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7話目

時間が…

 

 僕の視点で言わせてもらうと会議室はかなり残念な部屋だ。

なにせ本棚がないし、もちろん本も無い。雑誌もない。というか文字がない。読むものが無い。パソコンの画面も基本的に固定で自由に画面を変えれない。それに前にも横にも人がいるので居眠りも気軽にできない。始まるまで非常に退屈だ。


 …駄目だ、暇すぎる。ここはあえて寝ようか。やってはいけないにあえて逆らう。どうせ僕が居ても居なくても会議に影響は無い。ああ、久しぶりに夢をコントロールしないでみようか……この生暖かい空気が僕を眠りに導いてくれ……なかった。

「さむ!寒すぎる!」

何故か僕の周りの空調が超低温の空気を吐き出し始めたのだ。一体何が…

この部屋の空調が壊れてるなんて話は聞いていない。つまりこれは室温を調整するコンピュータが壊れ…てない可能性を僕は用意に想像できた。むしろこのタイミングで僕の周りだけに異常が起きる確率のほうが低い。

そこまで考えると僕は独り言を呟いた。

「アリス、異常事態発生。緊急。」

画面にメッセージウィンドウが開く。

-異常事態などは一切見当たりません-

-緊急コマンドはむやみに使うものではありません-


「いやいや。この急激な温度変化で会議が滞っている。この会議の遅延は会社に、北海道に最悪の事態をもたらすかもしれない」

実はいきなり(主に僕の周りの)室温が下がったことで会議がストップしていたりする。


-大げさですが、会議に支障が出ていることは認めます-

-それで私にどうしろと-


「この空調を元に戻して欲しいなーとか思ったりしているんですが」


-今度居眠りしたら次は超高温にしますからね-

-真面目にやってください-


超高温ってなんだろう。超って。いやそもそも。

「することないじゃん……」


-まあそうですよね-


「え、じゃあなんでこんな僕いじめられているんでしょう」


-それはもちろん常に私は働いているのに自分だけ悠々自適と過ごすだなんてそんな、ねえ?-

-まあ会議に耳を傾けることで色々と有益な情報を手に入れることも夢ではありませんよ?-


「…八つ当たり?もしくは暇つぶし?」


-そう!あなたがそう考えるのを待っていた!-


「…心理トラップ?」


-それでは今日このテレビをご覧のお客様に最も耳寄りな情報!-

-実はこの会話は社長の画面にも映ってます-

-あ、ちなみにあなたのセリフはきちんと文章化して載せてありますから!-


ふむ、久しぶりにアリスのトラップをノーガードで踏んだらしい。

問題はこのトラップはさすがに捌ける気がしないということか。


チラ

笑っとる!

チラチラ

満面の笑みだよ!


「さて、収支報告などというこの箱庭ではどうでもいいことを聞くのも飽きて居眠りを始めた者もいるようなので、先に先日あった事件をここの皆に聞いてもらおうと思う。XXX君」


このタイミングでふられた!小規模の開発部に何を期待しているんだ!しかし私にはこの切り札がある!


「それでは、先日起きた事件の概要をアリスによってわかりやすく伝えようと思います」


-ずる!完全な手抜きですよ!-


とはいっても自分は何も知らないのだ。全サーバー、全データに触れるアリスに任せること前提だろう。


席を立ち無造作に社長の正面まで歩く。正面には社長。斜め後ろには大型モニター。あとは幹部諸々。

「それでは皆様画面をご覧ください」


「これはつい先日起きた事件ですが、見方によっては小規模な戦闘といっても過言ではないと思われる事態が発生しています。これについてご説明します」

アリスの滑らかな音声と共にモニターが室蘭周辺を映し出す。

「まず最初に我々バルバス・バウの所有する無人偵察機が室蘭方面に進攻する大型の半潜水艇を発見しました」

画面に半潜水艇と思しきマークと無人偵察機のマーク。これは明らかにシリアスだ。空気が引き締まる。

「その瞬間に追加の無人偵察機がスクランブル。続いてフルに爆装した無人偵察機3機がスクランブル。周囲を飛行していて爆装している無人偵察機をその地点に向かわせ、その機体が居た所を追加の無人偵察機がフォロー。同時に自衛隊に通報。」

画面のマークが増える。動く。

石狩から室蘭へは大体170キロ程度。無人偵察機は時速500キロを超えている。現場到着まで20分程度か。

潜水艇と室蘭の海岸まで10キロを切るかといったところ。

「発見した機体は武装がなくそのまま監視を続行。半潜水艇はその間に小型の潜水艇を8隻発進。その後半潜水艇はその場で停止。各潜水艇は海岸に向け時速30ノット以上で移動。先にたどり着いた一機でまず半潜水艇に対地ミサイルを2発発射。命中しましたが沈没させるにいたらず。」


これは戦争だ。いつの間にか北海道にも敵が来ていたのか。いつか必ずそれは来る。わかっていたはずだがどこかで忘れていた。


「続いて3機の無人偵察機で海岸に上陸寸前の小型潜水艇に攻撃。全弾命中。続いて半潜水艇に再攻撃。残弾全てを発射し撃沈。自衛隊機8機がスクランブル。またバルバス・バウ所属の無人戦闘攻撃機が発進。」


またマーカーが増える。だが敵のマーカーはない。


「中国軍の航空機は増援として出現せず。無人戦闘攻撃機と数機の無人偵察機を残し航空戦力は撤収。この30分後に陸自の歩兵部隊が到着。後続と共に漂流物を採取しその後帰還しました」


あっけない。無人機だけで片がついてる。さて。


「以上で今回の事件の概要説明を終了します」


「それで?」

おっとまだ役目が終わっていないようだ。


「それでとはなんでしょう?」


「どう思う」


「つまりこれは強行偵察かと思われます。民間人、運がよければ自衛官を拉致し、情報を得ようとしていたのではないかと。なぜ室蘭を選んだのかというと、函館周辺はあまりにも本土と近く警備も厳重だと思われ敬遠された。日本海側から小樽、札幌方面への上陸が最もバルバス・バウに近いはずですがロシアとの外交問題になるのを恐れでもしたのでしょうねぇ。それくらいでしょうか」


「ふむ。これでここの参加者全員に理解してもらえただろうか。遂に北海道にもやつらがやってくる。備えは万全にしたいところだ。各開発部は最近開発した商品、兵器を紹介してもらおうか。今日はお客さんも来ているからな。」


末席には自衛官の方々が少なからず来ている。が、僕には全く縁も関係もないので気にもしなかった。


「それでは第1から始めてもらおうか。取りはもちろん「何でも」だ。」

4月までにどこまで進めれるかとか言ってたのに、蓋を開けてみるとその準備で意外と忙しいという…

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