第二話 勧誘
尚哉と初めて会ったのは二年前の冬、高校時代からの親友の早坂真衣に誘われて参加したクリスマスパーティだった。
真衣とは、高校の受験の日、偶然に受験会場で席が隣同士になり、お互いに緊張しながらも何度か言葉を交わしたことがきっかけで意気投合した。
「入学式で、絶対に会おうね」
別々の中学校から受験に来ていた私たちは、帰り際、また会うことを約束して別れた。そして、入学式で約束通り再開を果たした。
真衣と私は高校を卒業後、揃って上京し、同じ大学の経済学部に通った。その後の就職先は違っていたけれど、今でも頻繁に連絡を取り合っていた。
「ねぇ、梨奈。今、何歳か覚えてる」
「えっと、24歳、かな」
「かな、じゃないでしょ。渉君と別れて、どのくらい経ったのよ」
渉君は、私たちと同じ大学に通っていた男子学生で、私がお付き合いをしていた相手だった。
「たぶん、一年くらい……」
懐かしい名前を聞いて、最後に会ったのはいつだったかと思い出しながら応えると、電話の向こうから真衣の盛大な溜息が聞こえた。
「いいですか、渋谷梨奈さん。あなたは、まだ二十四歳なのにそんなに枯れ果てて、その調子だと、お婆ちゃんになる前にカラカラに乾涸びてしまいますよ」
「……カラカラ、って……」
学校の先生のような口調で言われた真衣の言葉に、私は思わず苦笑いした。
「梨奈、分かってる。ゲットしなければ、お付き合いは成立しないのよ。そして、出会いがなければ、ゲットもないんだよ」
パーティと聞いて、社交的な場が苦手な私は二の足を踏んでいたのだけれど、妙に説得力のある真衣の誘い文句に心を動かされクリスマスパーティへの参加を決めた。