4話目
しょーもない舞台の説明です。
ありえそうでありえなさそうな話。
昔の日本の外交官は言いました。「欧州情勢は複雑怪奇」
今はどうなんでしょうね。
ここは北海道。4方を海に囲まれ、本州との連絡は海を渡るか、青函トンネルを抜けるしかない。日本国に所属し、都道府県の中でも一番の面積を誇り、ある程度は自給自足できる独特の島。
だった。
今でも300万人程度の人が暮らしている。
しかし昔と違うことがいくつかある。
まず、札幌市の隣、石狩市が消えた。そこに超巨大な敷地を有する多角化企業「バルバス・バウ」が出来た。
日本の紙幣や硬貨が使いにくくなった。ICチップの埋め込まれた「財布」が全体的に導入されたからだ。「財布」とは財布とATMをくっつけたような多機能デバイスで、商品を取引するには自動決済機に「財布」を近づけるか、相手の「財布」送られてきた請求書に振り込むだけで良くなっている。
ちなみに日本の紙幣や硬貨はバルバス・バウに持ち込むだけで「財布」の中に振り込んでもらえる。実物の通貨をなくすことで、強盗などが出ても取られるお金はないし、泥棒にへそくりを取られることも無い。その代わり物が取られるようになったが。闇取引なども巧妙に「財布」同士で決済を行なうことで解決するので、あまり犯罪には効果はなかったようだ。
そして。
北海道は日本から独立した。
正確には日本から孤立した。
こうなったのは深くも無いわけがある。
日本での戦争が泥沼化し、青函トンネルは破壊され、通信用のケーブルも寸断され、制海権も取られ、
制空権も確保できてない。低軌道の衛星も叩き落されている。
つまるところ日本との連絡が遮断されている事に始まる。
それは物資の移動が止まるということに終わらず、人の移動も困難になっているということで。
戦争。それは国家と国家の戦いである。
戦争による被害よりもその戦争によって得る利益のほうが遥かに多いと判断された時にそれは起きる。
故にたとえこちらが何も求めていなくとも、相手がこちらに何かを求めている時に戦争という手段を回避するための兵力を持つのが普通である。10の利益を出すために15の損害を出しては話にならない。
資本主義ではここの数字の単位に現金が入る。共産主義ではここに資源などがあてはまるのだろうか。
この世界での共産主義はよく知られていない。人民の解放を叫び、ありとあらゆる国に戦争を仕掛け、わずかな土地、わずかな利権でも毟り取ろうとする。どこに何をするかを決めるのは閉鎖的な上層部が決めており、その委員や仕組みなどは明らかにされていない。
今回の戦争は日本の政治家が入れた数字と、彼らが入れた数字があまりに離れていたこと、そしてそれを読めなかったことに原因を発する。
中国と日本の間には日本海が広がっており、そこには海底油田があることは知られている。
彼らはそれを欲したのだ。中国に近いということはそれだけで輸送コストや安定供給できる事などで高い数値がでる。利益に高い数値が入れられた。
そして日本は60年以上も戦争を経験したことがなく、軍隊を維持するコストを減らす事が日常的に始まっていた。それは弾などの物資、人員などの削減などに始まり、兵器の更新も滞り始めていた。
またアメリカ軍も重要性を理解されずに撤退や移転が始まっていた。
損害に少ない数値がはまった。
欧州との交渉も秘密裏に始まっていた。
彼らにとっては日本という商売上のライバルでそれ以外には何もない国よりも中国という生産拠点を維持することが大事だった。それどころか日本が弱体化することは彼らにとっては利益で、日本で需要が生まれることも考えると反対する必要もなかった。
黙認する協定が秘密裏に結ばれた。
日本はそのことを察知できなかった。
また中国の交渉は本来敵であるアメリカにも及んだ。
彼らとの交渉はある意味恐ろしいものだった。
アメリカにとってグアムなど東南アジアに基地を持った今、日本の価値は対中国、ロシアにしか見だせなかった。
邪魔者扱いされ、日本のために遠く日本まで来ていたアメリカ軍の士気は下がっていた。アメリカ国内でも反日感情が吹き荒れた。
アメリカは日本に駐留軍の価値を再認識してもらおうと考えていた。日本は「常識を知らない愚か者」だった。
中国は日本海の海底油田を欲しているだけで日本を占領するつもりはないらしい。
それならある程度放置しておいても大事には至らないのではないか。少しくらい痛い目にあったほうが物分りが良くなるだろう。
日本が中国に海底油田の採掘権を渡すまでの不可侵条約が結ばれた。
日本の政治家はこれらの動きを全く掴んでいなかった。
ただ、海底油田を中国が欲しているということしか知らなかった。
そしてそれ以上に何も知らなかった日本国民は災禍に巻き込まれることが確定した。
これは100%akiの妄想です。
実際の世界とは全く違うのでそこはご容赦を。