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第十七話 遠距離恋愛

その日を境に、私は尚哉の『恋人』になった。




でも、私たちのお付き合いは、順調というには程遠かった。



 すでに年末を迎えていたこともあり、仕事が溜まっていた尚哉とは、テーマパークに一緒に出掛けたきり会わないままその年は暮れていった。


そして、年が明けて早々、大寒波が国内に居座り、寒さに慣れていない地方で水に関するトラブルが続出した。


四葉環境株式会社が関わっている施設でも問題がいろいろと発生し、それらに対処するために尚哉もお正月休み返上で借り出されていた。




問題が落ち着いて、やっと会えた時には一月も半ばになっていた。


その後は、後回しになっていた自分の仕事を片付けるため、毎日、尚哉は忙しく過ごし次に会えたのは二月に入ってからだった。




二月には、何とか二回ほど会えたものの、三月はお互いに勤めている会社が本決算月ということで予定が合わず、会えないまま過ぎて行ってしまった。




 四月に入ると、四葉環境株式会社には新人社員が入社し、教育係を任命された尚哉は自分の仕事と新入社員に対する指導で時間が潰れてしまい、久し振りに会えたのはゴールデンウィークに入る直前だった。


会社の方針により、気分転換を図る目的でゴールデンウィーク中、新入社員は全休になると聞き『今度は、落ち着いて会えるね』と言っていた矢先に、尚哉の担当している取引先で問題が発生した。


問題の原因は、コンピューターのソフトの不具合によるもののようだったけれど、同じソフトを使用している設備を用いている他の施設や団体への対応で、尚哉がお休みを取れた時には間もなく六月に入ろうかという頃だった。




 まるで遠距離恋愛でもしているかのように、数える程度しか会えなかった尚哉とのお付き合いがその間も続いていたのは、尚哉が最初の約束を守り通してくれたからだった。




尚哉はどこにいても、会えない時にはちょっとした時間を見つけて一日に何度もメールを入れてくれ、早めに仕事を終えた時には必ず電話をくれた。


メールの内容も電話での会話もたわいないものだったけれど、どんなに忙しくても疲れていても私のことを忘れずに気に掛けてくれる尚哉の優しさが嬉しかった。


気が付くと、尚哉に対する愛情の芽が私の中で少しずつ根を伸ばし確実に育っていた。


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