松ばあと聖一の自我崩壊まで!? 2
さっぱりええ湯じゃったとマツばあがお風呂に入ってリビングに戻ってくる。
「髪がびしょびしょだぞ? 拭いてやるから」
まずはマツばあの髪にタオルをのせる。
「ちゃんと拭かないと風邪ひくぞー……」
俺はタオルで少し強めにマツばあの髪の毛を拭いていた。
「わわっ、せーいち。もう少し優しくしとくれ」
マツばあはたまたま孫が髪の毛を拭いてくれているということでコミュニケーションをとれた嬉しさからか笑みを浮かべる。
「もー、抜けたら生えてこないんじゃから……」
微妙な空気になったので俺はマツばあに謝るしかなかった。
「……ごめん」
テレビで五十歳代の人が八十歳代の親を介護する苦労というドキュメント番組が流れているのを聖一とマツばあは観ている最中だ。
「明日は我が身と思うとやっぱり…介護は大変ですね。息子達は遠くへ引っ越して連絡取れませんし」
マツばあが番組を観ながらしんみりとしていた。
「……いつかはわしも聖一に介護してもらうのかのう……」
「マツばあ……」
マツばあが具体的な行動を口にしているので俺はそうなった場合の想定をする。
「お風呂に入れてもらったり、ご飯を食べさせてもらったり…………」
俺は悪くないなっ、などと思う。
「悲しいの……」
『いいなあそれ! 超楽しみ』
マツばあの老婆らしいところに目をつむれば幼女にそういうことをしてあげられるのかと俺は想定からいつの間にか脳内妄想に変換してしまっていた。
「楽しっ!? 介護嫌じゃよぉ」
聖一の妄想のせいでマツばあはショックを受けてしまった。
マツばあは聖一に抗議しながら机を叩いた。
「何が楽しみなんじゃよ、もーっ」
「やべっ、口に出てた?」
俺は核心に触れられて失敗したとバツの悪い表情になる。
「ふんっっ」
マツばあの機嫌を損なわせてしまったようである。
「!?」
自分のせいとはいえ、俺はマツばあにそっぽを向かれて最悪という表情になった。
「マツばあ、ごめ……」
俺はどうしようかと迷ったあげくに許してもらえるかわからないものの、とにかく謝ることにする。
「ところで聖一、飯はまだかのう?」
さっきまでの記憶がまるでなくなってしまったかのような痴呆症予備軍状態のマツばあに俺はそう聞かれる。
「……さっき食べました」
そっぽを向かれた時の悲しさは残っていたが、俺はいろいろと世話をする日は近そうだ……! と思った。
◇
マツばあに洗面所の場所を教えて欲しいと言われたので、俺は廊下に出て案内をしてあげることにする。
「せーいち、洗面所ってどっちじゃっけ?」
「さっきも行ったろ?」
洗面所についた俺はマツばあに新しい歯ブラシを用意するかどうかを尋ねる。
「そだ、新しい歯ブラシとか要るか?」
俺の問いかけにマツばあは特にいらないと答えた。
「自分のがあるから平気じゃよ!」
俺が見ている前でマツばあが口から入れ歯を外す。そして入れ歯洗浄剤を入れた専用のコップにマツばあが入れ歯を入れるのであった。俺はどうしても慣れない(慣れたくもないけど)
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