」
SOGAとは日本国内でトップシェアを誇るゲーム会社である。
PSDやMiiを始めとするゲームハードのソフトだけでなく、スマホでプレイするソーシャルゲーム、PCでプレイするネトゲなどにおいて、数々の名作を作り出している。
俺も、SOGA作にはお気に入りのゲームが多い。
SOGAのゲームにはアカウント制度があり、一人に一つだけSOGAゲームアカウントを持つことができる。SOGAが作ったゲームでオンライン機能が付いているものは、全てIDとパスワードでログインできる。そのアカウントでプレイすると、特別なイベントに参加できたり、限定アイテムがもらえたり、プレイヤー専用チャットでアイテムや情報の交換ができる。
一応課金制度はあるが、SOGAの「無課金でも楽しく」というモットーの元、買えるのはせいぜい消費アイテムやアバター服ぐらいである。
実はこのSOGAゲームアカウントには大きな特徴があって、ゲームアカウントを作る際に身分証明書が必要になるのだ。免許証や保険証などなんでもいいが、自分の身分が証明できるものがないとアカウントを作れない。そしてそれが、「一人に一つしかSOGAゲームアカウントを作れない」理由である。
年会費とかはかからないので、「アカウントを作っていた方がお得」という感覚である。
俺は16歳の夏休みに原付免許を取得したので、その免許証で登録した。そのため去年アカウントを作ったばっかりなのだ。
IDとパスワードを入力すると、やっとゲーム開始画面に移った。
『アカウントID:KEIZI、認証、完了。
ゲーム情報をロード、完了。
正規アクセスを確認、完了。
神田敬司様、ようこそ「勇者の冒険」へ!
これよりチュートリアルを開始します!
チュートリアルを受けますか?
(はい・いいえ)』
俺は新しいゲームをするときは説明書は読まないタイプである。「習うより慣れよ」って感じだ。
「チュートリアルはいいや。ゲーム開始っと。」
ゲームのストーリーはよくあるものだった。
簡単にあらすじをまとめると、とある王国の近くに魔物の国が出来てしまった。王国は魔物の国に襲われ続け、崩壊の危機に陥っていた。そこで王は勇者を募り、魔物の国の長である魔王を討伐する旅に出させる、というものだ。
装備やアイテムははじまりの街や他の街で買ったり、倒したモンスターからドロップする様だ。
ステータスはメニュー画面から確認できた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カンダケイジ:勇者Lv1
筋力:1
素早さ:1
体力:1
魔力:1
賢さ:1
魅力:1
装備:木製の剣・薄いローブ・普通の手袋
スキル:
【打撃】スマッシュLv1
【魔法】ファイアLv1
【パッシブスキル】なし
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
レトロなゲームにしてはステータスやスキルの表記がやたら細かった。
そしてどうやら始めにスキルポイントを10振れるそうだ。
魅力に関しては振ったところでどんな影響が出るのかわからないので後回しにして、とりあえず戦闘に役に立ちそうな振り分けをする。
魅力を除く全てのステータスの影響度合いを確認するため、スキルを振らない状態で雑魚モンスターと戦闘し、その後スキルを振りわけ、また戦闘をしてその差を比較することにした。
はじまりの街の門から外に出ると、草むらなどがあるフィールドマップに切り替わり、一定確率でモンスターとエンカウント(遭遇、戦闘)する。
また、このゲームの戦闘はターン制で、MPは存在せず、スキルはクールタイム制(一度スキルを使うとその後何ターンかスキルを使えず、一定ターンが経つとまた使える様になる。強力なスキルほどそのターンは多くなる。)となっていた。
村人の話を聞くと、賢さを上げるとより多くのスキルを覚えることができるそうなので多めに上げておいた。
魔法に関しては、大体のネトゲでは序盤は非効率で役に立たず、後半から大火力で役に立ってくるので、序盤の上昇率は低めにしておくことにした。
そして最終的にスキルポイント10の振り分けは
筋力:2
素早さ:2
体力:2
魔力:1
賢さ:3
に決定した。
これも村人に聞いた話だが、レベルアップボーナスではLv1ごとにスキルポイントが2もらえて、合計Lvが5の倍数になるたびに取得可能スキルが増えるらしい。
スキルの振り分け後、はじまりの街周辺の雑魚モンスターを狩りまくっていると、勇者がLv5まで上がった。スキルポイントは追加で8振ることができ、新たなスキルも習得できた。
「見た目と違ってゲームシステムは意外としっかりしてたなぁ。今日はここまでにしよう。」
他にやりたいゲームもあるので、勇者の冒険は切り上げることにした。
本日1時間のプレイでの最終ステータスを以下に記す。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カンダケイジ:勇者Lv5
筋力:5
素早さ:5
体力:4
魔力:3
賢さ:6
魅力:1
装備:鉄製の剣・革のローブ・黒い手袋
スキル:
【打撃】スマッシュLv2・力溜めLv1
【魔法】ファイアLv1
【パッシブスキル】なし
【アクティブスキル】なし
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・