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町民の婚礼(一)

 集まった人々が笑いさざめく中、どこかすすり泣きに似たリュートの音色が流れていく。

「ヨセフ、スープの皿、あと二人分、こっちによこして」

 黒ビロードの花嫁衣裳の肩に濃茶色の髪を垂らした姿のエルザは、部屋の隅に向かってがなり声を張り上げた。

「ビールももうちょっとお願い」

 椅子から立ち上がりかけた格好のまま、新婦は続ける。

「ヨハン叔父さんたちのグラスが空だわ」

 そう言うと、花嫁はおくびの出かけた口元を押さえてまた椅子に腰を下ろす。

 灯りが照らし出すエルザの丸い顔は団子じみた鼻の先までうっすらと赤く、酩酊を示していた。

「分かったよ、今、用意するから」

 湯気立つスープを皿に注ぎながら、ヨセフは苦笑混じりに応じる。

「俺にも一杯、お願いするよ、花婿さん」

 不意に、リュートを弾いていた男が手を止めて告げた。

「ずっと弾き通しで腹ペコなんだ」

 分かるだろ、と示す風に、丸みを帯びた楽器を抱いた男は骨ばった肩をすくめる。

「あと、もう一曲だけ弾いてくれ」

 スープを注ぎ終えた皿をテーブルに回すと、ヨセフはまた新しい皿に手を伸ばした。

「客はまだ、全員揃ってないんだから」

ブリューゲルの代表作「農民の婚礼」をイメージした章です。

ちなみにご存知の方も多いとは思われますが、文中に出てくるリュートは日本の琵琶と源流を同じくする弦楽器です。

外観も音色もギターに似ていますが、リュートの方が音量は小さいけれど繊細な響きを持っています。

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