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第二百二十四話 転換点

今週もよろしくお願いします。


この回からは、尚哉の視点になります。

 梨奈は、また眠りについた。


井川医師が言っていた通り、梨奈の体力は極端に落ちていたのだろう。


一度目覚めた梨奈は、睡魔に導かれるように瞼を閉ざした。




梨奈と言葉を交わし触れ合えるのが嬉しくて、梨奈に無理をさせてしまったのかと焦った俺は、ナースコールを鳴らして看護師を呼び出した。


すぐに病室へやって来た夜勤の看護師に、一度目覚めた梨奈が再び眠ってしまったことを伝えた。


梨奈が目覚めていた時の様子を詳しく聞き取った看護師が、梨奈の状態を確かめて特に問題となることはなさそうだと告げ、朝食の時間が過ぎたら井川医師による診察があると教えてくれた。




問題はないと知り胸を撫で下ろした俺だったが、俺から連絡を受けて井川医師の診察に間に合うように梨奈の両親が戻って来た時も梨奈は眠ったままだった。




井川医師の診察を受けた時には僅かに目覚め井川医師の質問に応えていたが、梨奈は眠りの中で返事を返しているように見えた。


「梨奈さんの状態は悪くありません。ただ、体力がない分、今は起きているだけでも疲れる原因となります」


なかなか目覚めない梨奈についての井川医師からの説明を聞いて、ようやく俺は納得して気持ちを落ち着けることができた。




それから、今後は梨奈の体力を回復させることに重点を置くことになると、これからの診療方針について説明されたことで、最も危険な状態は脱することができたのだと、梨奈の両親と俺は目配せをし合い緊張を緩めた。




 そして、俺はあとを梨奈の両親に託して、マンション『ベルフラワー』の俺たちの部屋へ帰って来た。


あのまま病院に残り、ずっと梨奈に付いていたい気持ちは十分すぎるほどにあったが身体が疲労を訴えていた。


梨奈の両親からも顔色が優れないと言われ、一度帰って休むように勧められた俺はその言葉に従うこととした。




次から次へと緊張を強いられる場面が続き、部屋の中へ辿り着いた途端に身体が沈み込むような疲れを感じた。


それでも、梨奈と気持ちを通い合わせることができ心は軽かった。


身体は酷く疲れていたはずだったが、梨奈の母親が用意してくれていた朝食は今までにないくらい美味しく感じられ、湯船に浸かった身体は溶け出してしまいそうだった。


ベッドに潜り込むと、あっという間に夢も見ず深い眠りについた。




 しばらく経った頃、携帯電話の呼び出し音が聞こえ目を覚ました俺は、梨奈に何か問題でも起こったのかと慌てて電話に出た。


掛けてきた相手を確かめもせず、焦って呼び掛けた俺の耳に父の声が届いた。


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