1話目。
あえて言おう!ごめんなさいと!
いや、言ってみたかっただけです。
人の人生にチャンスはそう何度も落ちていない。らしい。
自覚するのまでに20年とちょっと。四捨五入したら30になってしまうぎりぎりの所でやっと自覚した。
人と喋ると厄介ごとを引きずり込む癖がある僕はAI…のようなものを作ってそれに人とのコミュニケーションをさせることで人と喋るという行為を逃れようとしたのだが…
それが運のつき。昔の先輩に見つかって「君なら信頼できる」だの「半生に一度のお願い」だの「責任者は君だ」だの…AI(のようなもの)が完成する前に見つかってしまったため断ることもいなすこともできず…逃げればいいじゃんと思いついたときにはすでに何ちゃら開発部とやらの責任者みたいなものになってた。
その後はひたすら遊…新しく入ってくるメンバーと親交を深め、ついでにまだ未完成だったAIの感覚部分をそれっぽく作ってもらい…なんとか動くようにした。
といっても最初は堅物というか応用力が無いというか。出来たばかりの時は自分でやったほうが早いような雑用をやらせたり、無駄に話しかけたり。次第に効率も上がって、会話もできるようになり。そうなったら後は勝手に開発部のメンバーと喋ったりしだしていつの間にか万能メイドみたいな存在になってた。
仕事?うん、まあちゃんとぎりぎり、こなしましたよ?きわどく。
まあただの責任者なので部内でチーム作っただけで、あとはそこにアリスが「お願い」すれば一発。自分も興味があったりしたらそこのチームに入れてもらってそこで開発したりする。その間はアリスがなんとかしてくれる。
あ、アリスはこの話の最初のほうからずっと出てきてるAI(のようなもの)のこと。名前はなんとなく決めた。
何でAIに(のようなもの)がついているかというと…
「うちに用があると思われる人物が接近。距離30」
「監視。ただし顔とかが映るモニターは僕を含む所員に見えないように。」
「…了解」
「ほら、たぶんうちに配属される人でしょ?最初は皆と一緒に見たいからね。」
「もしかして書類に目を…」
「通してない。めんど…とか言ったら先輩に告げ口する?」
「イェスオフコース!」
「わかった!落ち着け、ちゃんとした理由を今(考えてから)言うからえーと…」
「残り3、2、1、0秒です」
「終わった…」
なぜカウントが無駄に早いかはわかっている。うちに用がある人が来るから。
彼女?は実は僕を元に作った仮想人格…だったものだ。途中で切り離した時点で別人、別物でそれを機械に移した時点でもう完全に共通点がない。はずだがなんとなくタイミングとか考えてることは双方わかるのだ。不思議。さて。
ちなみにこのかけあいは所員全員が聞いているので誰かが入ってくるのはわかっている。よって皆が入り口を見るわけだが……
僕はおおまかに外見だけならなんとなくわかっている。まずアリスが人物と言った点。このことからかなり美人な女性と見た。いつもなら性別くらい言うもんね。さらに距離30まで近づいてからようやく言うってことは…ん?もしかして。
「失礼します。今日からここに配属になりました。今井可奈と申します。よろしくお願いします」
ショートカットでほぼメイクなしの顔で。ちょっときつそうな。あ、目があった。
「やあ、僕が」
バタン。タッタッタッタ…
笑顔で挨拶は基本ですよー。
「何でやねん」
いきなり逃げられてしまったのでとりあえず一人突っ込みのあと机のうえでorzのポーズをしてから、
「さて、諸君。僕の顔に何かついてる?」
「顔には何もついてませんが、寝癖が少しついてます」
「まじか。アリスなぜ言わなかった?」
「いや、もちろんそっちの方が面白…アットホームな感じが出てすぐに和めるようになるかと思いまして」
「そうですか…ちなみに対象は?」
アリスのこの僕をからかったりする癖は僕譲りらしい。
「階段、エレベータ、が何故か封鎖、非常口も開かないためトイレに篭城中です。」
「いやいやいや。なんで?」
「だって、いきなり辞められたら雰囲気悪いじゃないですか」
「それはつまりあれか?俺の目を見て彼女はいきなり逃げ出した。つまり俺は変質者か何かなんじゃないか?とかか?」
「沈黙は肯定を意味する時があるって知ってました?」
「うわ、腹立つー。わかった俺一人で連れ戻してくるから見てろよ?!」
僕は白衣を脱いで部屋を飛び出した。
それが何ちゃら開発部所員全員に見られてるとは知らないで。
なかなか戦闘にならないなぁ。
1話につき何文字くらいがいいんですかねー。とりあえず力尽きたらそこで区切ることにしてみます。