ウツボをと金魚を飼っていたら意外にも共棲した件
俺はサディストだ。
だから、こうして金魚のいる水槽にウツボを3匹放りこんだりしても何とも思わない。むしろ興奮する。金魚が、ウツボの長い体に巻きつかれ鋭い牙でトドメを刺されるのを想像するだけで、全身に痺れるような感覚が走る。
しかし、誤算だったのは肝心のウツボがサディストでは無かったことだ。ウツボは、俺よりもずっと倫理があるのか、金魚達をを喰らおうとはせず、水槽の横でにょろにょろするばかりか、しまいには金魚に体をつつかれている。そんなふうにされて何が楽しいのか、俺には分からない。弱者に、舐められるお前ら3匹の気持ちはわからない。
ただ、俺はその光景がまた新鮮でもあった。
だから、そのまま、漂う束の間の平和を眺める。同じ水で過ごさぬものが、いつまで同居に耐えられるのか観察したいと言う気持ちが、心の中にあった。
底なしのサディストである俺のアイデンティティに付随するものなであることには、おそらく変わりは無いのだが。