溢れるほどの愛を
汚れた世の中。
イジメ、
悪口、
表と裏。
嗚呼、人間はどうしてこんなに、醜くて・・・汚い。
でもそんな中、君だけは純粋、純情、綺麗だった。
奈津美、俺は君が大好きでした。
†.+溢れるほどの愛を‘’+†
キャスト
佐々木隆二 // ryuuzi sasaki
今井奈津美 // natumi imai
桐野 高志 // takasi kirino
福岡はるな // haruna hukuoka
第1章 高校入学
2004年 高校入学
家から徒歩10分。
歩いて高校なんて行く人なんて珍しいかもしれない。
そもそも俺がなんで家から徒歩10分なんかでいける
坂高という名の馬鹿高校に通うことになったのかといえば、
成績オールあひるさん(2)
学年365人中362番。クラス52人中52番。
この頭からだ。
いわば当たり前の結果かもしれない。
年齢=彼女いない歴の俺は
片手で髪をかきあげちょっとかっこつけてみる。
でもそんなバカ高校でも出会いはあるはず!
嗚呼、寒い、寒いよペリー。助けておくれ。
でも俺に彼女がいないのには訳ありで・・・。
とある会社の丸秘情報を知ってしまったために俺はおわれるはめに。
家族も友達もみんな捨て、
逃亡生活へ。
バイトで生活をつなぐが彼女をつくっても何もかってやれない、
どこにもつれていってやれない。
心優しい俺は告白されたことはあってもそのこのためを思い
心を痛ませながらも断るのでした・・・。
・・・・・・・・・・・・。
見え見えな嘘はつくもんじゃないな、うん。
俺は平凡、普通人間だ。成績はまともじゃないけどな。
さっきもいったように、彼女がいないおろか、
年齢=告られたこと無い歴でもある・・・。
別に特別ブサイクってわけでもないし、
ファッションに問題があるわけじゃないと思うし、
スポーツはできるし、やっぱ頭が問題なのかな・・・。
近所のおばちゃんにはモテモテなんだけどな。
そんなことをしている間に放送が流れる。
「入学式にご参加の方は体育館までお越しください。」
俺のことだ。
とりあえず行かなければならぬ。
といっても体育館がどこやら・・・わからないんだよな。
仕方が無いので俺は近くの女の先輩らしき人に声をかけた。
「すいません、入学式の会場はどこですか?」
「ああ、入学式の会場ならここをまっすぐ行って
左に曲がった所にあるわよ。」
いい人にあたったのかすぐに教えてくれた。
俺は頭をペコペコ下げながらお礼を言いつつもその方向へダッシュした。もうすぐはじまってしまう!!
急がなければ!!!!
と、長く走ってついた先には小さな校舎と小さな体育館。
あれ?ここには見覚えが・・・・・・。
よく見てみれば体育館には「中学校入学式会場」
と記されている垂れ幕がかかっており・・・。
よく考えてみるとそこは最近まで俺が通っていたと思われる所であった。嗚呼、思い出したぞ。思い出した。
俺がモテない原点はそこにあった!!
俺は背が小さかったんだ!!!!!!!!
恨んでやる恨んでやる。背が小さい俺よ!
恨んでやるぞ、中学校の入学式会場を教えてきた先輩よ!
俺は一人でぶつぶつ言いながら頭をくしゃくしゃかき回すがもう遅い、
高校の入学式はもうとっくに終わってしまっていた・・・。
もう間に合わないとはわかっていても一応急いで走った。
ちゃんと見れば学校案内図があったから
高等部の入学式会場くらいわかったのに・・・。
くそっ、ちゃんとみなかった俺が悪いのか????
いまさら入学式会場に行っても意味はない。
=走っても意味はない
俺はとぼとぼ歩いて高等部の校舎に向かった。
せっかくの高校入学なのにこんな最悪なスタートになってしまった。
新しい校舎、新しいクラスメイト、新しい先生・・・。
クラスに美人の子でもいたらいいのに・・・。
先生がものっそい美人だったらいいのに・・・・。
嗚呼、俺は入学そうそう先生に怒られるのか・・・・。
第2章 教室
「ガラガラガラ!!!」
もう遅刻だということはわかってる。
もうそろりそろりとこっそり教室に入ったって仕方がない。
俺は堂々と教室に入ってしまうことにした。
適当な理由でもつけてりゃいいさ。
もともと俺が遅刻してきたわけじゃないし。
中学校の場所を教える先輩が悪いんだよ。
・・いや、背が小さくて勘違いさせた俺が悪いのか。
これらを俺は間0.2秒で考えた。
「あなたは、佐々木隆二君ね?入学早々遅刻の。」
黒板の前から教師と思われる透き通った声がする。
この口調からくれば女だろう。
女の先生に怒られるなら悪い気もしないな・・・。
あ、そうそう、こんなにもベラベラと喋っているのに(心の中だけどね
俺はなんの自己紹介もしていなかったな。
俺の名前は佐々木隆二・・ってこれはもういいか。
年齢=彼女いない歴で・・・ってこれももういいよな。
自分でも悲しいことを2回言うほど俺は馬鹿じゃないし暇じゃない。
第一俺は今この先生に怒られないようにする、
理由を考えなきゃいけないんだから。
今いえることって言えば俺が角田市の2丁目に住んでいる
実に平凡な高校1年生ってこと。
言い訳はどうしようか。
寝坊・・じゃあ怒られるし、道に迷った・・じゃ現実味がないよな。
まあ俺は実際道に迷ったんだけどさ。
ああ、思いつかない、泣けてきた。
入学早々先生におこられるなんて俺もついてないなあ。
・・・そうだ!
荷物を重そうに持っていたお年よりの荷物をもってあげて、
家まで送ってあげていた!
うん!これでいい。これなら怒られる心配もないし、
優しい生徒として高感度UPだ!
そうして俺はこのグッドアイディアを言おうとして
顔を上げたわけなんだけど、
俺はこのあと叫ぶことになる。
なんたってあの、朝の間違えた道を教えた、
中学校の入学式会場を教えやがった「あの」
あの女がいたからだ。
「ああああ!朝のクソ女!」
「あ、あんた朝の??中学生じゃなかったんだ。
あんまりに小さかったからさ、小学生かと思っちゃった。」
その瞬間、クラスのみんながどっと笑った。
「お、おまえのせいで入学式に遅れたんだぞ!謝れよ!」
俺がそうゆうとその女は面白そうににんまり笑い
「あんたが小さいのがいけないんでしょ。あんた、名前は?」
「・・・・・佐々木隆二。」
「あっそ、あたしは今井奈津美。
まあ、これもなにかの縁でしょ。よろしくね。」
そういって笑う奈津美はムカツクはずなのに
なんだかかわいく見えた。
・・・・・・・・・・ムカツク女。
第3章 ハプニング
その後クラスは落ち着かず騒ぎっぱなしだった。
あのあと俺はグッドアイディアの
高感度UPの言い訳を言う暇もなく、
先生におこられた。
高感度UPどころか高感度DOWN
先生の名前は高口里佳子。
最近先生になったらしくクラスを受け持つのが
このクラスで初めてらしい。
怒られてもたいして迫力なかったし恐くなかった。
くわしくは教えてくれないけど年齢は20代後半。
まあ俺らとあまり変わらないわけだ。
一応美人だしクラスの男子からもちやほやされていた。
俺もその中に入っていたわけで・・・。
だけどその間を俺は大切なことを忘れていた。
お友達作り
うん、これは必要だ。
絶対的に、これからのためにも。
友達とは一生に続く相棒であり大切なもの・・・。
なんて、16年生きて現実を知る俺が言うわけない。
人間誰にも表と裏があるわけだ。
表で仲良くしててもみんな裏で何か言ってる。
人間って恐いなあ・・・。
友達は大切だけど、みんなうわべの付き合い。
だからって人間はこんなもんだから友達なんていらないなんていって
友達を作らなかったらまた大変。
俺も一度中学で体験しているからわかるけど
帰りや移動教室が一人ってのはつらい。
なにかとこそこそ言われるのもいやだしな。
結局みんな自分のためなんだよ。1人にならないために。
さびしい思いをしないために。
間違いを犯す。
自分勝手だよな・・・・・・・・・俺もさ。
俺は何も考えてないように見えて結構いろいろ考えてるんだぜ?
「なあ、お前元坂中だろ???」
ボーっと考え込んでいると後ろから声が聞こえた。
「ん?ああそうだけど。」
「じゃあ知らないだろうけどよ、おまえがさっき絡んでた女、
元西中のミスグランプリに選ばれてたミス奈津美だぜ??」
「は?あれが?」
俺はムカツクあの女を指差す
「おう、あれあれ。結構美人だろ?結構というよりすごく。
あいつすごくモテモテだったんだぜ?
今実際おれ好きだしさ。入学早々話せて知り合えて、おまえ幸せだよ。」
「あれが・・・ミスグランプリ??まあ普通よりは
かわいいかもしれんけどさ・・・・・。幸せでもなんともねえぜ。」
「ええ〜!俺おまえになりたいくらいだよ。」
「そっか〜??」
俺が会話しながらボヤボヤしてると
それに気がついた奈津美がずかずか近寄ってきた。
「人を指差すんじゃないわよ。何?あたしの話??」
「いやいやいやちがいます、ちがいます。」
俺が必死に否定すると後ろの男が勝手に話を進める。
あ、名前しらねえ。あとで聞いとこう。
「ちがうけどさ、おまえらって何かと縁ありそうじゃね??
こんど今井さんもさ、好きな女ひとりさそって
四人で遊園地とかいかね?」
「おい、ちょっとま・・・」
「いいよ。こっちもひとり、さそっとくね!」
必死で止めたけど話が勝手に進んでしまった。
意外なことに奈津美はOKサインを出した。
そして今度の日曜日、四人で遊園地に行くことになってしまった。
あ、もう一人の女子、誰が来るんだろう・・・。
第4章 遊園地
日曜日、なんだかわからないけど勝手に体が動いて
お洒落をしてしまった俺。
コンとホワイトのボーダーのニットと
ゴツベルト&エドウィンのジーパン・・・と。
予定より10分も早く待ち合わせ場所についてしまった。
くそうこれじゃあやる気満々行く気満々みたいじゃねーか。
そう思ったけど10分早く着たのに
待ち合わせ場所には誰かがいた。
見たことのない女だ。奈津美のツレかな・・・?
「あ!佐々木隆二さんですか??」
俺から声をかけようと思ったら向こうから声をかけてきた。
「あ、はい。そうですけど、あなたは・・?」
「あ、わたしはなっちゃんの友達の福岡はるなです。」
なっちゃん・・・・とは奈津美のことだよな。
その友達と名乗るはるなはちょっとふっくらした体系で、
ぽよよんとしたイメージ。
奈津美とは普段仲良くしなさそうな、おっとり系のタイプだ。
「あ、お〜い!」
話していると向こうから声がした。
そっちの方向をみると奈津美と高志が一緒に走ってきていた。
あ、あとから聞いたんだけど、
あいつの名前は高志らしい。
俺の高校友達第1号だ。
「あれ隆二いやそうにしてこんな早く来るなんて
意外と行く気満々だったりして??」
奈津美がいつものようにからかいの言葉をかけてくる。
最近の日常。
それにしても二人で来て・・・・何はなしてたんだろう。
って、俺奈に考えてるんだ。そんなことどうでもいいだろ!!!
「あ、そのこはるなっていうの、かわいいでしょ??」
「ああ、さっき聞いたよ。福岡だろ?」
「そうそう、何はなしてたのよぉ。予定より早く来ちゃって、
二人ではなして。いやらしい〜♪♪」
「ちょ、なっちゃんやめてぉ〜。」
このやり取りの中こっそり高志が耳打ちしてきた。
「あとで、観覧車とか乗るようにことを運ぶからさ。
おねがい!俺と今井がのれるようにとりもってよ!なっ?」
「おう!いいぜがんばれよ!」
このとき、ちょっと胸がチクチクいった気がした。
「じゃあ、さっそく行こうよ!ね?」
「よおし!じゃあ行くか!」
「行こうぜ!」
みんなで電車にのって約10分。
こみこみのなか崩れそうになる髪形を何度も直しながら
なんとか遊園地に着いた。
「はああああ!空気が気持ちィィ!」
奈津美が気持ちよさそうに空気を吸う。
ほんとにおいしそうだ。
「まずさぁ、ジェットコースターのらない?」
そう提案したのははるな。
やべえ俺絶叫系苦手・・・・。
俺は思いのたけを正直に伝える。
「メンゴ、俺実は絶叫系苦手・・。いってきて。」
「男なのに情けないなぁ・・・って言いながら実は私も。
はるなと高志クン、二人で乗ってきて。うちら待ってるからさ。」
そういうのは奈津美・・・って、ええ!?
俺と、奈津美が待つ=はるなと高志が行く=俺と奈津美が待つ
・・・・=俺と奈津美が2人きり!!!!!!!!
ぬおおお!やべえ!
・・、って俺は何を気にしているんだ。俺と奈津美は友達じゃないか。
友達・・・友達・・・。
「・・え!ねえってば!」
「はいいいいいい!?」
「あんたねえ、なに言ってんのよ。遊園地きてからずっと上の空ね。
つまんないじゃないのよ。」
いきなりの声にどきまぎしながらこたえると
奈津美は頬を膨らませながらこっちを見ている。
上目遣いは反則だろ・・・・。
「ごめんごめん。あはは」
「あははじゃないわよ。あたし、来るの楽しみにしてたのに!」
え!それは問題発言・・?
「このメンバー、初めてだしさ。」
がっくし。
「あ・・そういえばさ、隆二ってどんな女子がタイプなの?」
「ん・・・俺は・・。」
「あたしはね・・・背が大きい人!」
「ムカ・・・・イヤミか?」
「ウン。」
「お、俺だっておまえと正反対の性格の女が好きだよ。」
「ふ〜ん・・・。」
そのとき奈津美の顔は少しせつなそうに翳っていた。
「まあ、いいからさ、つまんないしあたしらもなにかのろうよ!」
「え?ちょっと待っ・・・・」
「ほら、お化け屋敷とかさぁ」
「おう、それなら得意だぜ?」
「本当?じゃあいこうよ!ね?」
「イイケド・・・。」
こうして俺は奈津美にひっぱられてお化け屋敷につれていかれた。
実を言うと結構乗り気だったんだけどさ・・・。
前に続く人がすくなるなるにつれて奈津美の顔がこわばっていく。
もしかして・・・恐いのか??
「おまえ恐いの?」
「こっっっっ!!!!こわい・・わ、け、ない・・でしょ!!」
「喋り方変だぞ?」
「ふ!普通よ。」
「そぉかぁ??」
こんなやりとりのうちに俺らの順番が来た。
われながら緊張するぞ・・・・。
「気をつけて・・・・・」
演出のためか声をふるわせた店員が言ってきた。
うう、ドキドキするぜ・・・。
ひた、ひた、ひた、ひた、ひた・・・。
歩くと自分たちの足音だけが聞こえる。
まるで地球上に自分たちしかいないみたいに。
歩いていると奈津美のうでが手にあたった。
カタカタふるえている。
「おまえ・・・こわいんだろ。」
「こっこわくなんかないし!!」
強がってる。ぜったい強がってるな。
ちょっと俺はからかってみることにした。
そっと消えてみた。
しばらくたつとそれに気がついたらしい奈津美があわてだした。
「りゅ・・・りゅうじ???・へ?いない・・の?
隆二!隆二ぃ!!どこぉ??」
面白がって聞いていると次第に違う音が聞こえてきた。
「ヒック・・・・ヒック・・・隆二ぃ・・・・。」
ないてんのか?
「奈津美!」
「りゅ!隆二!どこにいたのよ!恐かったんだから!」
「あはは、隠れてた。泣いてやんの。」
「い!イジワル!泣いてないもん隆二のバカちん。」
そうゆうと奈津美はスタスタ先に行ってしまった。
すると
「キャアアアアアアアア!」
「奈津美!!!」
向こうから悲鳴が聞こえた。
「奈津美!」
その場に言ってみても誰もいない!
「奈津美、どこにいるんだよ!」
あわてているとうしろからこえがした。
「ばぁぁぁ!」
「わああああああああ!・・・・って奈津美!」
後ろを振り返るとそこにいたのは笑顔の奈津美。
「なにすんだよ、本気で心配したんだぞ!」
「さっきのお返しだよーん♪」
「にゃろ・・・・・。」
「あははは!先進もうよ。」
ここがお化け屋敷とは思えないような、
楽しい会話が響く。
本当にここにおばけなんているのか?
「ヒュルルルルルルルルルル」
そう思っていると不気味な音が響いた。
暗くてよくわからなかったが、なにやら大きなホールというか、
広場に出たらしい。
広場の真ん中には井戸のようなものがある。
「ヒュルルルルルルルル・・・・。」
不気味な音はまだ続いている。
「なんだ?この音。」
「・・・・・隆二・・恐いよ戻ろう。」
「なんだよ、よわいな。いこうぜいこうぜ。」
「や、やだよお。」
俺は嫌がる奈津美を無理やりひっぱって井戸のそばまできた。
「アアアアアアアアアアアアアアア!!!」
井戸をのぞくとそこから目の取れた血だらけのミイラ男が出てきた。
「きゃあああああああああああああああ!」
そばで奈津美が叫ぶ。
耳を貫くような叫び。女って声でけぇ・・・・。
俺も内心びびッたけどそれほどのことじゃないだろ。
声がでかすぎて逆にお化けが驚いて引いちゃってるよ。
「奈津・・・。」
俺が声をかけようとすると奈津美はパニくっていて、
「嫌!」
といって俺の手を振り払って走り出してしまった。
ガーン
「ちょっ奈津美!」
俺が声をかけても聞こえている様子はなくどこかへいってしまった。
・・・・・・・・・・・・どうしよう。
まずは・・・さがさなくちゃな。
「奈津美!奈津美!どこだよ奈津美ぃ!」
俺が叫んで回るとすみっこでなにかが固まっていた。
奈津美だ。
「奈津美、ごめん戻ろう。」
そういっても聞こえてないのか無視しているのか
奈津美はいっこうにうごかない。
「ごめんて、俺が悪かった。戻ろう奈津美。」
そういって俺が肩に手をかけるとその肩は震えていた。
「泣いてんの?」
「・・・・・・・・隆二の・・・ばかぁ。」
「ちょ、奈津美?」
「・・・・・・・恐かったよ・・・恐かったよぉ!」
そういうと奈津美は泣き出してしまった。
俺の腕で勝手に涙をふいて。
・・・・・・・・ムカツク女。
俺の中ではまだ「ムカツク女」だったけど、
心のそこでの評価は変わりつつあった。
嫌いから・・・・スキへ。
そとにでたら奈津美はすっかり泣き止んでいて、
さっきのがうそかと思えるほどだった。
もうはるなと高志はのり終わっていたらしく、
「なにしてたんだよ。」
と怒っていた。
「それはそうとよ、観覧車のらね?」
高志からの提案。
さりげなく高志がウィンクしてくる。
「じゃあここは、さっきは高志&はるなと奈津美&俺だったし、
こんどは逆ペアで行くか!」
俺、ナイスフォロー!!
「いいなそれ、じゃあいこうぜ!」
すかさず高志。
なんだか奈津美は不満そうだったけど、それで行くことになった。
奈津美とのりたかったかも・・・・・。
トコロは観覧車の中。
中にいるのはあったばっかりの♂と♀
この中でなにか出来事はあるか?
否
この中でラブハプニングなどおこるか?
答えは否だ。
・・だったはずなのに。
「隆二君・・・・。」
「ん?何?」
なにやら不思議な雰囲気・・・?
「あのね、わたし、さっきなっちゃんと隆二くんがね、
二人でいなくなっちゃったときね、ちょっとだけ嫉妬しちゃった・・・。」
「へ?」
はるかは顔を赤らめながら
「わたし、本当は隆二くんが好きだからこの遊園地にくっついてきたの。
ほら、隆二君も思っただろうケドね、
ふだんなっちゃんとは仲良くしないの。性格合わないし・・・。
でも今日は、隆二君が来るから、告白のチャンスだから、
来たの・・・・・。」
・・・・・話がよく読めない。
本当は、奈津美とはるかは仲良くなくて、
はるかは俺目的でこの遊園地に来て、
よおし、人物の関係を整理しよう。
高志は奈津美が好き。
奈津美は・・・だれなのかな・・不明。
はるか・・は俺がすきなんだよな。
俺は・・・いないない・・・よな?
「・・くん、隆二君!」
「はいぃ!」
「もう、何度も呼んでいるのに無視しちゃって・・・。
・・やっぱりだめなのね、会ったばっかりだし。
わかったよ。お友達からでいい。それならいーい?」
「え・・あ・・うん。」
「やったあ、じゃあわたしがんばっちゃお。
ああ、それとね多分なっちゃんも隆二君のこと好きよ。」
「え・・あ・・そりゃねえだろ。普通に。」
はるかは続ける。
「ううん、絶対そう。だってね、二人でどっかいってたでしょ?
そこから帰ってきたときのなっちゃんの顔、
あれは絶対恋する女の子の顔だったよ。絶対、ぜーったい!」
「んんんん・・・・・。」
「わたし、なっちゃんだけには負けないもん・・・。」
頭の中がこんらんしている。
奈津美が俺を、・・・・好き好き好き好き好キス?
ありえない、ありえない、アリエナーイ!!
そんなことあるわけないだろ・・・・。
「お疲れ様でした〜。」
俺がぼーっとしていると店員さんが声をかけてきた。
俺がぼーっとしている間にもう観覧車は終わってしまったみたいだ。
俺は気にしてなかったけど沈黙が続いたみたいで、
はるかは気まずそうにしている。
それにあわせて、声をかけちゃ悪いので俺は先にスタスタ行く。
すると向こうから高志と奈津美の二人が来る。
「おーい!高志!奈津美!」
俺が大声でよびかけると二人は笑顔で近づいてきた。
なんだか二人はぎこちない。
はにかんだ笑い方。二人の間に流れる暖かい雰囲気・・・・。
その後俺は絶句した。
二人は・・・手をつないでいたのだ。
俺が息をのんでいると、高志が耳打ちしてきた。
「俺、観覧車で告白したん。OKだったんだぜ!すっげうれしー!」
「おお・・よかったな・・。」
口ではそう答えたけれど、心はどこかにいっていた。
ふわふわふわふわいく当てもなくさまよって、
俺の意識もかすんだ。
「ごめん、俺帰るわ。なんか気持ち悪くて。」
卑怯者の俺は逃げ出す。
「じゃあ!」
ダッシュで一人駅に向かう。
後ろをチラっとふりかえると3人がポカンとしている。
変に思っているだろうな・・・・・。
でも俺、あそこの場にいたら泣いていたかもしれない・・・。
・・・・俺、なんで泣くとか思ってるんだろう・・・・。
・・・嗚呼、俺は奈津美が好きだったんだな・・・・。
であった頃から今までずっと。
今頃気づくなんてばからしい・・・・。
本当に・・・・アホみたいだ。それなのに高志に協力して・・・。
奈津美・・・・・・・・・・。
よたよたと一人電車に乗り込む。奈津美のことを考えながら。
つりかわを二つ使って、もたれかかるようにしてぶら下がり、
一人泣いていた。
電車に乗っているすべての人が振り返って俺を見る。
泣いてる男がそんなに珍しいのか・・・・・。
ああ早く帰りたい・・・・。
「ただいま・・・。」
「おかえり隆二。早かったわね。」
「ん・・・・。」
トタタタタ!!
母親、和子に泣いた顔を見られないように早足で階段を駆け上がる。
誰とも一緒に入ったことの無いさびしいベットに1人腰掛、
体育座りで俺はなおも泣いていた。
奈津美・・・・。
最初はムカツク先輩だった奈津美。
本当は同い年だった奈津美
大嫌いだった女・・・奈津美。
高志に協力してしまった・・・・・俺。
はるなの嘘つき。
奈津美が俺をすきなんて・・・・嘘じゃん。
てゆうかありえんし。
信じる俺も俺だよな、そんなわけねーのに。
本当にあほだ俺。
あほ・・・・・・・・あほ・・・・・・・・・。
第5章気まずい朝
「はよ・・・。」
教室に入って挨拶。
いつもはもっと元気だけど今日はそんな気分じゃない。
昨日あんな帰り方しちゃったわけだし、
みんな怒ってるだろうな・・・・。
高志にばれたかな・・?俺も奈津美がスキだって。
そしたらもう、友達じゃなくなっちうまうのかな?
それもそれで寂しいな・・・・。
「おい!隆二!」
「あぁ、高志。」
「どうしたんだよ、昨日。いきなり居なくなっちまって。
今も顔青いけど・・・大丈夫か?気持ち悪い、っていってたしよ。」
おまえ居ないとつまんないし、高志はつげた。
今顔が青いのは、おまえと気まずいからだよ。
・・・・そんなことは言えない。
「そうだよ隆二!あんたいないとつまんないでしょうが!
それに!あたしまだあんたからお祝いの言葉聞いてないよぉ?
いくら気分悪くてもお祝いくらい言うのが礼儀ってもんでしょうが!
せっかくめでたく、うちらくっついたんだしさぁ。」
「ああ・・・・・そうだったな。おめでとさん。」
めでたくねぇよ。
おめでとう。
たった一言なのに、言葉に発するのはどうしてこんなに難しいんだろう。
おめでたくねぇよ、めでたくねぇよ。
おれにとってはちっともめでたくねぇんだよ。
「何よゥそれ、ちっとも心こもってな〜い!
もしかして、隆二彼女いないから、うちらが出来て悔しいんでしょ〜。」
「あ、そうだな、それだろ!」
ちげぇよ。
「じゃあさ、はるななんてどう?あんたのタイプでしょ?
いいんじゃない?お似合いだし!」
お似合い・・・・・。
ききたくない、こんな言葉。
奈津美、おまえはどうでもいいのかよ。おれが誰と付き合っても。
・・・あたりまえか、彼女でもないし。
ああ、なんてこの空間は心地悪いんだろう。
仮病じゃなくとも、本当に気持ち悪くなってくる。
「隆二?顔青いよ?」
「別になんでも・・・。」
ないよ、そこまで言えなかった。
意識が途絶えていたから。
「隆二クン!」
はるかがおれを呼んでいる。行かなきゃ。
「隆二!」
・・・・・奈津美?
「隆二!」
やっぱり奈津美だ。おれは奈津美のほうへ行こうとする。
「隆二クン!こっちにきて。」
でも、おれは奈津美のほうへ行きたいよ。
奈津美と話がしたいよ。
「話なんてしたってむだよ!なっちゃんは、高志クンと付き合ったの!
話なんかしないで!」
そうだ、奈津美は高志と付き合ったんだ。
でも、でも、俺は奈津美のところへ行きたい。
奈津美!
クルッ!Uターンして奈津美のほうへ向く。
奈津美は俺に背を向けていた。奈津美が向いている方向には高志。
二人は笑いあっている。
奈津美、行かないでくれ。
俺だって奈津美が好きなんだよ。高志よりもずっと!
「奈津美!!!!!」
「は・・・・・はい?」
気の抜けた返事。ぽかんとした表情。
坂高の制服に卵型の顔。
まさしくそれは、いとしい奈津美のすがた。
それにしてもなぜここに?
「で・・・・・・何?」
「何で・・ここいんの?」
「なんでって・・・・あんた倒れたから付き添っててあげたんじゃない。」
「ああ・・・おれ倒れたんだっけか。」
「そうよ・・なに?忘れてるの?」
「いや・・・そうゆうわけじゃ・・ないけど。」
「ハハハ、そういえばさ、あんたさっき寝言で奈津美〜って。
叫んでたよね!おもしろかったぁ〜。何?あたしが夢にいたの?
なんか想像しちゃったりしてた?」
「バッ・・・!」
「あ、赤くなった〜。」
クスクスと笑う奈津美。繊細で、さわると壊れてしまいそうだ。
奈津美の首下には第2ボタンまであけられたワイシャツ。
折れに、折られた短いスカート。
俺が寝転んでいるのはベットの上。
奈津美がこしかけているのもベットの上。
いっそこのまま押し倒してやりたい。奈津美を自分のものにしたい。
二人きりの保健室。体がゾクゾクしてくる。
こんなのき、健全なんだな。と思う。
そっと手を伸ばして頬を触ってみる。
「や・・・・何?」
震える肩。このまま行くとやばいな。
自分にブレーキをかける。
「痛ッッ!意地悪だなぁ!」
ほっぺをキュッとつねると奈津美は頬を膨らまして
少し笑いながら怒った。
「おまえ、面白いな。」
俺がそういうと、奈津美もニッコリ笑った。
いとおしい・・・。
「ガラガラガラガラ!」
勢い良く保健室のドアが開けられた。
そこをみるとすごい形相の高志。
そりゃあそうだよな。自分の彼女が他の男と保健室で二人きり。
それだけならまだしも俺は奈津美の頬にふれている。
勘違い・・・されたかな?
「奈津美・・・・・・行くぞ。」
「ちょ・・高志くん?」
ひゃっ!奈津美が声をあげる。高志は奈津美の腕をひっぱって、
無理やりキスをし、そのまま奈津美の腕を引き保健室を出て行った。
悔しい・・・・あてつけか?
いまにも取り返したかった。
奈津美のうでをひっぱって、キスをしたかった。
抱きしめたかった。
奈津美が俺のものじゃないのがつらい。
高志のものなんだ・・・・高志の。
俺のものじゃない・・・・・・・。
「話ってなぁに?隆二君。」
「・・・・・はるか、あのさあ。」
「?」
「つきあおっか?」
「・・・・へ?」
「や・・・付き合おうかって。」
「へ・・?だって隆二君は奈津美ちゃんのことすきでしょ?
ハンパなきもちでは付き合えな・・。」
「違うよ。俺は奈津美なんか好きじゃない。
真剣にはるかが好きだから、付き合いたいんだ。」
「へ・・・本当?」
口に手を当てながら涙をこぼすはるかに、
ちょっと罪悪感を感じた。
嘘なのに・・・泣かしていいのか?
でも、いまの俺にははるかが必要だ。
こころの安らぎとなるものが。
しかしこれは、思えば利用だったし、逃げだった。
はるかの冷たい手を握りながら教室へ帰った。
はるかは俺より背が小さいからすこしはカッコつく。
教室に入ったとたん、いっせいにみんなに冷やかされたけど
なぜか高志だけはその場にいなかった。
どこへいったんだろう・・・。
ゆっくり席について、次の授業の準備をしようと
引き出しを開けたら白い封筒が入っていた。
誰からかなあ?
裏を見るとそこには雑な字で 桐野 高志
ドキッッ!
さっき見られたからな、あそこ。
封は丁寧に糊づけされていた。
こんなことやる時間、いつあったんだろう。
乱暴に封を開けて中の手紙を見た。
また真っ白い紙に、
「4時間目、屋上に来い」
とまたもや乱暴な字でかかれていた。
4時間目か・・・・。
次は里佳子先生の授業だからなるべくサボりたくないんだけど・・・。
でも行かないと逃げてるみたいだな、なんか。
それも癪に障るし、俺は行くことにした。
こっそり教室のドアをあけて外に出ようとしたけど、
古い木造校舎だしガラガラと大きな音がなってしまった。
でも教室はさわがしくて、
誰1人気づくものはいなかった。
それくらい、教室はざわついていたのだ。
「カンカンカンカン」
非常階段を1階・・2階・・と丁寧に上っていく。
普通の階段の通り道には職員室があるためサボるのがばれてしまう。
仕方が無いから遠回りで非常階段を使っているのだ。
非常階段は錆びれた鉄板で出来ている。
勢いよく降りれば抜けそうだ。
これじゃあ非常階段の役目を果たせなさそうだな。
非常事態はみんなあわてているわけだし、
勢いよく降りるだろ、抜けるな絶対。
そんなこんな考えながら俺は階段を上った。
ここは2階、屋上は5階。
すごく古い木造校舎だけど、階だけは多いんだ。
それだけがこの学校の自慢だな。
そんなこんなの間に屋上についた。
そこには後姿の高志がいた。
「おい・・高志来たぞ。なんのようだよ。」
俺が話しかけると後姿はビクっと震えて
ゆっくりとふりむいた。
「隆二・・・。」
なぜか高志の顔は少し切なそうにかげっていて、
悲しげだった。
「俺・・・・奈津美に振られ散った。」
そういうとたかしはカラカラと乾いた笑いをした。
「ハハハッ・・・・。」
高志は笑いながら、でも目は潤んでいた。
ちょっと同情した。
「好きな人がいるってさ。ひでーよな。
人のことOKしといて次の日ふるんだぜ?」
そのとたん、高志の顔の緩みは消え、俺をキッと睨み付けた。
「・・・隆二。おまえ・・・おめー奈津美に何したんだよ!」
「べ・・・別になにもしてねーよ。」
「したんだろ!保健室で。そのあとから奈津美の様子が変なんだよ!」
「・・・・してねぇ。」
「したんだろ!なんか、したんだろ!」
高志は狂ったように唇をかみ締めながら
「見たんだよ!保健室でおまえが奈津美の頬に触ってんの!」
「それは・・・ホッペ抓っただけだよ・・・。」
「・・・・・・・・は?」
「ほっぺ」
むにっ。そういうと俺は高志の頬を抓った。
パシッ。払われた。
「それに・・俺はるなと付き合うし。」
「へ?」
「観覧車で告られたの。そんでOKしたの。」
「おめ・・・・・マジ?」
「マジ」
「俺の空回り?」
「うん。」
「・・・俺カッコわりっ。でもよ、おまえはるなが好きだったんだな。
俺、てっきりおまえも奈津美が好きだと思ってたぜ?
でもじゃあ俺はなんで奈津美に振られたんだろ・・・。」
「・・・・・。」
「まあとりあえずおまえは悪くなかったってことだ。
そうとなると高志は愉快そうにケラケラと笑い
さっきとは違う愉快そうな足取りで、階段を下りていった。
ゲンキンな奴・・・。
このまま教室に戻るのは面倒くさい。
授業が始まっている教室に入るのも嫌だ。
第一、階段を下りたくない。
一言で言えばめんどくさいのだ。
このままサボろう。
俺は屋上にゴロンと横になった。あんまり綺麗じゃないけど。
・・・・奈津美・・・高志と別れたんだ。
好きな奴って誰だろうな、俺はまずないけど。
でも、親友がライバルじゃないだけ・・・ましだな。
もうだめだよな、終わりだよな。
スッパリ、サッパリ、奈津美はあきらめよう。
はるなに・・・・専念しよう。本気になろう。
第6章入れ違い
今日は休日。
俺はたいてい休日は暇だ。
「嗚呼、誰かと遊びてーなー・・・。」
そんなことを言っていると携帯の着信がなった。
メールだ。
From はるな
件名 はるなデス。
本分 隆二君は今日暇ですか??
暇だったら一緒にどこか出かけませんか?
初デートだから近場でもいいけど、
私はやっぱり遊園地とか、外でピクニックとかしたいな。
もしそうなったら私、はりきってお弁当作っていきます♪
デート・・・・。
そうか、俺ははるなとつきあったんだっけか?
まあ、ちょうど暇だったし行くとするか。
From りゅうじ
件名 いいよ^□^
本文 俺もちょうど暇だったしさ。
お弁当、楽しみにしてます。
「ピ・・・・送信っと。」
フウ・・・。
そういえばはるなって、俺のハツカノなんだよな。
遊園地とか・・・彼女と行くとき、
どうせっしてやればいいのかな?
やっぱアイスとかおごってやるもんなのか?
でも金ねぇし・・・・どうしよう。
「ピッ・・・。」
From はるな
件名 やったあ(◎^∀^◎)
本文 本当?
実はお料理あんまり得意じゃないんだけど・・・。
隆二君のために頑張ります!
それと隆二君、好きな食べ物とかあるかな?
なんでも入れていくよ^^
From りゅうじ
件名 楽しみ
本文 そっか?おいしいと思うよ。きっと(笑)
好きなもの・・・・・かあ。
特に大好き!ってものはないかな・・・?
でもしいていえば卵焼き。
あ、ちなみに厚焼き卵ね(笑)
ぢゃあ・・・・楽しみにしてます。
ふう・・・・
「ピピッ」
From はるな
件名 了解〜♪
本文 わっかりましたぁ〜♪
厚焼き卵ね、OK。がんばる。
From りゅうじ
件名 あはは^^
本文 うん、がんばれ。
女って・・・・メール好きだよな。
終わったと思ったのに返信来るし・・・。
奈津美は・・・どうなんだろう。
・・、って、俺はなんで奈津美のことなんて考えてんだよ!
俺ははるなの彼氏だろ?
いいかげん・・・はるなを好きになれよ・・。
「プルルルルルルッ!」
「あ・・はい。」
携帯電話に電話がかかってきた。
「隆二君?はるなです。
メールしたんだけど、気がつかなかった?」
「ああ、ごめん。気がつかなかったわ。」
画面を見ると、確かに受信メール5件と表示されていた。
「まあいいや。メールは大変だし、このまま話そう。」
「ん?ああ・・。」
メール5件って・・・しつこいな。
そんなにメールがしたいのかよ。
「で・・・それでね。」
奈津美だったら、多分・・・そんなこと、しないだろうな。
「なのよね・・・どう思う?」
あいつ・・・・あっさりしてるし。
「・・・・隆二君?」
それに奈津美は・・・。
「隆二!」
「はいィィ??」
「隆二君・・・今何考えてたの?」
「え・・・そりゃ、お弁当のことだよ。」
「ちがうよ隆二君、今は・・場所の話だよ・・・。」
「イヤ・・・そうだけど・・・。」
「本当は話し聞いてなかったんでしょ?
どうせ・・奈津美ちゃんのこと考えてたんでしょ?」
「・・・・ごめん。」
「やっぱり、今日はいい。デート・・やめよう。じゃあね。」
「あ・・はるっ・・・。」
「プツッ・・プー、プー、プー・・・。」
・・・俺はるなと電話してて、俺ははるなの彼氏なのに、
なつみ・・他の女の事考えて・・・・。
俺・・・・・最低だ・・・・。
「ガラガラガラッ・・・。」
「あ、おはよう隆二!」
「奈津美・・。」
はるな・・・はるなはどこだ・・・。
「奈津美、はるなは?」
「はるな・・・?は今、保健室だよ・・・。」
「そっか、じゃあ・・・。」
「待って・・・隆・・・。」
「何?」
「・・・ううん、なんでもない。」
「?」
はるな・・・・。
「ガラガラガラ。」
「あ・・・隆二君・・・・。」
「何してんの?こんなところで。」
「私・・・。」
「福岡さんは、今日寝不足みたいで、貧血で倒れたのよ。」
「先生・・・それ本当?」
「本当よ・・?あ、ごめんなさい。
私邪魔みたいだからはせきはずすわね。」
「あ・・・ハイ。有り難うございます。」
「・・・・おまえ貧血って?」
「昨日・・・眠れなくて・・・。」
「・・・なんで?」
「だって・・・あのあと・・・。」
「はるな。」
「・・・はい?」
「俺・・・ちゃんと本気になるから・・・。」
「・・・うん。」
「なあ、はるな、このままサボろうか。」
「・・・え?」
「ほら・・貧血なら俺ん家でもいいし。いや、俺ん家にしよう。」
「・・・へ・・・。」
「その意味・・・わかるよな?」
「・・・うん。」
赤面して、はるなは返事をした。
「はるな・・俺本当に本気になるかな。」
「ん・・・それもう10回聞いた。」
はるながカラカラ笑う。
「黙れよ・・・。」
そういって俺ははるなにキスをした。
軽く、優しく、まずは短く。
「んっ・・。」
はるなが甘い声を上げる。
俺ははるなをベットに・・・・。
「ガチャ・・・・・ただいまー!!」
「・・・姉ちゃん・・。」
俺とはるなは急いで服を着た。
「ガチャ・・隆二―・・・。」
「・・なんだよ姉ちゃん。」
「ん・・・ベットのシーツ、くしゃくしゃだねえ・・。
フーン・・・。隆二・・・あんたいつの間に・・・。」
「い、いいだろ別に!さっさと出てけよ。」
「はいは〜い、ごゆっくり・・・バタン。」
「・・・ごめん。」
「んーん・・いいの。」
赤面したはるなが答えた。
「とりあえず続きは無理だし・・かえろっか・・?」
「うん・・・。」
なんだかどこかでほっとしている自分がいる。
でも・・でも俺は少しずつはるなを好きになれてる。
よかった・・・・。
「なあ、明日から一緒に登校しようか。」
「でも・・・家遠いよ。」
「そんなの、迎えにいくし。」
「・・・・うん!ありがとう!」
早く早く、はるなを大好きになりたい。
この心から、早く奈津美を消し去りたい。
追い出したい。
はるなで心をいっぱいにしたい・・・。
「じゃあな。」
「・・んっ。」
最後に軽くはるなにキスをして別れた。
ピーンポーン。
「はい。」
「はるな?俺。おはよう。」
「あ、隆二君?今行く。」
「OK。」
「ガチャ。」
「いこっか?」
「うん!」
今日はずいぶんとひえこむ。
吐く息が白い。てゆうか、息をはいたとたんに、
息が凍りそうだ。早いトコ学校につきたい。
ストーブに早くあたりたい。
「ガラガラガラ・・おはよう。」
俺とはるなはクラスが違うから、
途中で別れて一人で教室に別れた。
「隆二!」
「・・奈津美・・何?」
「ちょっと・・いい?」
「・・・・・・。」
奈津美が俺を呼ぶ。
クラスのみんなが俺を見る。
特に高志が。視線が痛い・・・。
「ねえ・・隆二、私が高志君を別れたのは、
好きな人が出来たからだって、知ってるよね?」
「・・・・・。」
「その好きな人は・・・好きな人はねっ!」
「やめろよ!・・やめてくれ。
俺・・やっとはるなをすきになれそうなんだ・・。
だから・・・だからこれ以上、俺を引っ張らないでくれ。
迷わせないでくれよ!」
「・・・・・・・そっか・・・ごめん。ごめんね・・・。」
そういうと奈津美は目に涙をためて、
走り去ってしまった。
俺は・・正しいんだよな?・・これでいいんだよな・・?
第7章
今日は休日。場所ははるなの家。
はるなの家の両親は出かけていて、家の中には俺ととはるなの二人だけ。
はるなと俺はすでにベットの上で、
この前の続きを行おうとしていた。
「寒いね。」
「うん。」
ストーブもない部屋で布団にくるまって、
手を握り合いはるなははにかんだように笑った。
俺はそれはそれでかわいいと思ったし、
いとおしいとも思った。
でもやっぱり気づかなくても、心のそこでは俺は、
奈津美が好きだったんだ。
「はるな、本当に好きだからな?」
「・・・・うん。」
ここまではよかったのに。
「・・・・・・・・・奈津美。」
はるなと俺がついに交わるときに、
俺は不覚にも奈津美の名前を呼んでしまったんだ。
「・・・・隆二君。私は、なっちゃんじゃないよ?
私をなっちゃんだと思って抱いているの?
私はなっちゃんの代わりじゃないよ!」
「はるな・・違っ・・・。」
「何が違うの!あなたは確かにさっきなっちゃんの名前を呼んだよ!」
「・・・・・それはそうだけど・・。」
「帰って・・・帰ってよ!」
「・・・・ごめんな。」
はるなは肩を震わせながら俺の肩を押した。
言葉と行動は強がっていたけれど、はるなの足元のシーツは、
水がたらされたように濡れていた。
「ピーンポーン」
さっきからインターホンを何回押しても、家からはるなは出てこない。
もうインターホンは10回以上押したし、
ここに来てから20分はたっている。学校には完全に遅刻だ。
「あら?はるなちゃんの知り合い?」
「あ、はい。」
困っていると近所のおばさんらしき人が俺に声をかけてきた。
「あ〜、もしやはるなちゃんのコレ?」
そういっておばさんはニヤリと笑いながら
小指を立てた。
俺は力なく愛想笑いを返す。
「はるなちゃんならね、もう学校行ったわよ?
もう1時間くらい前かしらねぇ・・?」
「え・・?」
居留守をしていたわけではないんだ。
早く家を出ただけ・・・?
俺の肩に力が入る。
でも・・今日何も行事ないし、やっぱり俺をさけて学校に・・・。
また肩の力がなくなった。
もう完全に遅刻だ・・・。ゆっくり行こう。
俺は肩をがっくり落としながら力なく学校へ向かった。
「ガラガラガラ・・失礼します。」
俺は学校につくと自分の教室に行くより前に、
2組・・・はるなの教室に入った。
「福岡さんいますか?」
「福岡か?いるが・・・。」
先生の指差した方向に目をやるとはるなと目があった。
でもはるなは気まずそうに目をそらし、机にむかった。
「忘れ物を預かってきたんですけど・・ちょっといいですか?」
「それなら今渡せばいいじゃ・・。」
「じゃあちょっとおかりしますね。」
「ちょ、おい!」
俺は先生の言うことも聞かずに、はるなをひっぱって
ろうかへ出た。
「はるな・・昨日は・・。」
「隆二君!」
「・・・何?」
「;・・・・別れよう。」
「え!?」
「だって隆二君ちっとも私のことなんて好きじゃない!」
「そんなこと・・・。」
「ある!だって昨日なっちゃんの名前を呼んだ!
私・・本当はわかってたんだ。
だってりゅうじくん、いように私とやりたがってたじゃない!
隆二君は私をなっちゃんのかわりにして、
楽しんでいたんでしょ?本当は・・本当は、
私のことなんて体目当てだったんでしょ?
そんなのわかってたもん!本当は、まだなっちゃんのことが
好きなんでしょ!」
そんなの違う!
そういおうと思ったけど、
その時にはもうすでに、俺の前にはるなはいなかったから、
言えなかった。
でも体目当てがうんたらかんたらも違うし、
俺ははるなが好きだ。もうすでにはるなが好きなんだよ。
それに気づいて俺ははるなに一通の手紙を書いた。
誤解を解くために、謝るために。
「はるなへ。
えっと・・・その件については・・まずごめん。
いろいろと迷惑かけたし、苦しませた。
それについて謝りたいこと、あと誤解を解くために
手紙を書きます。
まずはとりあえず・・・ごめん。
俺は最初のほうは確かに、心の一番大きな部分に奈津美がいた。
最初は奈津美を忘れるためにはるなを利用した。
ごめん。
でも体目当てというのは違う。
俺ははるなを奈津美のかわりになんてしてないよ。
俺があの時奈津美を呼んだのは・・・。
その理由は正直俺にもわからない。
どうしてあの時奈津美の名前が出てきたのか。
でも今俺は正真正銘はるなが好きだよ。
だからやりなおしたい 隆二」
その手紙をはるなの机に入れた次の日、
俺の机にはるなからの手紙が一通入っていた。
「今日の昼休み、屋上に来て。」
そんな内容の。
俺はかっとばして屋上に行った。
まだ3時間目なのに。
「隆二君。」
「あ、はるな。」
俺が屋上につくとはるなはすでに
屋上にいた。
「はる・・・。」
「パンッッ!!」
声をかけようとした瞬間に、俺の頬に
焼けるような痛みが走った。
「・・・・・!」
「隆二君のうそつき!いくじなし!
本当は私のことなんてちっとも好きじゃないくせに!
・・・隆二君が、私の体目当てないことは信用するよ。
でも結局隆二君があのときなっちゃんを呼んだ理由は
はっきりしていないんじゃない!
それに気づかぬうちに人の名前を言っちゃうなんて
よほどその人のことがスキって事よ!」
「そんなのなんでわかる!」
「だって!気づかぬうちに名前を出しちゃうってことは
何も考えなくてもその人が心の中にいるってことでしょ?
それって・・恋ってものでしょう?違う?」
「・・・・・・・・・・。」
「いいかげん・・・・素直になれ!!!」
はるなが怒鳴った瞬間、もう一度俺ははたかれた。
さっきよりも強く、力強く。
「弱虫!隆二君の弱虫!本当の恋に走って、振られたときの
痛みが怖くて優しいほうに逃げ出しているだけじゃない!
私は弱虫な男が一番嫌いよ!」
優しい人が起こるとすごく怖い、っていうけど
それは本当だったらしい。
はるなはすごく怖くて迫力があったしすごく驚いた。
でも目がすこし潤っているのを見ると、強がっているだけなんだ、
とわかった・・・。
でもここまでいうとはるなはいきなり声のトーンを落として
しゃべった。
「でも、隆二君は私なんかに嫌われても、
悲しくなんかないもんね・・・・・・・・・。
だって隆二君はなっちゃんが好きなんだもん。
・・・・いい加減自分でも気づいたでしょ?
なっちゃんが・・好きなんだって。」
「・・・・・・・・うん、はるなごめん。
俺、自分の気持ちに嘘ついてたよ・・・・・・・・。」
「・・・・・ん!それでいいの!
これからも隆二君、自分に嘘なんてついちゃだめだよ!」
「・・・・・おう!」
「じゃあ・・・私は・・・行くね。」
俺はこの時本気ではるなに感謝した。
ありがとう。
俺の本当の気持ちに気づかせてくれて。
俺はやっぱり・・・・奈津美、奈津美しかだめなんだ・・・・。
そう思うと俺は教室に向かって走り出した。
今すぐ教室に行って奈津美を呼び出して、告白したい。
そう思って教室のドアを開けて、奈津美を見たけれど
その瞬間、俺は持っていたペンを落としてしまった。
「カラン・・・。」
その音は結構大きくて響いたけれど、
でもそれがみんなに聞こえないくらい、教室は騒がしくて、
うるさかった。
「奈・・・・津美?」
俺が見た奈津美は髪が茶色くなっていて、
目はカラーコンタクトで赤くて、ピアスの穴はあいているし、
口にもピアスをしていた。
綺麗だった黒髪の影はもうみじんもないし、
目は真っ赤で強い光を放っていた。
でも何より驚いたのは奈津美の机の上にはもう一人人がいて
しかもそれは男で、その格好は奈津美よりもひどく、
金髪にピアス、口ピアス、鼻ピアス、首には刺青。
そして腕にはたくさんの根性焼きのあと・・。
そう、それは橋長春樹。
チャラ男で女たらしと有名な・・男。
二人は肩を寄せあって一緒に机に座って喋り、
クラスの注目を集めてた。
奈津美・・・昔は机に乗ることさえ、しなかったのに・・・。
第8章新しい男
「おい!奈津美!この男誰なんだよ!」
気がつくと俺は奈津美の席の近くまで来ていて、
奈津美に問いかけていた。
「おまえ誰?なーとどうゆう関係?」
そうしていると奈津美の隣にいた男、
橋長春樹が俺に声をかけてきた。
「俺は・・・・。」
いざ答えるとなると、俺には何と答えればいいかわからなかった。
俺と奈津美の関係って何なんだ?
彼氏彼女?なわけねーし、友達・・・なのか?
「待って!春樹、この人とは何の関係も無いから、
気にしないで!一応名前は知ってるけど・・・・・・・。
隆二。隆二って言うのよ。それと隆二、この人は春樹。春樹よ。
その、春樹は私の・・彼氏って言うか・・なんていうかそんな人なの。」
彼氏・・・?こんな女たらしのチャラ男が?奈津美の?
そんなん・・・ありえんのかよ・・。
奈津美は昨日までは普通の女で・・普通の・・・。
「おまえ・・隆二さん、なーとどうゆう関係なんですか?」
「春樹!関係ないから!」
関係・・・ない?
「関係・・?あるだろ!遊園地とか・・一緒にいたしよ・・。」
「それ・・本当ですか?」
「・・隆二!ちょっと来て。」
俺がそういうと奈津美は叫びながら俺をろうかにひっぱりだした。
「隆二!春樹に余計なこと言わないでよ!」
「奈津美・・あんな男やめろよ!別れろよ!
チャラ男で女たらしでウワサの橋長だぞ!
俺・・奈津美が好きなんだよ!別れて俺と付き合えよ!」
なつみはたじろぎながら
「・・・ご・・ごめん。隆二の気持ちにはこたえられないよ。
私、本気で春樹が好きなの!仲を壊したくないの!
余計なこと春樹に言って、彼を不安にさせないで!」
「え・・・・・・・?」
「ごめんね・・じゃあ・・。」
・・・振られた・・?俺は・・振られたのか?
第9章 危ない関係
俺はもう、奈津美とは付き合えないんだ。
もうあいつは橋長のものなんだ・・・。
もう・・奈津美とは無理なのか?何をしても無駄なのか?
あきらめるしか・・ないのか?
「私、本気で春樹が好きなの。」
「ごめん、隆二の気持ちには答えられないよ。」
頭の中でエコーするこの言葉。早く消し去りたい。
奈津美なんて・・早く忘れてしまいたい。
新しい女を・・・・作れば・・・・・。
「しかしめずらしいなー、隆二が女の子にナンパしようとするなんて。
しかもおまえから誘ってよ。
しかもそんなにきあい入れてきて・・・。
よほどの理由でもあんだろ?おまえ固派だしよ。」
そう、今俺は1日紙染めで髪を茶色にしてピアスをしている。
「まさか・・・彼女に振られたとか?」
「・・・・・・・・・。」
「ま、まさか・・ドン?」
「・・・彼女じゃない。片思いだよ。」
「ふーん・・・おまえにも片思いなんてあんだな。
中学のときなんて、そんなことなかったろ?」
「・・・え?ありありだぞ?」
「うそつけー!おまえ中学のときモテモテだったじゃん。」
「え?ないないないない!おれ彼女いない歴、てか、
告白されたこと無い歴=年齢だし!」
「まあ、おまえ固派・・てか硬派そう?だから女児も告白、
しづらかったんじゃん?」
「まっさか!俺ほら背小さいし・・普通にもてないじゃん。」
「だから、女子たちにはそれがかわいいんだろ。
しかもおまえは男子の中じゃ背低くても、
女子と比べればそうでもないじゃん。それにおまえ、
スポーツできるし、まあまあ美景だし・・頭は悪いけど。」
「うるっせ!」
俺・・・もててたのか?
「ねえねえそこのお二人さん、今暇かな??」
俺ら・・俺と小林翔太、しょうたがそんなやりとりを
していると、かわいい女子数名が俺らに声をかけてきた、
「暇だったらちょっとお茶しない?」
これは・・逆ナン?
「おう!いいぜ!俺らもちょうど暇してたしよ。
じゃ、カラオケでもどう?・・・・・・コのこたち蝶かわいいじゃん。
お持ち帰りしちゃおうぜ。」
言葉の最後に翔太が耳うちしてきた。
たしかにみんなかわいい。
特に声をかけてきた真ん中の女の子。
髪の毛は栗色でサラサラウェーブ。瞳はカラコンで緑色。
「いいよー。じゃあカラオケいこ♪」
「おう!」
「手帳開くと〜もお〜♪」
今は女子の高橋恵理子がさくらんぼを熱晶している。
女子は3人でえりこと、さっき声をかけてきた田村小枝子。
それから最後に鏡明美。ていうか、なんていうかみんな歌・・下手。
まだ歌ってないのは俺と小枝子の二人だけ。
なんつーか歌う気がおきないんだよな。
その気できたつもりだったのに・・つまんね・・。
「ねえ・・ちょっと抜け出さない?」
俺がボーっとしていると、いつのまにか隣には小枝子がいて、
俺に喋りかけてきた。
「・・え?」
「隆二君・・隆二でいい?」
「ああ、うん。」
「ありがとう、私も小枝子でいいから。
隆二なんか乗り気じゃないし、つまらなそうだから。
私もそうなんだ。イマイチつまらなくて。だからちょっと抜け出さない?」
・・暇だし・・いいかも。
「うん・・いいよ。」
「やったあ、じゃあ別々に出て行こう。怪しまれないように。」
そういうと小枝子は俺の隣から移動して、ドアの前に立って、
ちょっとトイレ〜なんていいながら出て行った。
俺も出て行けばいいんだよな?
「俺もトイレ。」
そういっても誰も聞いていない気がした。
翔太は二人に囲まれてハーレム状態だったし、二人の女の子は
翔太に夢中だった。
俺が出ようとすると腕をぐいっとひっぱられて、
「がんばれよ。」
と翔太に耳うちされた。ちゃんと聞いてたんだ・・・。
「ごめん、遅くなって。」
「ううん、いいの。じゃあ少し外歩こうか。中は空気悪いし。」
「うん。」
小枝子につられてスタスタ歩いていると、
小枝子は急に足を止めた。
「ねえ、ここにはいらない?」
そういって小枝子が指した方向には
「LOVE HOTEL」
の文字。
ラブ・・ホテル?いきなり・・!?
「いいじゃん、ね?
どうせ隆二も失恋を癒すとかそんな理由できたんでしょ?
それならしちゃったほうが早く忘れられるんじゃない?」
・・・それもそうか。奈津美のこと早く忘れたいし・・
・・・やっちゃおうかな・・・。
「うん・・いいよ。」
「ウィーン」
店の自動ドアが開くと一面ピンクの床、天井、壁。
小枝子はなれた手つきで受付をすますと俺を見た。
「何?もしかしてハジメテ?」
「な、ちげーよ。」
図星だけど・・俺がそう返すと小枝子はフフッと笑って部屋に入った。
「シャワーはいる。隆二もあとで入りなね。・・一緒に入りたい?」
「・・・・バーカ。」
シャワーの音がしとしと聞こえて、バスタオルを体に巻きつけた、
小枝子が出てきた。
ハジメテなのに、なぜか緊張しなかった。
小枝子はそのまま俺のいるベットになだれこみ、俺の腕をつかんだ。
「俺まだシャワー・・」
「いいでしょ、そんなの。どうせ汚れるんだから。」
「・・・・。」
薄暗い部屋の中俺と小枝子の声だけが響いた。
やりおえると小枝子は疲れた顔で
「ハジメテ、奪っちゃってごめんね。」
とカラカラ笑った。
そうして一息ついてから小枝子はポツポツ語りだした。
「私ね・・私も失恋の痛みを癒すためにここにきたの。
そのために隆二利用しちゃった。ごめん。」
「いいよ、俺も同じだし。」
「私、彼氏と別れちゃって・・。
すごくラブラブだったんだけど・・好きな人が出来たって・・。」
そうして聞いていると小枝子も意外に恋愛については
波乱万丈らしい。
でもおなじみとしてわかる。小枝子はまだ元彼もことが好きなんだ。
「でも、まだ小枝子は元彼が好きなんだろ?」
「ちがう!もうふっきれた!」
赤面した小枝子は必死に隠す。でもその目には涙がうかんでいる。
「私、隆二が好きだもん!もうつきあちゃおうよ!」
「でも小枝子、自分の気持ちに嘘は・・・。」
「ひどい!ひどいひどい!あなたもそんなことごちゃごちゃ言って、
私を振るの?ひどい!私隆二が嫌がっても離さないから!
もし無理やりでもはなれたら、私死ぬからね!」
「・・・・・・・・。」
そういって小枝子とはつきあうことになったけれど、
見るからに二人の間に愛はないし、週一度にあってやるだけろいう、
危ない関係に入っていった。
でも俺はそれはそれで癒しの空間だったし、
やっている最中は奈津美のことも全部忘れられて・・。
それに小枝子は俺を離そうとしなかったし、でも小枝子は俺のことを
愛してはいないし、なんだか小枝子とは、いわゆる
「やるだけの関係」になっていた。
第10章 別れ
小枝子とのあんな関係が始まって1ヶ月。
今日もベットの上でついさっきやり終えた。
「ねえ・・隆二、これで最後にしよう。」
「・・・・?」
「私ね、元彼とやり直せるかもしれないの。
いまちょっと・・ちょっとだけいい感じでね・・。だから。」
「うん、いいよ、やっぱり本当に好きな人じゃなきゃ。
俺の安らぎの空間がなくなると思うとちょっと寂しいけどさ、
俺も頑張るし。」
「うん・・・ありがとう。ごめんね、いろいろ振り回して。」
「うん、本当本当、離さないとか言っていきなり離して、
面倒くさい奴。」
「うん、私最低。でも、私本当に隆二のこと好きだったよ。」
「うん、俺も。」
「嘘だあ!隆二絶対私のこと好きじゃないよぉ。
今だってあっさりわかれ認めたし。」
「嘘じゃないよ、本当に好き。でも小枝子への好きは・・愛?かな。」
「・・・?」
「ほら、おまえの元彼への思いは恋だろ。」
「愛と恋ってどこがちがうの?」
「うーん、愛はずっと平温で、なだらかで・・・心配事がない。
そう!海みたいに。でも恋は上下が激しくて、落ち込んだり
うかれたり激しいだろ?たとえば・・・川みたいに。
俺の小枝子への思いは海だ!上下が無い。」
「うーん、よくわからないけど私も海かも!隆二への思いは。」
「うん、またいつでも声かけろよ。」
「あ、あとひとつ、隆二へアドバイス。もうちょっと背のばせ〜。」
「大きなお世話だよ。」
「じゃあね、私かえる〜。」
「ばいばい。」
「ばいばい。」
本当に、小枝子への思いは海のような気がした。
気がかかる、目が離せない、心配な奴。
ちょっと寂しいけどこれが一番の結果だな。
俺も心の整理がついたし、奈津美も少しで忘れられそうだし。
好調好調。
俺は、新しい恋へ行かなきゃ。
・・・思えば俺と小枝子、短かったな・・・。
第11章 進路
俺は気づくともう3年生だった。
小枝子との別れから3ヶ月たったと思ったらコレだ・・。
そしてクラス替えで、俺は奈津美と別れた。
奈津美と春樹は同じクラスらしい。
二人・・別れたかな??
いろいろと気になるけれど、けじめをつけるために、
奈津美のクラスには1度も行っていない。
もちろん、奈津美にもあっていない。
まだ俺の心の大きな部分には奈津美がいるけど・・・・。
もうすこしで忘れられそうだし・・。
でもそんなことをしている場合ではないんだ。
俺は3年生。進路を決めなくては・・・。
進路は今の時点では就職、受験との2択で大まかな決定。
どうしようか、受験がいいかもな。
新しい世界でもっと平和にやってみたいし。
でもバイトもやってみたかったり。
でも将来性をかんがえれば・・やっぱ受験かな・・。
うーん、まあ親に相談してから決めようか。
進路調査票は明日までに提出だし。
「ガチャ・・・・ただいま。・・・あれ?父さんは?」
俺の父さんは警察官だからいつも帰りが早い。
いつもこの時間には帰っているはずなのに・・。
・・・?返事がない。
「母さん?」
居間にいくと母さんはなぜかイスの上でうずくまっていた。
「何してんの?体調悪いの?」
そういって肩に手をおこうとした。
でも置けなかった。
だって、その肩は震えていたから。
「・・・・。」
無言で階段をかけあがって自分の部屋に。
机に座ってかんがえた。
何が起こったんだ?
いつも強い人で涙なんか見せない母が、今泣いている。
泣いていたのは・・気のせいか?
でもたしかに床は濡れていた。
それに口には怖くて出せなかったけれど、
俺は階段をのぼってくるときに見てしまったんだ。
2階にある父さんの部屋。
その部屋は・・・・・空だった。
・・・考えたくない、何も。
「コンコン・・・・いい?」
「・・・・・うん。」
考え込んでいるとドアのノックが鳴り、母さんが入ってきた。
「隆二、急で悪いけど・・。」
「・・・うん。」
「・・お父さんね、出て行っちゃったの。
新しい好きな人が出来たからって、出て行っちゃったわ。
お母さん・・・・仕事がんばるから・・・・。」
目の前が真っ暗になった。
何も見えなかった。
俺の両親が・・・・離婚?
コレは夢だ、悪い夢だ。
そう信じ込もうと思ったけど、
その話はなぜか現実味をおびていて、
頭から追い出せなかった。
からっぽになった父さんの部屋。
最近口数が少なかった父さん。
かんがえていくとすべてつじつまがあってしまう。
そんなのイヤだよ・・・。
「それで・・進路の話なんだけど・・。」
「いいよ、俺バイトする。」
「い、いいのよ!自分の好きで。
受験してもいいのよ。
バイトがしたいんならいいけど。
私のせいで進路が変わっちゃうなんてイヤだから。
生活は大丈夫だから、お母さんがんばるから。」
「いいんだよ、やりたかったんだから。」
「本当に?ちゃんとかんがえた?」
俺がそういうとお母さんは何度も念を押して、
すごすごとなんども振り返りながら俺の部屋を出て行った。
・・・受験、したかったな・・・。
・・・でも仕方ないよな、やむおえないよな。
バイトするしか・・・ないよな。
俺はサインペンのキャップをあけて、
進路調査票に「就職」と書いた。
「君は・・何歳かな?」
「はい、この来年の春、18歳になります。」
「じゃあ学校はどこかな?」
緊張の15分、面接。
その他に住所や両親の承諾を得ているか、
どうしてこのバイトを選んだのか・・・・・などなどの
質問をされて面接は終わった。
俺が受けたバイト先はまずはポピュラーなとこからと、
マックに決定。
面接を受け終わって一息ついていると、
たった今面接が終わったらしき同じ歳ぐらいの女の子が
部屋から出てきた。
「緊張・・しましたね。」
「あ・・はい。」
「高校生ですか??」
「あ、はいそうなんですよ。坂高校ってところで。」
「ああ、知ってます知ってます。中学とつながってるところですよね?」
「敬語いいよ。同い年でしょ?」
「じゃあタメ語で・・。私は壁谷ちなみ、ちなみです。」
そこでしりあった同い年のちなみ、17.
今の俺と同い年。
ちょうど面接らしく、今終わったところらしい。
すごく丁寧な子でこっちまで丁寧になった。
なんとちなみは令嬢高校を言う名のお嬢様校らしい。
「俺は佐々木隆二だよ。」
「奇遇ですね〜同じ時間に。」
「じゃ、このまま1杯どうですか??」
「いいですね〜、じゃあお言葉に甘えて〜。」
そうなって今日、一緒に1杯やることになった。
近くのおいしいとウワサの居酒屋で。
「ええ〜!そうなんですか〜!!」
「どうにかならないの?その敬語。」
「ああ、ごめんごめん、ついくせで。」
「いいね、丁寧で。」
このまま酔ってついに深い話まで入り込んでしまった。
「俺はさあ、両親離婚しちゃって、
やむおえなくバイトの進路なんだよな・・・。」
「・・・・・え?」
「ん?何か悪いこと言った?」
「ううん・・・偶然に感動して。」
「・・・・え?」
「私も同じ理由なんです、進路決定の理由が。」
「・・・・・・ええ!?」
「本当に・・偶然ですね!」
なんと、ちなみも俺と同じ理由でバイトになったらしい。
本当の偶然に、素直に感動した。
「じゃあ、今日の出会いに乾杯〜。」
「乾杯。」
「じゃあ、このまま付き合っちゃう??」
「へ?」
酔っていたからつい口が滑って、軽くいっちゃったのかもしれない。
でもその気持ちに嘘はなかった。
まったく同じ偶然でバイトをするはめになって、
同じ悩みを持つ仲間にあえて、それが女で・・。
「どうする?」
「・・・じゃあ・・お願いします。」
「学校違うけど頑張ろうね〜。」
「・・・・うん。」
ごく自然ななりゆきともいえる感じで、
俺とちなみは付き合うことになった。
ごく自然に。
「おまえも大変だなァ・・・。」
担任の先生に同情される。
「本当に・・・就職の進路でいいのか??
おまえ大学行きたがってなかったか?」
「・・いいんです。」
「ああ〜家族のためか、うんうん。
おまえがそんなやつとは思わなかったよ。ちょっと見直した。」
「はあ・・・・・。」
こうして俺の進路は就職にもう決まってしまったことになる。
でも後悔はしていない。ちなみに会えたし。
まだ奈津美はこころのなかにいるけど、
きっと大丈夫だ。
もう季節はいつのまにか冬。
さいきん飛ぶように時間が過ぎると思うのは気のせいかなァ・・。
もう卒業もひかえていて、
しかもそれはもう2週間後で、
かんがえてみるとそれは奈津美との別れでも会って・・。
でもふっきらなくちゃ、いいかげん。
第12章卒業
「卒業生、退場。皆様拍手でお送りください。」
あのあとの2週間はなにごともなく飛ぶように過ぎて、
今日はもう卒業となってしまう。
めんどくさい式ももうすぐ終わって、
嗚呼、俺は卒業するんだ・・・。
「みんなお疲れ!ついにお別れだな。
おまえらがいなくなるのは寂しいけど俺は笑顔で見送るぞ。」
担任の先生が顔をくしゃくしゃにして笑った。
クラスの多数は泣いていて、でも俺はなぜか涙が出なかった。
解散後、俺は奈津美のいる教室へ向かった。
なぜ向かったのかは不明だけど、
このままじゃ卒業できない気がして。
ちゃんと踏ん切りをつけて卒業したかったんだ。
「ガラガラガラガラッ。」
教室を空けるとそこにはまだ数人人が残っていて、
その中には奈津美もいた。
「あ・・・・。」
奈津美は春樹と一緒だった。笑顔だった。
「隆二・・・・。」
「久しぶり。」
「・・・うん。」
「仲良くやってるか?」
「やってるよ、いわれなくても。」
奈津美の代わりに春樹が答えた。
「ちゃんと続いてたんだ、良かった。
橋長、おまえ本当の女たらしだと思ってた、ごめん。
違ったんだな・・。」
「・・・。」
「橋長、奈津美幸せにしろよ、幸せに・・やれよ。」
「・・いわれなくとも。」
「じゃあな。」
「・・・・・うん。」
奈津美はまだポカンとした様子だったけど、
二人は仲良さげだった。
なんだ・・ちゃんとやってるじゃん・・・。
そのとき、今日はじめて涙を流した。
でも初めて、ちゃんと奈津美についてケリをつけた気がした。
第13章あふれるほどの愛を
季節は春。
バイト先からは抜けてちなみと同じところへきちんと就職した。
そして今日、手紙を書いた。
「誰への手紙〜??」
麦藁帽子をかぶったちなみが笑いながらたずねる。
「元カノ。」
「なにそれ〜!!」
「なつみへ
なつみ。今きみは元気ですか??
楽しく暮らしていますか?幸せですか??
俺は幸せだよ。
なつみと楽しく喋ってくらせないのは心残りだけど
よく初恋はかなわないっていうもんな。
そう、君は俺の初恋でした。
最初で最後の。
・・なあ奈津美。
俺ら、10年後は笑って話せるかな?話せるといいな。
過去のことはまっさらにして、
親友みたいに。
いつかそんな日が来るのを、
心待ちにしています。 隆二」
END




