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第六話 顔合わせ

「こちらは、早坂真衣さん。二人とも年齢も出身大学も同じみたいだけど、親しい仲なの」


私の疑問形の返事を引き継いだのは、達樹さんだった。




「そちらは、森山達樹さんと新井尚哉さん。お二人も年齢も出身大学も同じようですけど、親しい関係なんですか。」


真衣が綺麗に微笑んで二人を交互に見ながら、達樹さんを真似て返すと、達樹さんが笑いながら子供の頃からの付き合いだと教えてくれた。




「花菱製菓って、子供向けのお菓子を扱っている会社だよね」


改めて四人で簡単な自己紹介を済ませた後、尚哉が私の勤務先について聞いてきた。




 私は、年号の一つと同じ名前の私立大学を卒業した後は、両親の待つ地元へ帰るつもりだった。けれども、事務職を希望し、卒業を控えて地元で受けた就職試験を全敗してしまった。


反対に、こちらで受けた就職試験では数社から合格通知を受け取り、その中の一つに花菱製菓からのものがあった。



 花菱製菓株式会社は、会社の規模としては中小企業に分類されたが、創業時より子供向けのお菓子の製造・販売をし続けて半世紀以上になり、ロングセラー商品も数多く取り扱っていた。


時代の移り変わりと共にパッケージのデザインには多少の変化はあるものの、大人になってからコンビニなどでそれらの商品を目にし、懐かしい思いを抱く人も少なくなく尚哉もその一人だった。




そこからお菓子談義に花が咲き、その他にもお互いの仕事の話や趣味の話などをして、四人で楽しい時間を過ごした。




 ふと、背中越しに人の気配を感じて振り返ると、クリスマスパーティに相応ふさわしい華やかな装いをした二人の女性がグラスを手にして満面の笑顔で立っていた。




「座る場所を探しているのなら、向こうの方に空いている席が、いくつかあるんじゃないか」


二人の女性が口を開くのをさえぎるように尚哉が声を掛けると、彼女たちは揃って気分を害したみたいに表情を変化させて立ち去ってしまった。


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