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第二十四話 三者三様

今週もよろしくお願いします。

 暁化成株式会社は従業員の数は二百人に満たないものの、糸を染める研究に熱心に取り組み、その技術力は暁化成株式会社でなくては出せない色があると言われているほど高かった。


ただ、経営の方は社長のワンマン経営が時折、話題になることがあり、重役には創業家でもある社長の親族が名を連ねているという特徴があった。




 挨拶を済ませた青田がその場から去ろうとするのを美咲が引き止め、父である樫山専務と一緒に食事を摂ることを提案した。


青田のことが気になる様子だった樫山専務は、娘の美咲の提案を了承した。




 席へ戻ると樫山専務は美咲と並んで座り自分の向かい側の席を青田に、美咲の前の席を俺に勧めた。


俺は席を外したかったのだが、樫山専務が認めてくれそうもなく食後のコーヒーを飲みながら三人の様子を傍観ぼうかんしているしかなかった。




青田はあれこれと問い掛ける樫山専務に対し、表情を崩すことなく運ばれて来た料理を口にしながら言葉少なに簡潔に応じていた。


そんな青田の答えに、美咲が説明を加えて補足していく。


俺は三人の会話に興味はなかったが、聞くともなしに聞いていた。




「この辺で、失礼させていただきます」


食事を終えた青田が、食後のコーヒーが運ばれて来るのを待たず強引とも思える態度で話を切り上げ、美咲に声を掛けることもなく立ち去ろうとした。


青田の態度に樫山専務は眉間にしわを寄せたが、美咲は気付かずに青田の後を追った。




 その場になんとも言えない空気が漂い、ゴルフを続ける雰囲気ではなくなっていた。


だが、俺は、これで美咲との結婚話を持ち出されることもないだろうと気楽に考えていた。


しかし、俺の考えは樫山専務には通用しなかった。




「一度、君を美咲に会わせたいと思っていたのだが、実際に会ってみて、私が常々言っていた通りの美貌の持ち主で、さらにスタイルも良くて驚いたのではないかね」


ゴルフ場からの帰り、自分の車のハンドルを握っていた俺に、後部座席でくつろぐ樫山専務が上機嫌で話し掛けてきた。




油断していた俺は、青田の存在などなかったかのように水を向けてきた樫山専務の態度に唖然あぜんとし、すぐに返事を返せなかった。


だが、瞬時に気持ちを立て直し、急いで頭を働かせて美咲との結婚話を持ち出されないようにするための言葉を探した。


「とてもお似合いの二人のように、見受けられましたが……」




お世辞にも仲睦なかむつまじいようには見えなかったが、俺は樫山専務がなかったことにした青田の話題を持ち出した。


活動報告にも載せましたが、今後のストーリー展開を考えて『あらすじ』を変更しました。


これまで投稿した本文には手を加えていませんが、この先より充実した内容になるようにしたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。

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